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184:東からの入植者達と東の情勢

【第4層群・会議室】


図書頭(ずしょのかみ)様、お久しぶりです。」

「これはこれは、織田右京亮(うきょうのすけ)殿。ひたかの情勢はどうですか。」

 織田ではなく小田である。

「太田城の佐竹さたけ氏が笠間城の笠間かさま氏や水戸の江戸えど氏と小競り合いを起こし、一方、府中の大掾だいじょう氏の配下達、俗に言う『南方三十三館』に対しては太田城への招待状を出すなど引き抜きをかけています。このためひたかの民は大勢がこちらへ逃げています。」

「佐竹ですか。異世界だと秋田の殿様ですから、いっそ北の方に追い出したらひたかも平和になるでしょうが。」

「追い出すと言いましても、小田に佐竹と戦うほどの力はありません。意味のないいくさで家臣を死なせるのは犬死ですし、佐竹みたいに戦ばかりしていたら民が疲弊します。図書頭(ずしょのかみ)様のように一兵も損なわず勝つのが理想ですが……。」

「でも、ダンジョンは影響圏にしか力は及びませんし、既に人が住んでいる土地は影響圏には組み込めません。」

図書頭(ずしょのかみ)様、住んでいない、例えばたまに人が通るだけの街道とかは大丈夫なのですか。」

「誰も通っていない時なら問題がありません。以前右京亮(うきょうのすけ)殿にお伝えしたように、織田城手前の太田橋(おおたはし)までダンジョン影響圏に組み込んでいますが、ご存じのように以前から街道とまでは行かなくても道はありました。」

「ならば、佐竹さたけの太田城近くまで『影響圏』を広げて、敵兵が道を通れば落とし穴に落とせばどうでしょうか。いくさになる前に武将だけ埋めてしまえば、民に犠牲が出ずに済みます。」

「往来妨害罪ですね……でも、ひたかなら仮に異世界から埼玉県警が来たところでイバラギ県だから管轄外……。」

「あの、図書頭(ずしょのかみ)様?」

「異世界では、ひたかと、ふさの北端、結城ゆうき氏が居るあたりは茨城いばらき県と呼ばれます。世界によっては千葉県と宇都宮県だったりしますが。」

 もちろん距離感が全く違うなど、一対一で対応している訳では無い。

「筑波郡の東一帯が茨城郡です。ひたかは戦乱で郡の範囲が分からなくなっていますが。」

「佐竹氏の太田城は確か久慈郡……。このダンジョンから見えない距離なので正確な地図はありませんが、おそらく200里程度、ちょっと手が出ませんね。現状、織田城すら遠すぎてダンジョン影響圏は太田橋(おおたはし)が精一杯です。同じ太田だからといって呼びつけて罠に嵌める訳にもいきませんし。」

「小田城が西以外から攻められても、落とし穴の助けは得られないか。いっそ太田橋の西に城を移すのも手か。とはいえ、何百年も一族で守ってきた城だけに、一時的に捨てることがあっても、必ず奪還せねばならぬ。」

「何百年もずっと守り続けて来た訳ですね。」

「いや、図書頭(ずしょのかみ)様、『ずっと』ではない。落城したことは何度もある。」


 今回、解説回はありません。そのまま第十一章「地獄からの死者の群れ」に続きます。

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