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1話 誕生

 遠い昔。恐れられた五つの幽獄が君臨していた。


 一つの幽獄の裏切りにより、三つの幽獄が討たれ粉々になった。残った一つの幽獄は、裏切りの幽獄の手の届かない深い底へと影をひそめる。


 やがて———結びあわせた火花は猛火となりて空を駆け、やがて深淵を知り、奈落へ臨む。


 ***



 俺が生まれた日には、大きな流れ星がひとつ降り、その後に小さな流れ星が空を覆うように、無数の星が降り注いだそうだ。


 俺は産まれた時から『自我』がある。

 明確には見たものを記憶している、という方が正しいかもしれない。


 両親や……家族が何かを音を発しているのは理解していたが、それが何かは理解出来なかった。


 言葉を理解したのは、産まれて1年ほど経ってからだった。


俺の名は『ラプトムルラン=メラルダ』というらしい。家族からは『ラプト』と呼ばれている。


 名付け親は祖母だ。


 最初は、違う名前を付ける予定だったが、生まれた後に祖母が慌てて名前を変えたらしい。因みに変更前の名前も祖母が考えた名前だったようだ。


 5歳の時に両親や兄に、この『産まれてからの意識』について聞いてみたが、軽く笑われてしまった………どうやら生まれて直ぐに自我は芽生えないらしい。


 それと、産まれてから不定期で寝ている間に、奇妙な体験をする。


 それは、まるで行ったことのない場所に気付いたら居て、最後は真っ暗な中で終わる……というものだ。

 真っ暗になってから、暫く時間が経つと目が覚めるという体験だ。


 あとから知ったことだが、これは『夢』というものらしい。


 俺の見る夢は3種類存在する。


 これらの夢はどれも、視線をある程度なら変えることは出来るが、行動には干渉できない。


 ひとつ目は、光る道筋を辿っていると、いきなり落下して大きな湖に落ちて沈んでいく夢。

息が出来なくて苦しくても、沈み続ける。


 ふたつ目は、いきなり空中から落下し続けている夢だ。目線は空の方を見続けている、という内容だ。

この夢に関しては目線を変えて周りを見ても意味がなかった。

なぜなら、どこを見ても見ても永遠と綺麗な空が広がるだけなので意味がない。

太陽は見えないが、青く白く透き通った綺麗な空だった。

想像の話になるが、おそらく地面に落下して最後を迎えている。


 そして最後の夢は、真っ暗な空間で俺は玉座に座っていて少し離れた場所から、その周辺を囲むように大勢の人が居て、こちらを見ながら内緒話をしている。

真っ暗にも関わらず人の姿は、はっきりと認識できる……不思議な感覚である。

そして、ある程度の時間が過ぎれば夢から覚める、という内容だ。


 何回か繰り返してる内に疑問に思ったが、玉座から立つことは出来なかったので、視線だけ周りに向けて見た、すると驚くことに気付く。


 視線を限界まで上に向けた際に、一瞬———奇跡的なタイミングで確認することができた。


 この夢の最後は頭上から 『なにか』が落ちてきて、それが俺に直撃するという内容だった。


 この『なにか』というのは、自身の顔が正面を向いているので、視線を限界まで上に向けて確認できたものだ。


 確認できたと言っても、黒い影が凄まじい速さで迫って来ていることが分かっただけだが。


 何度この夢を繰り返しても、なにかが落ちてきていることは分かるが、その正体を掴めない。


 この物体の正体は不明で、天井とも石や岩の塊とも想像できるので正体不明の『なにか』としている。



 どの夢も『音の存在しない夢』だ。夢はそういうものだと思っていたが、家族が言うには違うらしい。


 幾度となく、どの夢を見ても慣れない。


順番は決まっておらずバラバラだ。同じ夢を2日連続で見る……なんてこともある。


中でも多く見る夢は、最後の夢———玉座に座っている夢だ。


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