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292:手に余る工業製品

【第34層群・メインエントランス】


 左遷城ヘ行っていた商人達が帰ってきた。途中で車が2台故障し動かなくなったが、炎上はせず、積荷などが失われることは無かった。

「お疲れ様でした。生薬や香木は、このダンジョンで流通させて良いか確認後に返します。今回は車の故障がありましたが、その損失分はダンジョンから後日補償します。もっと確実な運搬手段があれば良いのですが、こればかりは無理ですから……。」

 マリーが商人達に告げる。

「……やっぱ秦漢選(しんかんせん)だったんじゃないすかねー……」

 若い商人が思わず口にする。

「新幹線が使えない理由については、後ほど説明します。みんな疲れているでしょうから、今日は解散とします。」



【第34層群・生涯学習棟・小研修室】


「同志図書頭(ずしょのかみ)様、若い者が失礼しました。」

 燃料商が詫びる。

「火災事故がありましたからね。何か手は打たないといけないのですが、切り札の大型トレーラー(ビッグリグ)は今の技術では製造できませんし、燃料も生産出来ません。」

「え~と、車にせよ、その、『びぐりく』にせよ、ダンジョン自体の機能では無く、異世界の絡繰り(からくり)ですよね。つまり故障する可能性はあるのでは?」

 もっともな疑問を提示する燃料商。

「はい。残念ながら、このダンジョンは異世界の道具を使いこなすには、まだまだ技術が不足しています。」

「領主様、つまり秦漢選(しんかんせん)も危険はあるっすか。」

「新幹線も異世界技術、しかも大部分の異世界では最初から存在しないか捨てられた技術であり、かつ、現在入手可能なものは100年ほども昔の技術によるものです。むしろ車より故障の可能性は高いと思われます。」

 その上、動かすにはモーターなどをトラックから転用するという加工が必要。


「なら、高い荷物なら転送陣でも良いんじゃ無いっすか。」

「確かに転送陣はどうしても高く付きますが、それに見合う用途なら問題ありません。しかし、転送陣と同じ種類の『リニアモーター』は本来、高速移動には向きませんから、異世界では大型で形状が特殊な建物のエレベーターに使われています。」

図書頭(ずしょのかみ)様、やはり転送陣も制約があるか。」

「異世界では高速移動は飛行機、一般の貨物は船や自動車と使い分けています。」

「非行? 飛蝗?」

「空を飛ぶ機械なので『飛行機』と書きます。」


「現状では、砂漠で急速充電を繰り返すみたいな使い方は避けて8日かけて移動する。急ぐ人は自動車を乗り換える。もっと急ぎなら転送陣を使うこととなります。このため、一般の商品は8日前に自動運転の車で出発させ、商人のみなさんは高価な商品を持って後から追いかける。という方法が良いと思います。」

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