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救援

 聴取を終えて一時的に解放されて、俺とエリナは〈風精館〉へ戻った。

「助けが遅れてすみません…」

申し訳なさそうにするエリナを気にしなくていいとなだめた。

コロニーの調査にはあのホフマンという男が向かったようだが解決はできるのだろうか?

解決することがベストだが取り敢えず生き残りたい。

〈風精館〉の前に立つと安心感がわいてきた。

オンボロな建物ではあるが詰所の牢獄よりは断然マシだ。


 「おかえり」

扉を開けてすぐに迎えてくれたのはエリナのお婆さんだった。

「ただいまお婆ちゃん!」

家に戻ったことでエリナの元気も回復していた。

「ああ、あんたも帰ってきたのかい…」

お婆さんがこちらに向ける嫌悪感のようなものも解放された今では心地好い。

お婆さんに軽く挨拶を済ませてそのまま真っ直ぐ部屋に戻った。

ベットに横たわると睡魔が重くのしかかり眠りへと誘われた。


    ―――――――――――――――


 俺は靄のかかった平原を歩いていた。

手にはうっすらと輝く短剣。

意識はぼんやりとし、うまく思考ができそうにない。

目を凝らすと三つの人影らしきものが見えた。

「おーい!すみませーん!」

人影に呼び掛けてみるも反応はなく影達はどんどん先に進んでしまう。

気味が悪いが何かの手がかりかもしれない。

人影に近づくとはっきりと影は人の形をしてこの平原を歩いていることがわかった。

影同士は時々コミュニケーションを取っているような動作をするがこちらには一切気づいていないようだ。

影に触れようともしてみたが手はすり抜けてしまった。

まるで自分が世界から隔絶されたような気分だ。


 しばらくついていくと見覚えのある穴が見えてきた。

土竜の穴だ。

影達は荷物を漁り穴に入る準備を始めたがこちらは短剣以外何も持っていない。

影達が穴に入りはじめた。

影達の道具を共有できればいいのだが、ロープらしきものもランタンらしきものもただ影がその形を成しているだけで機能は果たしていない。

穴の中は靄がなく、何も見えない。

穴に入った影はその闇に溶け込みどこにいるのかわからなくなってしまった。

今この穴に入ると戻ることはできなさそうだ。

すると持っていた短剣の輝きが増して平原の先を光線で指し示した。

なんとなくその方向へ進めと言われている気がした。

短剣の示す方向へ進むと森があった。

光線はまだ先を示している。

森の中では時々木々の間を動物や小型の魔物の形をした影が通っていた。


 光線の導きで歩いた先にはぽっかりと木の生えていない場所があった。

そこにはいくつかの穴があり、そこから下を覗くとたくさんの影が蠢いていた。

ここからではよく見えない。

そう思った時、穴が半透明の硝子のような物で覆われた。

つついてみるとこれは触れる。

足で体重をかけても割れる気配はない。

それの耐久性を確認できたところで乗ってみると、それはゆっくりと下降し始めた。

何が起きたのかさっぱり分からない。

地上に戻るべきだがそう思った時には穴は頭上だ。


 下では多くの影の中央で大きな影が何かを訴えかけているように見えた。

そして再び短剣が輝きだし今度は天井を指した。

天井を見ると今乗っているような硝子状の物に包まれていた。

それが突然割れて落下してきた。

危ない!

咄嗟に頭を抱えて身を縮めた。

周囲に次々と硝子状の物が降り注ぐ。

一通り騒動が終わって目を開けると、下にいた影達が硝子状の物に潰されていた。

それを確認した瞬間意識は途絶え目の前が真っ暗になった―――



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