初めての討伐報酬
「宝箱だ!」
シオリが嬉しそうに声を上げる。
初めて挑んだボス戦。その勝利の証が、目の前にある。
ユースケは宝箱へ近づいた。
「開けてみようか」
「うん!」
5人が見守る中、ゆっくりと蓋へ手を伸ばす。
カチッ。
次の瞬間、宝箱から眩しい光が溢れた。
光が5人を包み、それぞれの前に通知が表示される。
【職業に応じた討伐報酬を獲得しました】
【ポイズンダガーを獲得しました】
「職業に応じた報酬?」
ユースケは表示された短剣を取り出した。
紫色の刃を持つ、小型のナイフだった。
【ポイズンダガー】
ATK:+10
効果:一定確率で毒を付与
「短剣か」
盗賊の得意武器だが、今までほとんど使っていない。
それでもアイアンダガーより攻撃力が高く、さらに毒まで付いている。
「これは使ってみたいな」
これまでとは違う戦い方ができそうだった。
「俺はこれだ!」
サトルが自分の報酬を取り出す。
【鉄壁の盾】
DEF:+13
効果:盾防御時のダメージを少し軽減
アイアンシールドよりも少し大きく、見るからに重厚な盾だった。
サトルは嬉しそうに持ち上げる。
「俺は武器よりこっちの方が合ってるな!」
「サトルさんの戦い方にぴったりですね」
ヒナが笑う。
ユースケも頷いた。
「盾で受けることが多いから、かなり使えそうですね」
「おう!」
続いて、ランも自分の報酬を確認する。
【疾風の拳】
ATK:+15
効果:AGI+3
両手に装着するナックル。
ランは装備すると、軽く拳を握った。
「軽いわね」
何度か構えを変え、感触を確かめる。
「これなら、もっと動きやすそう」
「ランさん、さらに速くなるんですか?」
シオリが目を輝かせる。
「少しだけね」
ランは小さく笑った。
「私はこれ!」
今度はシオリが杖を掲げる。
【魔力の杖】
MATK:+15
効果:攻撃魔法の効果上昇(小)
「おお…」
ユースケも思わず杖を見る。
シオリは嬉しそうに笑った。
「私、火力特化型になってきてるね!」
「シオリのための杖みたいだね」
「でしょ!」
最後に、ヒナも自分の報酬を確認する。
【癒しの指輪】
装飾品
効果:回復魔法の効果上昇(小)
小さな指輪が淡い光を放っている。
ヒナは大切そうに手に取った。
「回復を補助する装備みたいですね」
「ヒナにはかなり合ってそうだね」
「はい!」
ヒナが嬉しそうに指輪を装備する。
「そういえば、ユースケさんも指輪持ってたよね?」
シオリがユースケの手元を見る。
「安らぎの指輪だね」
「私はこれが初めての装飾品です」
ヒナが指輪を眺めながら微笑む。
「ボスを倒すと、こういう装備も手に入るんだね」
「毎回こうなのかは分からないけど、楽しみは増えたかな」
「次のボスも倒そう!」
「もう次の話してる…」
ユースケが苦笑すると、ランも小さく笑った。
5人はそれぞれの新しい装備を見比べた。
「全員違うんだね」
シオリが興味深そうに言う。
「職業に応じた報酬って出てたから、それぞれに合う装備が選ばれてるのかもしれないね」
サトルが鉄壁の盾を眺める。
「奪い合いにならないのはいいな!」
「確かに」
もし宝箱から装備が1つしか出なければ、誰が使うか相談する必要がある。
だが今回は、5人全員にそれぞれ報酬が与えられた。
「初回だけなのか、ボスは全部こうなのかは分からないけどね」
ユースケがそう言うと、シオリがすぐに答える。
「じゃあ、次も倒せば分かるね!」
「ずいぶん簡単に言うね」
「だって、今回も倒せたじゃん!」
「5人でね」
「じゃあ、またみんなで倒せばいいよ!」
シオリが笑う。
その言葉に、ユースケも少し笑った。
「そうだね」
初めてのボス戦。
簡単な戦いではなかった。
それでも、5人で役割を分け、力を合わせたから勝つことができた。
そして、その結果が今、手の中にある。
「いい感じだね」
ユースケの言葉に、5人の間に自然と笑顔が広がった。
