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湯けむり怪異譚「ぶらぶら」  作者: 秋野きつ
第2章 Black Cats
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第34話 七人様


 とある雑居ビルの屋上にて。


 初対面の猫柳理奈と神尾五郎の間に入ったのは、理奈の飼い猫のジジと、五郎に取り憑く自称式霊だか神様の温州蜜柑である。


 もっとも、いずれも仲を取り持ったつもりはない。ジジに嚙りつかれた蜜柑が、助けを求めて喚いていただけのこと。


 蜜柑が何者かも知らぬまま、慌てふためくその様子に思わず笑ってしまった理奈である。澄んだ笑い声がくすんだ灰色の空に散っていく。


 ひとしきり笑い終えると、蜜柑に噛みついて離さないジジを宥め、べーよ、べー、と吐き出させた。


 たがいに挨拶を済ませ、人の良さそうな五郎と、間の抜けたような蜜柑を見て安心したのか、あの、と理奈が口を切った。


「あの、初対面なのに、ごめんなさい。相談したいことがあるの。こんなことを話すと頭がおかしいと思われそうだけど、蜜柑ちゃんの憑く五郎さんなら……。私にもおかしなものが憑いているんです。七人様と呼ばれる神様のような、何か得体の知れないものが」



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