202:小塚原刑場完全包囲作戦(4日目)
【第三層群・管制室】
「ミント、敵ゾンビダンジョンこと、小塚原刑場ダンジョンの直接攻略は一時保留します。」
「側近書記殿、方法がありませんか。」
「残念ながら今は思いつきませんね。祈ればゾンビが成仏する訳ではありませんし、冒険者を送り込むとそれ自体が敵ダンジョンの強化になりますし、冒険者を使わず可燃物を送り込んだら放置品と見なされ吸収されます。ですから、今後ゾンビが出てこないよう、空いている南側を封鎖するに留めます。しかし、クレーンが無いため石を配置するのも困難です。」
「城壁が無理なら、堀を掘るしか無いだろうな。こちらのダンジョン影響圏内に穴を用意して、消火装置の放水銃か何かで影響圏外の土に水を撒いて崩す。とか。」
「確かに、南側は相手のダンジョン影響圏でもなく、ただの土ですからね。ダンジョンそのものも掘り崩せれば良いのですが。」
「ゾンビが湧いてきているから、地表はダンジョン構造物では無さそうだが、水を撒いたら洗い流せないだろうか。」
「完全に封鎖してしまえば、溢れたゾンビが南側から大量に出てくる、ということも無くなりますから、それから試す価値はあるでしょう。水は砂漠では貴重品ですが、ダンジョンエネルギーとしては安いものです。確かに、この世界の五行思想では土剋水ですから、土属性のダンジョン相手には相性が悪いと思われていますが。」
土属性という証拠も無い。六道で地獄道の色は黒なので死者の世界は五行では水属性なのかもしれない。
「このダンジョンは本属性だったか。」
「あえて言うなら木属性でしょうが、水属性と思われていますし、訂正の必要も無いでしょう。」
【ソンビダンジョン隣・付城】
「図書頭様から連絡だ。」
岸団長の岸播磨介が報告を読み上げる。
「これより、小塚原刑場の南東側、南面を封鎖する。危険なので北面に退避。とのことだ。」
「播磨介様、いったい何をするんだろうか。」
「水で地面を掘り崩し、こちらの影響圏内に流して回収、深い堀を掘る。」
「また贅沢なやり方ですね。砂漠で水を浪費するとは。」
「なら、首無し死体の目の前まで行って、鍬で掘り崩すのか? それだと襲ってくださいと言うようなものだろ。あのお方は味方の犠牲無しに勝つためなら、どんな手だって使われる。なんせ『鳴かぬなら、今夜のおかずは、ホトトギス』だ。そして、そのためなら浪費は厭わない。それに、今度の相手は既に死んでいる。さすがに村を襲って罪も無い住民を虐殺しろなどと言われたら困るが、死者に遠慮は要らない。」
実際にマリーが言ったのは「鳴いたとて、今夜は焼き鳥、ホトトギス」である。後で泣きわめいても手遅れ。とはいえ、筑波別働隊の獣人達みたいに、刃向かってもダンジョンの手が届かない所に逃げてしまえば追求はしない。
【第三層群・管制室】
「準備出来ました。」
「では、始めてください。」
図書館都市ダンジョン影響圏内に深い穴が開けられ、小塚原刑場ダンジョン南側の土地へ放水銃が大量の水を散布、削られた土砂が穴に流れ込み回収されていく。たまにゾンビが足を踏み外して穴に流れ込むが、これらは吸収されず溜まっている。
「ミント、ゾンビが残りますね。」
「穴にパンジャンドラムを入れても轢いて廻る場所がありませんし、あとで引き揚げるのに余分なダンジョンエネルギーが必要です。穴の壁を可動式として時々押し潰すのが早いでしょう。」
「いわゆる『動く壁』ですね。」【第三層群・管制室】
「ミント、敵ゾンビダンジョンこと、小塚原刑場ダンジョンの直接攻略は一時保留します。」
「側近書記殿、方法がありませんか。」
「残念ながら今は思いつきませんね。祈ればゾンビが成仏する訳ではありませんし、冒険者を送り込むとそれ自体が敵ダンジョンの強化になりますし、冒険者を使わず可燃物を送り込んだら放置品と見なされ吸収されます。ですから、今後ゾンビが出てこないよう、空いている南側を封鎖するに留めます。しかし、クレーンが無いため石を配置するのも困難です。」
「城壁が無理なら、堀を掘るしか無いだろうな。こちらのダンジョン影響圏内に穴を用意して、消火装置の放水銃か何かで影響圏外の土に水を撒いて崩す。とか。」
「確かに、南側は相手のダンジョン影響圏でもなく、ただの土ですからね。ダンジョンそのものも掘り崩せれば良いのですが。」
「ゾンビが湧いてきているから、地表はダンジョン構造物では無さそうだが、水を撒いたら洗い流せないだろうか。」
「完全に封鎖してしまえば、溢れたゾンビが南側から大量に出てくる、ということも無くなりますから、それから試す価値はあるでしょう。水は砂漠では貴重品ですが、ダンジョンエネルギーとしては安いものです。確かに、この世界の五行思想では土剋水ですから、土属性のダンジョン相手には相性が悪いと思われていますが。」
土属性という証拠も無い。六道で地獄道の色は黒なので死者の世界は五行では水属性なのかもしれない。
「このダンジョンは本属性だったか。」
「あえて言うなら木属性でしょうが、水属性と思われていますし、訂正の必要も無いでしょう。」
【ソンビダンジョン隣・付城】
「図書頭様から連絡だ。」
岸団長の岸播磨介が報告を読み上げる。
「これより、小塚原刑場の南東側、南面を封鎖する。危険なので北面に退避。とのことだ。」
「播磨介様、いったい何をするんだろうか。」
「水で地面を掘り崩し、こちらの影響圏内に流して回収、深い堀を掘る。」
「また贅沢なやり方ですね。砂漠で水を浪費するとは。」
「なら、首無し死体の目の前まで行って、鍬で掘り崩すのか? それだと襲ってくださいと言うようなものだろ。あのお方は味方の犠牲無しに勝つためなら、どんな手だって使われる。なんせ『鳴かぬなら、今夜のおかずは、ホトトギス』だ。そして、そのためなら浪費は厭わない。それに、今度の相手は既に死んでいる。さすがに村を襲って罪も無い住民を虐殺しろなどと言われたら困るが、死者に遠慮は要らない。」
実際にマリーが言ったのは「鳴いたとて、今夜は焼き鳥、ホトトギス」である。後で泣きわめいても手遅れ。とはいえ、筑波別働隊の獣人達みたいに、刃向かってもダンジョンの手が届かない所に逃げてしまえば追求はしない。
【第三層群・管制室】
「準備出来ました。」
「では、始めてください。」
図書館都市ダンジョン影響圏内に深い穴が開けられ、小塚原刑場ダンジョン南側の土地へ放水銃が大量の水を散布、削られた土砂が穴に流れ込み回収されていく。たまにゾンビが足を踏み外して穴に流れ込むが、これらは吸収されず溜まっている。
「ミント、ゾンビが残りますね。」
「穴にパンジャンドラムを入れても轢いて廻る場所がありませんし、あとで引き揚げるのに余分なダンジョンエネルギーが必要です。穴の壁を可動式として時々押し潰すのが早いでしょう。」
「いわゆる『動く壁』ですね。」




