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玄武の渡り人 ~帰還できるのは、ただ1つの大陸だけ~  作者: かにかま
第2章 玄武門

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物欲センサー

ゴーレムを倒したユースケたちは、さらに鉱山の奥へ進んでいた。


「また部屋があるね」

ユースケが前方を見る。


「中に何かいるみたい」

ヒナが目を凝らす。


そこには、先ほどと同じように巨大なゴーレムが立っていた。


「またゴーレムか」


ユースケはアナライズを使う。


【ゴーレム】

【レベル18】

【弱点属性:風】

【耐性属性:土】

【状態異常耐性:毒無効】


「さっきと同じだね」

「それなら、今度は大丈夫そうだね」

「うん。行こうか」


ユースケは片手剣と盾を構え、ゴーレムへ向かって走り出した。


「アーマーブレイク!」

片手剣が岩の身体を斬りつける。


「アイスバレット!」

「ウィンド!」


シオリとヒナの魔法が続けて命中する。

ゴーレムが巨大な拳を振り下ろした。


「クイックステップ!」

ユースケは後方へ飛び退き、攻撃をかわす。


1度戦った相手だ。

無理に攻撃を受けず、動きを見て避ける。その間にシオリとヒナが魔法を撃ち込んでいく。


やがて、ゴーレムの身体に大きな亀裂が走った。


ドォン!


巨体が崩れ、光の粒となって消えていく。


「よし」


ユースケが周囲を確認する。

ゴーレムがいた場所の奥には、先ほどと同じ採掘マークが表示されていた。


「ここにも発掘ポイントがあるね」

「今度こそ!」


シオリがすぐにピッケルを取り出す。


「最初にやる?」

「うん!」


岩壁の前へ立つ。


ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!


5回掘り終え、シオリが手元を確認する。


「……」

「どうだった?」

「鉄鉱石が5個…」

「また?」

「玄鉄鉱、0個…」


シオリの肩が落ちる。


「まあ、そういうこともあるよ」

ユースケが苦笑する。


「次は俺がやってみるね」

ユースケも5回発掘する。


「鉄鉱石が4個と、玄鉄鉱が1個」

「またユースケが出した…」


シオリの声が少し低くなる。


「次は私だね」

ヒナも発掘を始めた。

5回を終え、鉱石を確認する。


「玄鉄鉱が2個。あとは鉄鉱石だね」

「えっ、2個!?」


シオリが目を見開く。


「これで俺が2個、ヒナが3個か」

「私だけ、まだ0個…」


シオリが自分の鉄鉱石を見つめる。


「3人で集めればいいんだから、気にしなくていいよ」

「そうだよ。まだ先もあるし」

ヒナも微笑む。


「…次こそは!」

シオリが顔を上げた。

3人は発掘道具を片付け、さらに鉱山の奥へ進んでいった。



しばらく進むと、また小部屋が見えてきた。

中には、やはりゴーレムが立っている。


「またゴーレムだね」

「ゴーレムの奥に発掘ポイントがある可能性は高そうだね」


ヒナの言葉に、ユースケも頷く。


「今のところは、そうみたいだね」

「今度こそ玄鉄鉱を見つける!」


シオリが気合いを入れる。


「その前に倒さないとね」

「分かってるよ!」


ユースケたちはすぐに戦闘へ入った。


「アーマーブレイク!」

「アイスバレット!」

「ウィンド!」


ユースケがゴーレムの攻撃をかわし、その隙にシオリとヒナが魔法を撃ち込んでいく。

すでに戦い方は分かっている。


ほどなくして、ゴーレムは光の粒となって消えた。


「よし!」

シオリがすぐにピッケルを取り出す。


「今度こそ玄鉄鉱を掘るよ!」

「じゃあ、誰から掘る?」

「私!」


シオリが手を挙げる。

だが、すぐに動きを止めた。


「……と言いたいところだけど」

「どうしたの?」

「今回は最後にする!」

「最後?」

「うん。ユースケとヒナが先に掘って」

「どうして?」


シオリは自信満々に胸を張る。

「今度は最後に掘ったら、玄鉄鉱が出る気がする!」


「なるほど…」

ユースケは苦笑した。


「じゃあ、俺からやるね」

5回発掘する。


「玄鉄鉱が2個。鉄鉱石が3個」

「なんでっ!」


シオリがすぐに声を上げる。

ヒナが笑いをこらえながらピッケルを受け取った。


「次は私だね」

発掘を終え、手元を見る。

「玄鉄鉱が1個で、鉄鉱石が4個だったよ」


「…おめでとう」

シオリが俯いたまま祝福する。


ユースケは集まった玄鉄鉱を数えた。

「これで合計8個だから、あと1個だね」


「いくよ!」

シオリがピッケルを振りかぶる。


ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!


