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湯けむり怪異譚「ぶらぶら」  作者: 秋野きつ
第2章 Black Cats
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第49話 鍵盤


 理奈のマンションに集った面々、詳しい事情も語られて、さてはて、それでは化物退治!


 と、思いきや。


 宴会の真っ最中である。秘蔵の日本酒から、ビール、焼酎、サワーにワイン、ノンアルカクテルまで何でもござれ。季節外れの鍋物に、チーズ、アヒージョ、餃子、鮭とば、焼鳥、枝豆、冷奴。ポテトもあれば燻製卵に冷製パスタ。わりと真面目で大切な話をしていたはずなのに、どうしてこうなった?


 犯人は、温州蜜柑と夏野千里である。


 理奈が七人様に取り憑かれており、この七月には七の方の訪問があるはずだ。話を聞いた全員が死ぬことになりかねない。どう対処するべきか。


 というところで、まずは作戦会議だと声をあげた千里が晩飯を食べながらと提案し、さらに温州蜜柑が、酒で清めるんや! と胡散臭いことを言いだしてこのありさまだ。あちこちから酔っ払いの声がする。


……猫鍋? あれは、うまくない。って、食い物とちゃうんか。そうか、そうか、そうやろな。わかっとったわい! 五郎の奴は貧乏やさかい。いやいや、葛音はん、なんでもないでぇ。忘れてや。


……よく酔っ払ったまま現場へ行ったものだ。酔っ払いが暴れているというから呼び出されて行った先、なんのことはない、こっちの方がよっぽどタチの悪い酔っ払いさ。ただの酔いどれ同士の殴り合いよ。


……理奈と将吾は、お似合いだと思うんだがねぇ。将吾、もっと飲んで泊まってけ。ん? もう潰れてるんか。じゃあ、五郎! 狭間! 代わりに飲め! やっぱ、やめた。もったいないから、あたしが飲もう。


 などと、事態は混沌としている。そんな連中はおいておくとして、事情がわかって安心した美琴も終始上機嫌だった。手洗いに立っての戻り際、リビングと接する部屋に電子ピアノが置いてあることに気付き、そっと鍵盤を押した。


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