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176:ご飯が無ければ液肥を飲めばいいじゃない

 季節は秋、異世界で言うところの9月。もはや10万近い今の人口に対し水田は少なく稲刈りはさほど人手を要しないため、ダイコン・カブ・タマネギ・ホレンソウ・レタスなど秋まき野菜の種、さらに油用の菜種も大量に召喚し、片っ端から植えていく。これらは雑誌の付録なので、不要な雑誌本体は燃料としてダンジョン外へ出荷されていく。

 ジャガイモは種芋が召喚出来ないため、手持ちの小さい芋を検査して使用。このため、あまりたくさんは植えられない。



【第三層群10階応接室】


「予想より入植者が多く、一方食糧の確保は滞っていますから、栽培期間の短い野菜を大量に栽培することで、修羅用液肥では人間には足りない栄養素を補い、なんとか麦の収穫まで住民を生かしておく。という計画となります。」

 栄養士のマリベル(サルビア・ヒスパニカ)が図表も提示し説明するが、マリーはともかくマスターには意味不明。なお、マリベルは正確には管理栄養士(当然栄養士の免許も持っている)である。

「米と麦は種まきの季節が限られますが、野菜は概ね年中、何かは種を播くことができますからね。とはいえ、『ご飯が無ければ液肥を飲めばいいじゃない』では、人間の皆さんは我慢がならないようですし。」

「これが『パンがなければケーキを食べればいいじゃない』ならケーキ『も』無いけど、液肥はあるんだし、砂糖や塩で味付けできれば良いのでは。」

「マスター、ダンジョンマスター・主系列モンスター・眷属の食料はダンジョンの機能として召喚可能ですが、このダンジョンでは人間は召喚出来ませんから、調味料も召喚出来ませんからね。紫蘇(修羅)は肥料、マスターと眷属はブラックコーヒー・ビール・エナジードリンクなどですから。」

 最初、冷蔵庫に野菜・果物・肉・魚・卵・牛乳などが入っていたことは、もはや誰も知らない。

「砂漠なんだから、塩くらいどこにでもありそうなものだが。」

「マスター、砂漠でも食用品質の塩はありません。塩分を含む泥水などからの抽出も不純物の除去が困難です。」

「この世界は漬物などの影響で元々塩分摂取量が多めですから、塩は控えた方が良いでしょう。それにしても、眷属の皆さんが、なぜあんな食事で病気にならないのか、理解不能です。」

「それで、あの液肥が異様に不味いのは何なんだ?」

「マスター、修羅は味覚がありませんから、ダンジョンの機能で修羅用に用意される食品も『味』は考慮されていないのでしょう。」

「この世界は一般に砂糖過多になる栄養状態でも無いですし、砂糖、あるいは化学調味料でもあれば、多少は人間の口に合うようには出来るかもしれませんが、いずれにせよこのダンジョンでは原料のサトウキビは栽培出来ません。」

 マリベルが言うように、サトウキビには寒すぎる。南にあるあわの国では栽培されているがきわめて高価。



【コアルーム】


きんでも出た。というのなら分かりますが……こんなに急激に人口が増えるものなのでしょうか。」

 画面には、東にあるひたかの国から街道をぞろぞろ歩く移民……というより、もはや難民の群れが映し出されている。

ひたかは政府が崩壊しているからなぁ。」

「どっちみち、冬には大量に難民が流入していたでしょうし、麦蒔きの前で良かったと考えるべきですね。さすがにひたかの全住民となると対応不可能ですが。」

「織田右京亮(うきょうのすけ)殿には頑張って貰わないといけないな。」

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