「……」

シオリが黙って手元を確認する。


「どうだった?」

「鉄鉱石が5個…」

「……」

「玄鉄鉱、0個…」

「……」


シオリがその場でうなだれた。

「最後にしてもダメだった!」


そして、勢いよく顔を上げる。

「やっぱり物欲センサーってあるんだよ!」


「物欲センサー?」

ヒナが首を傾げる。


「欲しいと思ってる人には出ないの!」


「そんなことないと思うけど…」

ユースケが苦笑する。


「私、もう玄鉄鉱はいらない!」

シオリがそっぽを向く。


「本当に?」

「本当!」


「じゃあ、次は掘らなくていい?」

「違う、そうじゃないの!」


「どっちなの?」

ヒナが思わず笑う。


「だって、ここまで来たら絶対に見つけたいもん!」

シオリは悔しそうにピッケルを握りしめた。


「それ、欲しいって言ってるよね」

「言ってない!」

「言ってるよ」

「もう!」


シオリが頬を膨らませる。

ユースケも笑いながら立ち上がった。


「まあ、次こそ出るかもしれないしね」

「そうだね。次を探そう」

「うん!」


シオリは再び元気を取り戻す。

「次こそ玄鉄鉱を見つける!」


3人はさらに鉱山の奥へ進んでいった。



さらに進んだ先で、新たな小部屋を見つけた。

その中央には、やはりゴーレムが立っている。


「これで4体目だね」

ヒナが呟く。


「じゃあ、倒そう!」

シオリがすぐに杖を構えた。


「切り替え早いね」

ユースケも片手剣と盾を構える。

ゴーレムがゆっくりと動き始めた。


「アーマーブレイク!」

ユースケが斬り込む。


「アイスバレット!」

シオリの氷弾が直撃する。

さらにもう1発。


「アイスバレット!」


「シオリ、ちょっと気合い入ってる?」

「入ってない!」


「入ってるね」

ヒナが小さく笑いながら杖を向ける。


「ウィンド!」


ユースケが攻撃をかわしてゴーレムを引きつけ、シオリとヒナが魔法を撃ち込む。

やがて、岩の身体に大きな亀裂が走った。


ドォン!


巨体が崩れ落ち、光の粒となって消えていく。


その直後だった。


「ええっ!?」

シオリの声が裏返った。


「どうしたの?」

「レアドロップ!」


シオリが目を見開いたまま、表示を指差す。

「ゴーレムからレアドロップが出た!」

「それって、ユースケさんが前に手に入れた

0.02%の?」


「うん!それ!」

シオリが手に入れたアイテムを確認する。


【守護のお守り】

装飾品

効果:物理攻撃によるダメージを10%軽減


「物理ダメージ10%軽減!?」


さっきまでの落ち込みが嘘のように、シオリの顔が輝く。


「玄鉄鉱よりすごいの出たね」

ユースケも思わず笑う。


ヒナがシオリの隣へ寄った。


「よかったね」

「うん!」


シオリはお守りを大事そうに眺める。


「物欲センサー恐るべし…」

ユースケが呟く。


「私はこれで満足!」

シオリが満面の笑みを浮かべた。


「じゃあ、発掘する?」

「もちろん!」


即答だった。

ユースケとヒナが顔を見合わせる。


シオリはピッケルを構えた。


「玄鉄鉱なんて、いらない!いらない!いらない!いらない!いらない!」

「それ、絶対欲しい人の言い方だよね」


聞こえていないのか、シオリは力いっぱい岩壁を叩く。


ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!

ガンッ!


シオリが手元を確認する。


「……」

「どうだった?」

「全部、鉄鉱石…」

「……」


シオリの肩が震える。

そして――。


「なんでぇぇぇ!」


鉱山の奥まで、シオリの叫び声が響き渡った。

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