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黒鉄戦士の冒険録   作者: 工藤
強欲は、届かぬ空に手を伸ばす
36/96

街の歩き方  byベアル

お願いします

「死にかけ?」

入ってきて何を言うかと思えば、俺が死にかけてる?なに言ってんだ。

「あなたは魔法を行使し過ぎた、しかも負担が大き過ぎる強化系統の魔法を」

「強化系統だと何がいけないんですか?」

マギが俺の気持ちを汲んだのか、俺がいようとしたことを言ってくれた

顔は見えないけど

彼女は少しため息をついて

「まずね“魔法”に関して誤解してるみたいだけど、魔法は自分の魂を媒介に魔力を体外に出して現象を再現する、要するに魂をすり減らして行使するものだ」

「じゃあ俺は、魂が規格外だと言われましたなら!魔法発動に関して何の支障も無いはず、」

「確かに“魂”は問題じゃないだが問題は“魔力”なんだ、君の魔力は質が著しく悪いだから魂がすり切れる速度が速い、それと“勇気”の力も使わない良い?とりあえず今は、少なくとも一ヶ月から二ヶ月は魔法を使うな、いい?」

小さいため息を、流石にあれだけ言われたらねぇ?

「分かりましたよ、分かりました」

もう素直にしないとこいつに対してはやられるからな

「ならさ、一つお願いがしたいんだけど」

「何?まさか別の魔法を教えろとかじゃ無いでしょうね?」

少しこちらを睨んでくる

「いやいや、違う違う俺がお願いしたいのは、地上に出たいそれだけだよ」








様々な屋台が並び、人々が笑い行き交う城下町そこで

俺はカツアゲに会っていた

「オラァ!ジャンプしてみろぉ!」

ただ観光していただけなのに、何で絡まれるのかなぁ?

「どこの世界でもカツアゲするチンピラは変わんねぇのかよ」

薄暗い路地裏で被害者一名、チンピラ四名、う~ん数の暴力ってのは偉大だねぇ

「ははっビビって声もでねぇか?」

「全く俺がいつ声が出せねぇとお前は勘違いした?」

あっけに取られた顔をしているチンピラズ、その隙に大きく息を吸って

「何言って、「たあああすうううけえええてええええ!!!」

下手すればこの街全体に届く勢いの、救助を求める声その声に

「何してんだテメェ」

「死にテェのか!」

「ぶっ殺すぞ!」

「テメェ何したのか分かってんのか、あぁん!?」

四人それぞれの脅しが炸裂、首元にナイフを突きつけられ

「そこまでだ、君達」

よく澄んだ声でその場に居た計五人の視線が集まる

紺色の髪、白で整えられている制服、肩には十字架の徽章、真っ直ぐこちらを見ている青年が目の前の状況に待ったをかけていた




五分後




「すいません、ほんと命だけは命だけは、お願いします」

目の前に土下座をしてチンピラ×4に平謝りをかましていた

俺の期待を返して欲しい

「オラァジャンプしてみろぉ!」

「は、はいっ!」

見事に金が落ちる、チャランと音を出しながら落ちていた

「あんじゃねぇか、ほらもっと飛べやぁ!」

「はいっ!」

これ、一応騎士の筈だよな?

「ミスって騎士(ヘタレ)を呼んでしまったか?」

目の前の惨状を見て誰がこいつを騎士と呼ぶんだろう

結局、有り金のほとんどと文字通り身包み全てをカツアゲされそれに満足したのか俺には目もくれなかった

隣でうずくまって半泣きの騎士

「えっと一応助けてくれてありがとうございます」

「全然、君こそ無事で良かったよ、まぁ僕の財布は無事じゃないけど」

笑い出して泣き出した騎士を見下ろして、なんとも気の毒な人だなと思い

「元気出してくださいよ、えっとまぁなんかいい事あると思いますよ、はい」

「心配かけてごめんねぇ、一応こんなでも四つの席の騎士なのに他の騎士(人)たちに顔向けできない」

もはや騎士だのうんぬんじゃ無くただ残念な人にしか見えなくなってきた

「やっと見つけた!」

残念な空間に割ってきた目の前にいる残念な人(騎士)と似たような服装をしている人達がやって来て

「もー、何で『助けに行ってくる』って言って何で身ぐるみ剥がされてんの?」

「えっとじゃあこの人お願いします」

俺はもう早く王都の観光を再開したかった

「あぁごめんね!もうこの人は大丈夫だから安心してねそれじゃ!」 

足早にその場を離れた

「もう何でこんな風になってるの?でも予想は出来るけど。それに『墓標剣』まで忘れて行くなんてあんた何しに行ったの?」

服を着て少しのため息と共に落ち込んだ表情で

「返す言葉もありません」

周りにいる仲間達が、一心に服を着ている人物に視線が注がれる

「しっかりしてくださいあともう直ぐなんですよ、例の作戦が始まるの」

「ああ分かっている、待っていろ復活してしまった史上最悪の王サ(・)マ(・)エ(・)ル(・)貴様は俺が殺す、『聖剣』の名にかけて」

隣の人からショートソードのような剣を受け取り引き抜く

「我が剣災厄乃剣(エクスカリバー)に誓って」

「街中で剣を抜くなっ!」

バゴッと背中を蹴られた

災厄の剣は鈍く光った

最初は確かに“英雄”と評価され、認められた

時が経つにつれその強過ぎる“力”を忌み嫌い、避けるようになった

結果、暴走し“災厄”と言わず何と表現すれば良い?

あの日から“英雄”はいなくなった

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