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189:アメ兵がやって来る

【第34層群・生涯学習棟・小研修室】


 その日、図書館都市ダンジョンへ珍しい種族がやってきた。二足歩行するムキムキのウサギで、この世界では珍しい茶色の洋服(フィールドジャケット)を着ている。

「ウサギ……ですよね。」

「デイブだ。いかにも、この地域ではウサギ(USA G.I.)と呼ばれている。」

「それで、この図書館都市ダンジョンへは、騎士団としての仕官を希望でしょうか。」

フォックス(キツネ)や、え~と、あの動物(タヌキ)は何だったか……。ともかくそいつらファーリー(畜生)キャフェイ(茶屋)を営業していると聞いた。そこで、我々もウサギ・キャフェイを開店したい。」

「カフェ、ですか。なぜにまた。」

「このダンジョンなら、いずれ、子供の頃のような芝生のある庭付き一戸建てに住み自家用車に乗りバーガーやアイスクリームを食べる。という文明的な生活が出来そうに思われるからだ。残念ながら、はるか西の『商都梅田』は家を買うほどの土地も無く車も手に入らず、しかもウサギは嫌われ、縛られて引きずられるという迫害を受けたため、安住の地にはなり得なかった。」

「ああ、唱歌でもウサギは追い回されていますね。それにしても、『商都梅田』ですか。それは遠くから。」

「おそらく1,000マイルくらいか。」

「商都梅田は1,600kmか。それで、バーガーやアイスクリームって、異世界の料理の?」

「そう、先祖代々ダンジョンモンスターで、まさに芝生のある庭付き一戸建てに住み自家用車に乗りバーガーやアイスクリームを食べる。という生活をしていた。しかし、いつしかダンジョンは崩壊し流浪の身となり今に至る。というわけだ。」

 かつて米軍基地ダンジョンのダンジョンモンスターとして召喚されたが、ダンジョン崩壊後に名前付き(ネームド)が野生化したもの。一般に雄は米兵(USA G.I.)が多い。雌はバニーガールが有名だが数は多くは無い。なお、雌雄とも容姿は二足歩行する大きいウサギ。

「バーガーの材料は小麦と牛肉、アイスクリームは牛乳と砂糖、牛さえ殖やす、あるいは買ってくれば大丈夫ですね。」

 ただし、この地域では牛は非常に少なく、しかも食用では無い。



【コアルーム】


「また『崩壊したダンジョンの生き残り』か。多いな。ナマズとかサギとか。」

「今回は、どうやらそう古くない時期に崩壊したダンジョンのようです。そして、そのダンジョンの技術水準は20世紀中頃あたりでしょうか。商都梅田よりさらに向こうのようですから、跡地を調査に行く訳にも行きませんが。」

「先祖代々って、名前付き(ネームド)ダンジョンモンスターに寿命は無いのでは?」

「その辺はダンジョンの仕様によります。一般に動物は寿命がありますから、畜生系ダンジョンモンスターの場合、寿命があるままで世代交代し品種改良する方が得な場合も多々あるようです。植物は遺伝的にプログラムされた寿命は無い場合が多いですから、修羅系ダンジョンモンスターはあえて寿命を設定する必要もありませんが。」

「一年草とかは寿命があるのでは。」

「大抵は、夜の長さが一定以上、あるいは以下になると開花結実して枯れる。という仕組みです。修羅の場合、そもそも寿命1年ではろくに知識を身につけることも出来ませんから、一年草の修羅でも寿命が1年なんてことは普通はありません。」


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