そのままユースケは、今回の戦闘で変わったものを確認する。
レベルは20。
新しい固有スキルも増えていた。
【名前】ユースケ
【職業】盗賊
【レベル】20
【HP】58+5
【MP】49+6
【STR】19+7
【VIT】19+4
【AGI】24+6
【DEX】24+7
【INT】19+4
【LUK】19+1
【武器熟練度】
片手剣:Lv5
盾:Lv4
弓:Lv2
両手剣:Lv2
【盗賊固有スキル】
瞬足
クイックステップ
アナライズ
【片手剣スキル】
スラッシュ
ワイドスラッシュ
片手剣適性アップ
アーマーブレイク
【盾スキル】
シールドバッシュ
シールドノック
盾適性アップ
【弓スキル】
パワーショット
【両手剣スキル】
パワースラッシュ
【習得魔法】
アイスバレット
ヒール
【武器適性】
短剣:120%
片手剣:110%(100%+10%)
両手剣:80%
槍:100%
斧:90%
弓:110%
杖:90%
鈍器:90%
ナックル:110%
盾:100%(90%+10%)
【魔法適性】
攻撃魔法:90%
回復魔法:70%
【防具】
盾:アイアンシールド(DEF+10)
頭:アイアンヘルム(DEF+5)
胴:アイアンアーマー(DEF+12)
腕:アイアンガントレット(DEF+6)
足:アイアングリーブ(DEF+6)
【主な所持武器】
ポイズンダガー(ATK+10)
アイアンソード(ATK+10)
アイアングレートソード(ATK+16)
アイアンスタッフ(MATK+10)
【装飾品】
1:安らぎの指輪
効果:横臥時のHP・MP自然回復速度上昇(小)
2:なし
「結構増えたな…」
始まりの街へ来た時、武器は木製の片手剣と盾だけだった。
今では剣だけでなく、弓、両手剣、杖まで使っている。
そして、新しく短剣も手に入った。
「盗賊らしい武器も、やっと来たね」
ポイズンダガーを見ながら、ユースケは小さく笑った。
まだ試していないことは多い。
アナライズもそうだ。
ポイズンダガーの毒も、まだどの程度の効果なのか分からない。
「次の街でも、やることは多そうだな」
ユースケはヘルパーを閉じた。
◇
一通り報酬を確認したところで、ランが部屋の奥へ視線を向けた。
「ユースケ、あれ」
「ん?」
ゴブリンジェネラルを倒すまでは何もなかった壁際に、上へ続く石造りの階段が現れていた。
「あんなのあったっけ?」
シオリが首を傾げる。
「いや、なかったと思う」
ユースケは階段の先を見る。
「ボスを倒したから出てきたのかな」
サトルが楽しそうに笑う。
「行ってみれば分かるな!」
「そうだね」
ユースケが先頭に立つ。
「一応、気をつけて進もう」
5人はゆっくりと階段を上っていった。
やがて、先から明るい光が差し込んでくる。
階段を上り切った瞬間。
「わぁ…」
シオリが声を漏らした。
そこに広がっていたのは、今までとは違う景色だった。
少し離れた場所に、大きな城壁が見える。
その中央には、巨大な門。
始まりの街とは明らかに規模が違う。
「あれが…玄武門かな」
シオリが目を輝かせる。
ランも街を見つめながら頷いた。
「たぶん、そうね」
サトルが大きく伸びをする。
「ようやく次の街か!」
「行きましょう」
ヒナの言葉に、ユースケも頷いた。
新しい街。
そこには、まだ知らないものが待っている。
そして――。
タケシ。
サクラ。
マユ。
まだ会えていない3人の顔が頭に浮かぶ。
次の街なら、新しい情報が見つかるかもしれない。
もしかしたら、誰かが先に到着しているかもしれない。
「早く見つけないとな」
小さく呟き、ユースケは歩き出した。
シオリ、ヒナ、サトル、ランもその後に続く。
初めてのボスを越えた5人は、次の街――玄武門へ向かって歩き始めた。
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