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極貧お嬢と五人の執事  作者: 流星


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閑話(お嬢と五人の執事)お正月編③

青田と一緒にキッチンへ向かうと、

カウンターの上に

蕎麦の入ったザルと出汁が入った鍋、

具材が乗った皿が置かれていた。


あ、キャラクターカマボコ。可愛い。


「鍋に入った出汁を温めて、

 蕎麦を入れればいいのかな」


「青田。少し待って下さい」


私はキッチンの戸棚を漁った。


「お。ありましたー!」


私は蓋の部分にマジックで

『黒川』と書かれたカップラーメンを発見し、

青田に見せた。


「これ、

 黒川お気に入りのカップラーメンですよ。

 一個四百円もするセレブなカップラーメン。

 これを勝手に食べてやります」


「え……。

 そんな事をしたら

 新年早々、黒川君に怒られるよ?」


「黒川の説教など怖くありませんよ。

 むしろ、このお気に入りセレブラーメンを

 私に食べられ、悲しみに打ち拉がれる

 黒川の姿を見てみたい」


「あまり乗り気がしないな……」


「いいです。

 青田は黒川がギャフンと言う姿を

 見ているだけで構いませんから。

 フフフ。楽しみー!」


「そもそも年越しなのに、

 何故ラーメンを食べるの?」


青田は口では反対しながらも、

ヤカンで沸かした湯をカップラーメンに

注いでくれた。


「私の来年の目標は

 『不良少女になる』に決めました。

 まず手始めに年越しに蕎麦を食べず、

 あえてラーメンを食べます。

 アウトローだと思いませんか?」


「随分可愛いアウトローだね」


「こんなの序の口ですよ?

 ゆくゆくは耳にピアスを開けたり、

 バギーに乗って庭中を踏み荒らしたり……」



ハッ! 青田の顔色が変わった。


庭は青田のテリトリーだから

荒らされたくないのね。


「う……、嘘です。冗談です。

 バギーなど乗りませんから」


「フフ。分かっているよ。

 あと、お嬢の髪はサラサラで

 とても綺麗な栗色をしているから、

 パーマやヘアカラーはしないでね」


青田が私の髪を撫でながら言った。


庭荒らしとパーマとヘアカラー以外なら

何をしても構わないのか?


青田の悪の基準が分からぬ。


「さぁ、そろそろ食べ頃じゃないかな。

 向こうの部屋へ持っていこう」


「うん」


テレビは丁度、

歌合戦の結果発表をしていた。


「白白白白。

 わーい。やっぱり白でした」


私は『歌合戦戦略ノート』に

結果を書き込んだ。


 

年越しのカウントダウンが始まる。


「あーッ!

 年越しラーメンが間に合わない!」


慌てて黒川のセレブラーメンを掻き込む。


「ぐはッ! ゲホッ!」


「お嬢。慌てて食べなくていいよ」


「でも、年内に食べきらなければ……。

 ゴハッ!」


「いやいや。

 地域によっては

 年明けに食べる所もあるから大丈夫だよ」


「そ……、そうなの? げっふぁ!」


咳き込みながら

畳の上で悶えていると、


黒川が目を覚ました。


「……何をしているんだ?」


「く……、黒川。ゲッホ!

 こ……、このラーメンを……、

 ゴホッ、ゴホッ……。

 ご覧なさい……。ゲッホ!

 黒川のセレブラーメンでズエッハよ!」


「お前……。大丈夫か?」


黒川が私の背中を擦る。


敵に心配されるとは、一生の不覚!



「く、黒川。

 ゲッホゲッホ……。

 私の事は放っておいて。

 それより、黒川の大事なセレブラーメンを

 私が勝手に頂戴しているのですよ?

 ゴッホ。

 ギャフンと言ってみたらどうですか?

 ゴッフン!」


「ギャフン」



黒川が真顔で言った。



……恥ずかしくないの?



いや。


こんな恥ずかしいセリフを聞いてしまった

私の方が恥ずかしいわ!


「ところでお嬢。

 そのラーメン、賞味期限がかなり前に

 切れていて捨てようと思っていたやつだが、

 味は大丈夫だったか?」


「あ。やはりそうでしたか……。

 ゲッホゲッホ!

 セレブラーメンらしからぬ酸味で

 先程から咳き込みまくっているのは、

 そのせいですね。グハッ!」


「確認してから食えよ……」


「く……、苦しい……」



私が悶え苦しんでいる間に

カウントダウンは終わり、

年が明けてしまった。



不良少女の道のりは険しい……。


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