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3話 ラプトムルラン・メラルダ

空が青いとは限らない。


 時は白月暦677年、フレア大陸の西方に存在する国、王都バトメから少し離れたヘレス群の外れに位置する家。


 677年 2月18日


 朝の眩しい日差しがカーテンの隙間からベッドに漏れる。

 窓の隙間からそよ風が吹き、灰色の髪に琥珀色の瞳を宿した少年ラプトムルラン・メラルダの髪を優しく撫でた。

 「ふああぁ」

 ラプトムルランは涼しい風により心地良い気分で目を覚ました。


 今日という日にふさわしい最高の朝だ。というのも今日で俺は10歳になる。

 成人まであと5年か…そうなればこの家を出て王都の士官学校に入ることになるのだろうか。


 「今日で10歳か~」


 そうつぶやいてみるがあまり実感が沸かない……というのも剣術の腕が8歳から、今日に至る10歳まで鍛錬をしているのだが目に見えて上達していないからだ。

 父は王都の騎士で、俺は直々に剣術を指導してもらっているが、未だに兄から一本も取れていない、兄とは何百回も立ち会っているにもかかわらずだ……まあその兄も父に指導してもらっているのだが。


 そう物思いにふけっていると、部屋のドアがノックされた。


 コンッコンッコン


 「ラプト、起きているかー」

 扉越しに聞こえる声は5つ上———いや。今日で俺は10歳だから、4歳年上の兄のロイだ。


 「起きてるよー」

 すぐに返事をして、ベッドから起き上がりドアを開けた。


 「ラプト誕生日おめでとう!」

 開口一番、ロイは朝から元気な声で、俺の誕生日を祝ってくれた。

 「朝一番に祝ってくれるなんて嬉しい。ありがとう!」

 「それはそうと、ちゃっちゃと着替えて鍛錬しようぜ!」

 「うん…?今日誕生日だけど鍛錬するの?」

 「当たり前だろ、一日でもサボると剣の腕が鈍るぞ」

 ロイはニッコリとした笑顔でそう言った。

 「それもそうだね……」


 俺は疑問に思った。去年の誕生日は鍛錬していなかったような………なぜだろう?10歳になった記念ということなのだろうか?

 もしかしたら、これからは毎年誕生日に鍛錬をするのだろうか………。

 気分がおっくうになってきたので、ここは気分屋の兄の気まぐれ、ということにしておく。

 「鍛錬の前に朝ご飯食べてくるね」

 「おう!ゆっくりよく噛んで食べろよ」


 着替えを済ませて、朝ご飯を食べるためリビングに降りたが母の姿が見えない、テーブルには朝食と思われるソーセージ、サラダ、パンの載った皿が一枚とサンドイッチが入ったランチボックスが2つ置いてあった。


 「サンドイッチは昼ご飯だから。あと母さんは王都まで父さんを迎えに行ってるよ」

 ロイが2階からリビングに降りて来た。


 父は王都の騎士なので基本的に王都勤めだ。月に何度か帰ってくるが忙しいと家に一回も帰ってこない月もある。


 兄のロイも父と一緒に王都で暮らしているので父の帰ってくるタイミングで一緒に帰ってくるが、父と違い兄は毎月欠かさず、家まで顔を見せに来てくれて、その際に俺に剣術の稽古もつけてくれる。


 「母さんが王都まで?迎えに行くって……父さん一人でも帰ってこれるんじゃないの?」

 「それは俺も聞いたよ。で、返ってきた返事は大人の都合だってさ」

 「なにそれ…」

 「でもってもう一つ伝言、夕方には帰るから誕生日会は夜開催するって」


 「わかった……」

 ということは、母さんが居ないので今日の座学は無しになった!もともと誕生日なので、どこかの気分屋と違って誕生日にやらないと思うが。


 今日の午前は鍛錬で、昼から夕方まで予定が空いているなら、父と母の好きなハニーベリーの実を採りに行こうかな!

 毎年祝ってもらってばかりだから二人に日頃のお礼をしたいと思っていたし、ちょうどいい時間潰しにもなる。それにロイにも食べさせたい!きっと喜んでくれるはず。


 ハニーベリーの実を採るには森に入ることになるけど……森には父さんが必ず同行していたから、子供だけで入ったことは無い。

 父さん抜きで森へ入ることに対してロイはおそらく反対するだろう。

 問題はどうやってロイを説得するかだ……。

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