玄武古道
翌朝。
玄武門の冒険者ギルド前には、ユースケたち6人が集まっていた。
「時間通りだな!」
サトルが、ゴブリンジェネラルの討伐報酬で手に入れた鉄壁の盾を持ち直す。
反対の手にはシルバーアックスを持っていた。
ランも疾風の拳を装備し、軽く身体を動かしている。
「じゃあ行こうか」
ユースケは5人を見回した。
「いざ玄武街へ!」
シオリが元気よく杖を掲げる。
「おう、行くぞ!」
6人は玄武門をあとにした。
◇
しばらく歩くと、前方に古びた石門が見えてきた。
その先には、山間を縫うように石畳の道が続いている。
道の両脇には崩れた石壁や柱が残り、ところどころに苔が広がっていた。
石門の上部には、亀に蛇が巻き付いた玄武の紋章が刻まれている。
「ここみたいだね」
ユースケがヘルパーを開く。
【玄武古道】
【推奨レベル25】
「推奨レベルは25か」
サクラが弓を構え直す。
「世界地図の玄武街と同じだね」
「ここを抜ければ玄武街に着きそうだね」
6人は石門をくぐった。
頭上には空が広がっている。
道幅も広く、6人でも十分に戦えそうだった。
「ユースケ、どうする?」
サトルが尋ねる。
「サトルさんが正面で受けて、ランさんはもう一方をお願いしていいですか?」
ランが古道を見渡す。
「それで問題ないわ」
「おう、任せとけ!」
サトルが盾を叩いた。
「じゃあ俺はアタッカーに回ります」
ユースケは炎鱗の大剣を取り出す。
「おお、いいじゃねえか。前は俺たちに任せろ!」
「お願いします」
ヒナも杖を持ち直した。
「ブレスはユースケさんとサクラさんを中心に使いますね。サトルさんとランさんはプロテクションやリジェネで支援します」
「お願いしていい?」
「はい」
ヒナが杖をユースケへ向ける。
「ブレス!」
淡い光が身体を包む。
STRとDEXが上昇した。
「ありがとう」
「30分で更新しますね」
準備を整え、6人は玄武古道を進んだ。
◇
石畳を進んでいると、サクラが足を止めた。
「前にいるよ」
崩れた石柱の向こうに、剣と盾を持った骸骨が3体。
その近くの岩陰から、灰色の蛇が2体姿を現した。
【ソルジャースケルトン】
【レベル23】
【ロックスネーク】
【レベル23】
「弱点を確認するね」
ユースケはソルジャースケルトンを見る。
「アナライズ!」
【弱点属性:火】
【耐性属性:氷】
【状態異常耐性:毒、睡眠】
「スケルトンは火弱点。氷耐性!」
「火弱点キター!」
サクラが炎鱗の弓を構える。
続けてロックスネークへ視線を移す。
「アナライズ!」
【弱点属性:氷】
【耐性属性:土】
【状態異常耐性:毒】
「蛇は氷弱点。土耐性!」
「弱点も耐性もバラバラですね」
ヒナが杖を握り直す。
「俺がスケルトンを抑える!ラン、蛇を頼む!」
「分かったわ」
サトルが前へ出た。
「シールドノック!」
盾を打ち鳴らす。
3体のソルジャースケルトンが一斉にサトルへ向きを変えた。
「ガーディアンスタンス!」
サトルの身体を淡い光が包む。
腰を落とし、鉄壁の盾を深く構えた。
ガンッ!
振り下ろされた剣を正面から受け止める。
続けてもう1体の剣がぶつかる。
それでもサトルの足はほとんど動かなかった。
「おお、硬い!」
サクラが声を上げる。
「こっちは任せろ!」
その横では、ランが2体のロックスネークを引きつけていた。
1体が飛びかかる。
ランは身体を横へずらし、牙をかわした。
続けて足元へ迫ったもう1体も、軽く跳んで避ける。
「さすがランさん!やっぱりかっこいい!」
シオリが目を輝かせる。
ランはちらりとシオリを見る。
「ちゃんと敵も見て」
「はーい!」
ユースケはサトルの横を抜けた。
「パワースラッシュ!」
炎をまとった大剣がソルジャースケルトンを叩き斬る。
そのまま光の粒へ変わった。
「やっぱり効くね」
「こっちも!」
サクラが弓を引く。
「ダブルショット!」
炎をまとった2本の矢が、別のソルジャースケルトンへ突き刺さる。
2体目も光の粒へ変わった。
ロックスネークがランへ飛びかかる。
ランがかわし、そのまま懐へ入った。
「ラッシュコンボ!」
拳と蹴りの連撃が叩き込まれる。
ロックスネークが大きくよろめいた。
そこへサクラの矢が突き刺さる。
光の粒へ変わった。
「いくよ!」
シオリが残ったロックスネークへ杖を向ける。
「アイスバレット!」
氷弾が直撃する。
ロックスネークはそのまま光の粒となって消えた。
「やったー!」
残るソルジャースケルトンへサトルが斧を振り下ろす。
さらにユースケが横から踏み込み、炎鱗の大剣を振り抜く。
最後のソルジャースケルトンも光の粒へ変わった。
「よし!」
サトルが盾を下ろす。
「早かったね」
シオリが笑う。
「弱点が分かると楽だね」
サクラも弓を下ろした。
「おう、この調子で行こうぜ!」
6人は再び古道を進んだ。
さらに奥へ進むと、石畳の一部が崩れ、周囲には背の低い草が生えていた。
「またいる」
草むらの向こうから、大きな牙を持った獣が2体姿を現す。
【ワイルドボア】
【レベル23】
ユースケがアナライズを使う。
【弱点属性:風】
【耐性属性:火】
【状態異常耐性:なし】
「弱点は風。火耐性!」
「えー!せっかくの新しい弓なのに!」
サクラは炎鱗の弓をしまい、シルバーボウへ持ち替えた。
ユースケも炎鱗の大剣からアイアンスタッフへ持ち替える。
「風なら任せて!」
シオリが杖を構えた。
ワイルドボアが地面を蹴る。
「俺が前に出る!」
サトルが盾を構えた。
ガンッ!
