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066:餓鬼製攻城塔

※また大量虐殺が行われます。ご注意ください。



大成町おおなりちょう】北西城門


「図書館ダンジョン都市へようこそ。宿舎までご案内します。」

 開いた門の前で拡声器を使いミントの分身が声をかける。

「バカだ。バカがいる。移民と思って招き入れるとは。」

 小声で言う犬獣人。

「いや、どう見ても罠だ。間違い無くこちらの正体は露見している。」

 同じく小声で反論する餓鬼。

「いっそ本物の難民になって住み着いた方が楽かもしれませんね。」

 と人間。

「そいつは敗北主義ってもの。とはいえ、これダンジョン本体では無く外側の城壁だぞ。本体に入り込むまでは難民と思わせた方が得だ。」

 別の人間が言う。

「もたもたしていると先に行くぞ。」

 そう言うと獣人達は城門へ向かう。

「あ、バカ……。」

 餓鬼の制止も聞かず、獣人のほぼ全員と人間の多くが城門へ向かう。


 城壁の上にはマリーが中華な楼門を構想しているが、今は何も無い。城壁には幅8m・高さ7mの巨大な門が2つ並び、その左右に縦横3m程度の小さな門が2つ。正陽門でも南大門でも城壁の門は1つで、4つと言うのは異常。

 外扉は開いており、門の内側には、幅40m・奥行き30m程の巨大な空間が広がる。床面は20cmほど低くなっており、天井高は20mを越え、奥には表と同様の門が4つあるがこちらは閉じている。

「内外の門扉は同時には開かない事になっていますので、外門を閉めるまで少しお待ちください。」

 門の外でミントの分身が言うが、嘘である。先ほどまで門扉自体無かった。


 唯一飛行可能な烏獣人の鈴木は、罠だ何だと言う餓鬼にも一理あるかな。と思いつつ、飛べるんだから城壁など越えられる。と、バタバタと助走を付けて風を掴み飛び上がる。重すぎて普通に飛翔することは出来ない。

 城内には畑が点在するが、烏の好物である脂の載った肉どころか果物すら見当たらない。


「突撃!」

 一方、餓鬼の代表が号令をかけると、餓鬼達は城門脇の城壁に一斉にヨタヨタと駆け寄り、餓鬼が餓鬼の上にワラワラと積み重なり餓鬼の塔を作る。落ちたり潰れたりで人間や獣人なら確実に死亡するが、餓鬼は平気。

「マスター、まるでグンタイアリみたいですね。」



【コアルーム】


「マスター、『宇都宮城』発動。」

「分かった。宇都宮城。だな。」

 コアへの一連の複雑な命令をセット化したもの(マクロ)が発動される。すぐに城門が封鎖され、釣天井が落下。門内にいた人々はぺしゃんこになってしまう。なお、誤作動を防ぐため通常は釣天井は地表に降ろしてあり、城門内は外と同じ高さになる設計。


「餓鬼は、まだ動きが遅いだけ助かるが、それでもあの組体操どうするんだ。」

「マスター、組体操直下の堀の底に至急、簡易落とし穴を。」

「すぐにと言われても。」

 数百の餓鬼が塔を作り、最上部の餓鬼は城壁の上に手を掛ける。騎士団が上から槍で突いて落とすが、追いつかない。


「餓鬼が反乱を起こしました。皆さん、城内に避難してください。」

 城門前では、ミントの分身に促され、事情を飲み込めない獣人や人間達が城門に入っていく。釣天井は降りた状態で、その裏で潰れた死体は速やかに回収されており、門内は外と同じ高さの床面となっている。一方、罠と見切った者達は、ある者は餓鬼が城壁を越えるのを待ち、別の者はさっさと逃走に移る。


「マスター、未完成でも落とし穴を発動、組体操を崩すだけで良いです。」

「落とし穴発動。と。」

 餓鬼の塔は足場を崩され倒壊、一部の餓鬼は地面に飲まれるが、残りの餓鬼はまた塔を作る。

「餓鬼を埋めた地面をダンジョン構造物に指定。個々の餓鬼に対し蛸壺状の落とし穴を順次設置。」

「マリーさん、あの飛んでいる大きい鳥はどうします?」

「とりあえず監視しますが、害を為すようならドローンをぶつけます。今後は戦闘機か対空機銃が必要でしょう。」

「さすがに図書館には戦闘機や機銃の詳細設計図は無いぞ。」


「地面をダンジョン構造物とすることで捕獲した餓鬼ですが、きちんと潰しておかないといけません。」

「城門内に敵を捕まえているので、騎士団を出すことが出来ないな。」

「そこは改良が必要でしょうね。」

 マリーは、逃げていく人間や獣人がダンジョン影響圏から出ないうちに、次々と落とし穴に埋めていく。あまりにも身軽な鹿獣人の一部や飛んでいる烏獣人には逃げられたが、一番危険な餓鬼の駆逐には成功。とはいえ、城門前は月面のような穴だらけに。

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