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異世界に落ちた最強ヤンキー女子、幼なじみと無双します。  作者: S@Y@


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第四十二話 手を伸ばして


柚は少女の前で足を止めた。


「大丈夫?」


少女は苦しそうに息を乱している。


「……苦しい。」


「止めたいのに。」


「止まらない。」


黒い魔力が少女の身体から溢れ続けていた。


その魔力は二体の黒い魔獣へ流れ込んでいる。


ルークが駆け寄る。


「やはり!」


「彼女自身も、この魔力を制御できていません!」


「どうすればいい?」


柚が振り返る。


ルークは苦しそうに首を振る。


「分かりません。」


「古文書にも、その先は記されていないのです。」


その時だった。


少女が柚を見上げる。


「……お願い。」


小さく震える声だった。


「助けて。」


その一言に、柚は迷わなかった。


「もちろん。」


柚は少女の前にしゃがみ込む。


「大丈夫。」


「もう一人じゃない。」


そう言って、そっと少女の手を握った。


その瞬間――


ドクン。


少女の身体から溢れていた黒い魔力が大きく脈打つ。


「っ!」


柚の身体が淡い光に包まれた。


「柚!」


暁が思わず声を上げる。


しかし柚は手を離さない。


少女は驚いたように柚を見つめる。


「温かい……。」


その言葉と同時に、暴れていた黒い魔力が少しずつ穏やかになっていく。


一方、その変化に反応した二体の魔獣が苦しそうに咆哮を上げた。


「ガアアアアッ!」


暁は二体の前に立ち、静かに拳を握る。


「今だ。」


二体の魔獣が同時に飛びかかる。


暁は地面を蹴った。


「終わらせる。」


ドガァァァァン!!


渾身の一撃が、一体目の胸を貫くように突き刺さる。


続けざまに身体をひねり、もう一体へ回し蹴りを放つ。


轟音とともに、二体の黒い魔獣は大きく吹き飛び、そのまま動かなくなった。


同時に、少女の身体から溢れていた黒い魔力も、すっと消えていく。


森を包んでいた禍々しい気配が、まるで嘘のように消え去った。


少女はゆっくりと柚を見上げる。


そして、初めて穏やかな笑顔を浮かべた。


「……ありがとう。」


その瞬間、ルークの表情が変わる。


「待ってください。」


「まだ終わっていません。」


ルークが見つめる先では、砕け散ったはずの黒い結晶の破片が、不気味な音を立てながら再び集まり始めていた。

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