作戦決行 其のニ
お願いします
今回は過去シーンが多めです
話はベアルが旅立つ前に戻る
「どわぁ!」
後ろに吹き飛ばされ、受け身が取れずモロに地面に激突した
「まだまだね、」
木剣を肩に担ぎ、見下ろして
「大丈夫ですか?」
「あぁありがと、マギ」
マギと呼ばれた少女が駆け寄ってくる
「やり過ぎだと思いますよ、カフジエルさん」
少し鋭い眼差しで希望の王と言われた少女を睨む
「悪かったって、つい」
「いや!ついじゃねぇだろ!こんなにボロボロなんですよぉ!」
ベアルの全身を見れば青あざが沢山見られ、所々血が出ている
「悪かったって、本当に反省してるよ」
「いやコレしてねぇな、よしマギ今日のコイツのメシは抜きだ!」
「えぇ、そうするしか無いですね」
「待って待って、それだけはやめて!」
カフジエルが焦った顔でこちらを見ている
実の所マギの料理は何故か元の世界と味が似ており、異世界でもかなりの人気がある。
因みにだが、俺は今マギに料理を教えてもらっている、教えるのも上手です!この子
「マギちゃんのカラアゲ?だっけあれすっごく美味しいんだよねぇー、また作ってくれる?」
「仲良くしてくれたら考えます」
三人で歩いてあぜ道を、帰り道を歩いて行く、なんでもない会話。
綺麗な景色にいつ見ても感動してしまう、ここが地上よりも下だと言うのに
「じゃあ俺は、トンカツでよろ!」
ただ普通の会話、マギが
「明日から王都に行くんですよね?私は行けないので私の分まで楽しんでくださいね!」
「おう!そう言えばお土産何が良い?」
そう聞くと
「それじゃあ『花』でお願いします」
「そりゃあ珍しい物言うなぁ、花をお土産にってあんま聞かなぇなあ?」
「私、『花』を見た事がないんですよ、だから見せて下さい両手で抱えきれない程の“花束”を」
「分かった、けど多分両手から溢れる花束は見たことも聞いた事も無ぇねな」
沈まない夕焼けが三人を照らしていた
「ーーーーー」
手に持ってたお土産や、マギの為の花束全て抱えて歩いて来た
それなのに、お土産を渡す相手がいない、それ程滑稽な状態は無いだろう
一人、歩く
ここ数日の事だったとしても、ここは自分にとって家のような、家族が居るようなそんな場所だった
一人、歩く
それでも、それでもあの事をいち早く否定したい朧げな足取りで
一人、歩く
歩き慣れた道を本来なら、三人で通る道が、よく訓練でボロカスにされる場所へ続く道は閉ざされていた
一人、歩く
元きた道を辿って城へ、ゆっくりと
地面は抉れ、所々血のような跡が、ここに住んでいた住人の遺体が轢かれていた
城の中は、床が捲れ、ほとんどの部屋が原型を留めていなかった
マギが料理をしていた厨房も、俺とマギが使っていた部屋も、時々グリードがやって来て汚いと怒られた部屋が、カフジエルも含んで皆んなでトランプした寝室も、現実と共に砕けて消えてしまった
城の広場の所に首がない女の子がいた俺はその子の隣に膝をつき
「勇気ある行動に賞賛を」
唱えるだが、奇跡は、奇跡は、起きなかった
「勇気ある行動に賞賛を」
もう一度唱える、再度彼女の体を奇跡が覆うが何も起きない
「治せよ、なぁ治せよ、“奇跡”なんだろ?なんでっ何で俺がここにいるんだよお!!!」
分かりきってたことだ、“奇跡”は『死』を覆せないと
王の間にマギがいた、俺は走って駆け寄り抱きしめる直後、彼女の体に力が入っていない事に気がついた
もう何もこれ以上何も言わなくとも分かってしまった、ここに生きてる人はいないと
彼女の胸にある宝石に手を伸ばして胸から取る、彼女は人形だ、まだ治る余地がある
でもそれは、
「今じゃない」
あの白い制服が今はただ恨んでいる、妬んでいる
ふと頭で声がした
『力を貸しましょうか?』
文字通り悪魔の囁きだった。




