強欲の国
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目の前におじさんがいる、普通に思えば不審者だろう、なのに
「なんでぇ?」
涙が、涙が、ボロボロと落ちる、止まる気配は無く、そんな俺をグリードがギュッと抱き寄せる
「苦しかったなぁ、怖かっただろぉ、今は存分に泣いてくれ俺ぇあここにいるから絶対に動かねぇ、約束だからよぉ」
俺はずっと泣いていた。
翌日にまた仕切り直して話を始める
「昨日はすまなかった」
と俺はグリードに謝る。
「いやぁ、いい、憤怒ってなぁ心身共に擦り切れて、他の罪より限界がぁ来ちまうからな、たまにはぁ息抜きもしないとなぁ」
「そうか、すまない」
短く答える
「俺に何のようできたんだ?」
グリードがタバコを一本吸う
あのーここ病院ですよー?
「お前ぇこっちにこねぇか?」
一瞬何を言われたのか理解するのに時間がかかった
「こっちってもしかして、」
「あぁ、魔境だぁ」
もしかして、
「ま、魔境って悪魔の世界か?」
と聞くと
「ある意味そうだなぁ、悪魔っていうのは俺たち“王”が作った眷属だぁ」
とタバコをふかし、ぼんやりと答える
だから、ここ禁煙ですよー
「だがぁ中には眷属を作らねぇ奴もいる」
「なんで作らないんですか?」
不思議に思って聞くと
「理由は簡単だぁ」
「眷属を作ったらその分自分の力が減るからなぁ」
なるほど、ただ単純に数さえ増えれば良いていう訳じゃないのか
「まぁ、話を戻すがぁ、今お前がどんな状況かわかっちゃいねぇだろぉ?」
「まぁ確かに」
うなずくと、グリードは答えてくれた
「今お前は、ひとことで言うならぁ、おたづね者だな」
「おたづね者?」
「お前ぇあ今天界に狙われている」
「天、界?」
何を言ってる?、確かに昨日天使に襲われたそれと何か関係あるのか?
「天の海より一つ上の世界、神様たちがぁいる世界」
静かに答えた
「お前が、下に来れば、お前と連れの女ぁ匿う用意がある、アイツらと戦うことが出来る」
「もし俺が行かないって言ったら、どうなる?」
恐る恐る聞いた
「お前ぇは、魂が砕けるまで追いかけ回される、大切な物ぉ、人ぉ失うことになる」
・・・・・・
「わかった、行こう!マギも良いのかここにいれば危険に遭わないんだぞ?」
マギは笑って
「貴方のためならどこまでだって着いて行きます」
「うん、ありがとう」
ゆっくりとグリードの方を向く
「お願いします、僕達を連れて行ってください」
吸い終わったタバコを直して、
「それじゃぁ行こうじゃねぇかぁ、強欲の国へ」
辺りが一瞬暗闇に包まれる、けどこの光景を見て息を呑んだ
真っ色な、雪が降ってる国だった。
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