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【完結】二振りの剣と星の航跡 〜次元を越え、時を超える少年の物語〜  作者: @SsRay
青年編 黄夏星(おうかせい)と緑春星(りょくしゅんせい)

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ep14.帰路の準備

 三人は革命軍のメンバーたちが騒がしく食事を摂っている一角に加わった。

 ミラが朝からいじっていたデバイスを傍らに置き、ベガが最後の一口まで豪快にスープを啜り終える。


 朝食の賑わいの中、三人は革命軍のメンバーたちと同じテーブルを囲んでいた。


「……なあシリウス。おまえの剣、兵士たちが()()()()だってビビってたぜ。一体誰に教わったんだ?」


 ベガが豪快にスープを飲み干し、口元を拭いながら身を乗り出す。


「師匠だよ。二刀流のな。対人戦用なんて意識したことはないけど……」

「その師匠の名前は?」

「名前、か……。ミラが『師匠』って呼んでたから、俺もそう呼んでただけだ」


「はぁ!? 名前も知らねぇのかよ。流派とか技名とかあんだろ普通。俺のは『オレ流』、この国宝と俺のセンスで完成されてるがな!」

「技名なら……。星の名前だ。――『双星破ツイン・ブレイク』」


「星ねぇ……。なあミラ、おまえなら知ってんだろ?」

 デバイスをいじっていたミラが、力なく首を振る。

「……知らない。起きたら師匠の家だった。……今は、機械をいじるほうが楽しいし。師匠はぶっきらぼうの師匠だよ」

「おいおい。ミラもかよ」


「でも、ミラは凄かったんだ。俺が会う数日前に、一撃で《主》を倒したって師匠が言ってた」

「……そんなことも、あったかも。今はもう……あんな力、出ないけど」

 ミラは自信なさげに目を伏せる。その瞳の光は、今は弱く揺れていた。


「実際、俺もミラと一緒に巨大ロボを倒した。あの時の青い光は……間違いなく本物だ」

「ふん、ますます謎だな。で、その《対人特化》ってのは?」


「師匠との模擬戦は、基本の九つの型を自由に組み合わせるスタイルだった。今思えば、相手が剣を持っている前提の動きだったな。……だが、俺にとっては師匠がくれたこの万能な剣技こそが、進むべき道だと思ってる」

 シリウスの瞳が、確信に満ちた光を放つ。


「……昔はペンダントが光って、知らない技が出たこともあったけど。今は……俺自身の剣を鍛えるだけさ」

「ケッ、真面目だな。ま、名前もわかんねぇヤツを探すのは後だ。それより、魔法だよ魔法!」


 ベガが隣で食事をしていた筋骨逞しい男を叩く。

「なあ、あんた! 俺たちは魔法の初心者だ。教えてくれ、魔法を強化するには何をすりゃいい?」

「……俺たちの世界じゃ、理屈より慣れだったからな。コツを教えろよ」


 男は食事を止め、ベガの不敵な瞳を正面から見据えた。

「……俺の適性は『炎』だ。強化の方法だと?」

「ああ。何をすれば強くなる?」


「答えは一つ。『イメージの強さ』だ」

 男の指先に、小さな、だが密度の高い火種が灯る。

「放つ火がどれほど冷徹に世界を焼き、塗り替えるか。理屈を超える強さは、揺るぎない確信からしか生まれねえ。おまえの中に、それがあるか?」


「そんなに簡単だとはな! 俺の適性は雷と光だ。俺が一番イメージしやすいやつさ!」


 すると、隣で静かに茶を飲んでいた女性導士が、低い声で鋭く付け加えた。


「ただし、自分の『限界』を知ることを忘れるな。魔法は己の魔力を消費する。永遠に打ち続けられる力など存在しない。自分の底を知らぬ者は、どれほど強大な魔法を操ろうと、戦場では真っ先に脱落するわ、ま。例外ってものはあるけどね」


「おいおい、そいつは伝説的な話だ。信じねぇ方がいいぞ。死に際に強くなるとか。使用回数を無視して相手を殲滅したなんて話はな」


「イメージと限界、ね。……ええ、調整のヒントとして最適だわ」


 ミラが静かに立ち上がり、経験豊かな二人の魔導士を見つめる。


「お願い。あなたたちのその魔法、私の訓練に貸して。少し調整したいものがあるの」


「ああ、付き合ってやるぜ、俺はこの中じゃ結構炎の使い方について、自信があるんだ。リーダーよりも火力じゃ負けねぇぞ」

「私は水魔法よ! 随一の腕前見せてあげる」


「ちょうど、試したい属性ね」

「ミラ、朝から熱心にいじっていたのはそれか?」


「魔法専用のシールドを2パターン作ってみたのよ。調整したいの。……あなたたちの魔法なら、最高のテストデータになるわ」


「新発明か。俺も付き合おう」

 ベガも興奮を隠さず、一行は訓練用の広場へと集まった。


「行くわよ。まずは火の魔法、最大出力でぶちかまして」


 ミラの合図とともに、男が凝縮された火炎を放つ。ミラがシールドを展開した瞬間、激しい炎は幾何学的な光の壁に反射され、そのまま空へと消えた。


「次は吸収に切り替えるわ」


 シールドの色が変わった瞬間、荒れ狂う炎が形を変えた科学銃へと収束していく。エネルギーが減ったところで魔法を吸収し、シールドの出力を再チャージする仕組みだ。


「うぉぉっ! 俺の炎が吸い込まれてやがる。なんてやつだ……!」


「おぉ……」


 見守っていたメンバーたちからも、ミラの技術力に感嘆の声が漏れる。


「うまく循環できたみたい、ありがとう! あの戦場ではただのシールドじゃ全然もたないし、あの人数を突破するにはこれが使えそうね、エネルギー効率が格段に良くなったわ」


 次は、拠点裏にある深い堀でのテストをするため、ミラは水のない堀の中へ降りた。


「洪水のような水魔法を頂戴」

「流されないようにね!」


 濁流の水魔法が生成され、堀をつたって大量の水がミラを襲う。草原で受けた水魔法だ。


「水を反射しながら、そのまま中を進めるか試すわ。水魔法の吸収と、反射を同時に起動よ」


 女魔導士が放つ高圧の水流を真正面から受けた。


 数秒後、水底から衝撃波が走る。


 ドォォォンッ!


「大丈夫か。ミラ?」


 濁流の中からミラのシールドがその流れをせきとめるように堀の中心に現れる。


「……成功よ」


 その直後、流れが消えないうちに、ベガがミラのシールドへ雷魔法を放った。


「弾けろ! サンダーボルト!」


 バチバチッ!


 水が雷をまとい、ミラのシールドを襲う。


 ミラのシールドが魔法を吸収し、雷の稲妻がシールドの回りを走り、シールドに吸収され消える。


「草原で食らった合体技だ。実用性はあるようだな」


 彼女は一滴も濡れていない状態で、堀の外へ優雅にジャンプ。格好よく着地してみせた。


「すげぇなぁ……全く濡れてねえ。本当にお前って奴は!」

「流石だな」

「へへっ、これで少しは戻る準備が出来たわ」


 ベガが感心したように声を上げ、革命軍のメンバーたちはその完成度の高さに満足げに頷き、それぞれの持ち場へと戻っていった。


「そうだな。3()()()か。どちらにしても、あの草原に俺たちは戻らないとどこへもいくことができないからな」


「さあ。情報収集にでも行くとするか」


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