表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
湯けむり怪異譚「ぶらぶら」  作者: 秋野きつ
第2章 Black Cats
53/166

第53話 ひたひた


 宵闇が深まるにつれて、鳴りを潜めていた業風が、いや増して激しく吹き荒れてきた。マンションをがりがりと揉み上げ、叩きつけるように襲いかかる。

 しかし、玄関のドアは頑として開こうとしなかった。風が猛り狂えば狂うほど、それはかたくなになるようだった。蜜柑が得意げにいう。


「どや、わてのセンスは。強風のため閉鎖中やで? 風が強まるほど御札の力も強まるっちゅう寸法や。あとは夜明けまで耐えればええ。訪いの神様は時を逃せばもう来やへんさかい。さあ、朝まで酒盛りやでぇ」


 相変わらず業風の吹き荒れる中、蜜柑と千里、そこへ名坂警部補と狭間巡査、また五郎も加わっての酒盛り再開、半ばやけくそである。

 理奈も目を覚まし、美琴、葛音、それに将吾が寝室で付き添っていたのだが、酔っぱらった蜜柑が声をかけにきたという。


「おまんらも来い。ん? 理奈はんが心配やて? だいじょうぶや。わて直筆の御札を二枚も貼ってあるんやで。外から破られることは絶対ない! 理奈はんの様子が心配なら、これでどないや」


 言うと同時に壁や天井が消え失せ、七月の夜空が一面に広がった。家具の配置はそのままに、全面プラネタリウムと化す。みんなの声が聞こえるから平気と理奈も応じ、全員、再び酒盛りに参戦となった。


 調子に乗った蜜柑が力を使い、室内に広がる夜空には、ぽん、ぽん、ぽんと花火も上がる。どや、綺麗やろ? と自慢げな蜜柑だが、目に見えぬ気配が、ひたひたと足元を濡らしているのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