1体の突進を鉄壁の盾で受け止める。
「重いな!」
もう1体はランへ向かった。
ランが身体を横へずらし、突進をかわす。
「ウィンド!」
シオリの風の刃が、サトルの前にいるワイルドボアを切り裂いた。
「ブオッ!」
そのまま光の粒へ変わる。
「やったー!一撃!」
シオリが笑う。
残ったワイルドボアが再びランへ突っ込む。
ランはぎりぎりまで引きつけ、横へかわした。
ユースケも杖を向ける。
「ウィンド!」
風の刃が胴を切り裂く。
「ブオオッ!」
ワイルドボアが大きくよろめいた。
だが、まだ倒れない。
「やっぱりシオリほどは削れないか」
さらにサクラの矢が脇腹へ突き刺さる。
ランも一気に間合いを詰めた。
拳を叩き込む。
ワイルドボアの身体が光の粒へ変わった。
「火耐性がいるなら、持ち替えも必要だね」
「そうだね。相手次第かな」
ユースケは杖を下ろした。
「そのときは任せて!」
シオリが嬉しそうに笑う。
「頼りにしてるよ」
「うん!」
「まあ、何とかなるだろ!」
サトルが笑う。
「サトル、油断しないで」
「ガハハ!分かってるって!」
古い石畳は、まだ先まで続いていた。
6人はそのまま玄武古道の奥へ歩を進めた。
玄武古道をさらに進む。
しばらくすると、崩れた石壁の向こうからソルジャースケルトンが2体姿を現した。
その足元を、2体のロックスネークが這っている。
「またセットだね」
サクラが炎鱗の弓を構える。
「俺がスケルトンを抑える!」
サトルが前へ出た。
「シールドノック!」
2体のソルジャースケルトンがサトルへ向かう。
その横では、ランがロックスネークを引きつけた。
ユースケも炎鱗の大剣を振り上げる。
「パワースラッシュ!」
炎をまとった大剣がソルジャースケルトンを叩き斬る。
そのまま光の粒へ変わった。
「ダブルショット!」
サクラの放った2本の矢が、もう1体へ突き刺さる。
炎が広がり、こちらも消えていった。
「アイスバレット!」
シオリの氷弾がロックスネークへ直撃する。
そのまま光の粒へ変わった。
残った1体へランが拳を叩き込む。
そこへサクラの矢が突き刺さり、最後のロックスネークも消えた。
「順調!」
シオリが笑う。
「おう、この調子で行くぞ!」
6人は再び歩き出した。
その後も魔物は何度も現れた。
ワイルドボアが見えれば、ユースケはアイアンスタッフへ、サクラはシルバーボウへ持ち替える。
「ウィンド!」
シオリの風魔法がワイルドボアを切り裂く。
その横では、サトルがソルジャースケルトンの攻撃を盾で受け止める。
別の場所では、ランが2体のロックスネークを引きつけ、その間にサクラとユースケが敵を減らしていった。
さらに進むと、今度は3種類の魔物が入り乱れて現れた。
「うわ、多い!」
シオリが杖を握り直す。
「焦らなくていいわ」
ランがロックスネークの前へ出る。
「こっちは俺が抑える!」
サトルの盾にソルジャースケルトンの剣がぶつかった。
ヒナが前衛を支え、ユースケたちは相性のいい敵から順番に倒していく。
何度か戦闘を繰り返すうちに、6人の動きも自然と噛み合っていった。
やがて、古道の先が明るくなった。
「出口?」
シオリが顔を上げる。
石畳の先には、大きく崩れた石門が立っていた。




