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秘密の共闘者

 「ありがとうございます!」

祖母の店を利用してもらえたのが嬉しいようでエリナが笑顔でお礼を言った。

「いえいえ、こちらも助かりました」

老婆から金を受け取りこちらも礼を言った。

「そういえばアルベルトさんはもう宿は決まってるんですか?」

エリナがそう言って手を後ろに組み覗き込むような仕草をした。

昨日の宿は知っているがエリナならもっと良い場所を知っているかもしれない。

それを期待してまだだとアルベルトは答えた。

「それじゃあ是非うちに泊まってってください!実はうち二階が宿泊所になってるんですよ!料金も安いですし是非是非!」

まだ宿を決めてないと聞いてエリナは鼻息を荒くして〈風精館〉を薦めてきた。

何か出てきそうなほど不気味ではあるが勢いに負けてアルベルトは〈風精館〉に泊まることを決めてしまった。

「ありがとうございまーす!一泊10ゴルドです!」

「すごく安いですね。お金もそんなに無いのでつくづく助かります。」

〈風精館〉の宿泊料金は驚くほど安かった。

確かにかなり古くてとにかく不気味だか昨日の宿の半額以下だ。

それでも客がいないのは立地と雰囲気とこの老婆の無愛想さが原因だろう。


 エリナはご機嫌な様子でアルベルトから10ゴルドを受け取りそれを老婆に渡してから今度は扉の方に駆けていきこちらを向いた。

「宿も決まりましたし約束通りフリーベル

を案内しますね!」

元気よく手招きをする姿は幼い少女のようだった。

「はい、お願いします」

アルベルトはエリナのテンションについていけずつい苦笑いをしまった。

「お婆ちゃん!ちょっとアルベルトさんを案内してくるから部屋の準備お願いね!」

「はいよ」

エリナに対する老婆の表情がアルベルトの時よりもずっと朗らかだったが気にしないことにしよう。


 〈風精館〉を出た二人は大通りに立った。

「どこから案内しましょうかねぇ…?」

エリナは特にノープランだったようで腕を組んで考え始めてしまった。

「この町ってどういう町なんですか?」

小さな村の生まれのアルベルトも何から案内してもらうべきかわからずそんなことを聞いてみた。

「フリーベルはですね、旅の中継地点としてよく使われる町ですね。いろんな所への街道がつながってますし安全ですしね。まあでも周りに草原しかないんでここを目的地とした人はあんまりいないですね。」

エリナは自慢げにそんなことを答えてくれた。

「どんな所につながってるんですか?」

「そうですねぇ……北に行くとミスリルが採れることで有名なベンデル鉱山がありますし、南に行くとモルテ河っていう大きな河がありますし、東に行くといくつか町を挟んで王都がありますね!西は細々とした集落があるぐらいですかねぇ……」

アルベルトが生まれたクシル村はその細々とした集落の一つだ。

「アルベルトさんはどこか目的地があるんですか?」

ふいにエリナがそう尋ねてきた。

だが特にアルベルトには目的地というものはない。

なにせ村の仕事ができず半強制的に送り出された身だ。

「うーん、特にどこを目的にしてるっていうのはないですね。俺は出稼ぎっていうかなんていうかそんな感じの身なので。」

自分でもなんとも説明し難いものだった。

「出稼ぎですか……でしたらここで旅支度をして王都に行くといいかもしれませんね。あそこは仕事が余るほどありますし。」

王都にアルベルトができる仕事があるかはふあんだがそれもいいかもしれない。


 「じゃあ旅支度にいいお店を紹介した方が良さそうですね!さ、行きましょう!」

プランが決まりエリナはまた元気になったようだ。

「案内するとこいっぱいありますから早く行きましょう!日が暮れちゃいます!」

エリナの案内は疲れそうだと先行きが不安になってきたアルベルトであったーーー



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