魔力を開放してあげたい訳だが
「しょぼいよノコさん~しょぼ過ぎるよ~」
あれ、なんでだろう。知らず知らずに涙が流れてくるよ?
ノコさんは突然の俺の涙に酷く狼狽し始めた。
「は?急にどうし…あ!」
しかしすぐに俺が何を言っているのか理解したのだろう。
「お、お前もしかしてそれは私のステータスの事を言っているのか?い、言って置くがな、私は魔術師だ!魔術師は本来、戦闘なんて野蛮な事はしない!あくまで研究が本業なんだ!しかし宮廷魔術師でもなければ研究費だって全て自前で工面しなきゃいけない訳で、その為に仕方なく暇を見つけてこしらえた魔術薬や魔道具を売ったり、時には冒険者の真似事の様な事をしているだけだ!だからステータスが低い事は魔術師にとって非常に瑣末な問題なんだ!ステータスなんて関係ないんだ!」
「だって~MPも低いよ?600だよ?」
これ低いんだよな?
いやこの世界の魔法使い魔術師の平均は知らないから分かんないけど、ぱっと見低いよ。
「ぐ…そ、それは私に魔力操作を頼めるようなコネも金もないからで…そ、それでもな?これでも開放前の魔力としてはかなり高い方なんだぞ?それに如何にして消費魔力を抑えるかというのは魔術師にとって永遠の命題でもあって、湯水の様に自分の魔力を使うなんて事は…そ、そうだな、ど、ドラゴンでも出来る…!だからそんな事は何も凄い事ではない!魔力が多ければ多いほうがいいなんて才能だけ魔法使いの世迷い言だ…そうだ、そうだお前は多重魔法持ちと言っていたな?ならばきっと魔力操作も出来るんだろう?お前だって魔力操作で魔力を解放する前はそこまで…」
「そんな事は別にしてませんけど、魔力操作ってそういうアレだったんですね」
あ、ノコさんが固まった。
うん。一覧にはあったけど、説明見てないからな。
そうか、魔力操作って魔力の開放とか出来たんだね。
というか今度スキルにざっと目を通しておくかな。
「…ふ、才能なんて…才能なんて」
ノコさんは何事かをぶつぶつと呟きながら、がっくりとカウンターに突っ伏してしまった。
というかノコさんかなり才能コンプ?努力の人っぽいからなぁ。
ん?とかなんとかしてる間に小太りがいなくなってる。帰ったっぽいね。
その代わりに何か違う人の気配があるけど、まぁいいや。
それにしてもノコさんは魔力を解放したいのか。ふむふむ。
「ノコさん、ノコさんや」
俺はノコさんの肩の上に転移して、ちょいちょいと頭をつつく。
ついでに猫耳も触っとく。ついでというかこっちが本命だけど。
「…なんだこの化け物が」
ノコさんは鬱陶しそうにこちらに顔を上げる。
間近で見るとほんと整ったお顔してますね。
俺は最高のゲスマイルを顔に浮かべる。
「僕と契約して、魔力開放して欲しいんだ!」
「……は?」
ノコさんは一瞬呆けた様な顔をした。
しかしその顔は徐々に真剣な顔に変貌していく。
「…お前、魔力操作、出来るのか?」
「おそらく。まだやった事はないですけどね」
なにせ今からスキル取る訳ですし。
「金は?」
「契約さえして貰えればそんな物いりません。ちなみに一般的にはおいくら位かかるんですか?」
「…金貨500枚だ」
わぁ、家が建っちゃうね。というかボリ過ぎじゃね?
「そうですか。まぁどうでもいいですけどね」
「…契約とはなんだ?そういえばお前さっき私は自分の物とか言っていたな。‘お前も’私を抱きたいのか?」
ノコさんの顔がすぅっと醒めていくのが分かった。というかちゃんと聞こえてたんじゃないですかー。
しかしなるほど、どうにもエドガーとの関係も真っ当なそれではなかったらしいね。
しかしこんな赤ちゃんに抱くとか抱かないとか根本的におかしいだろ。まぁ抱きたいけどね。
「そうですね。私はノコさんの事かなり気に入っちゃったんで機会があれば是非お願いし…」
そこまで言った時、俺の眼前に1本のナイフが‘出現’した。
俺は咄嗟に顔を横に逸らし、それを回避する。
標的を見失ったナイフは、それでも目にも止まらぬ速さで後ろの壁に突き刺さった。
今のはちょっとだけ危なかったな。いつものヤツより3割増しで殺しにかかってきてた。
「はいルッカさん、遠征ご苦労様でした。物資は無事に向こうに届きましたか?」
ありがとうございます!
お気に入り1200突破、総合評価も3000間近です!
これからもご愛読して頂かれば幸いです。




