解説:異世界情勢
図書館都市ダンジョンは様々な異世界から図書館とその蔵書・備品を複製召喚しているが、最も関連の深い異世界の特徴は以下のようなものとなる。
●国際情勢
1909:伊藤博文狙撃事件(暗殺未遂)。伊藤博文は後年腹上死。
1910:(大韓帝国存続)
1914:世界大戦勃発。欧州へ小規模な陸軍と金剛型巡洋戦艦を派遣するも、海軍はユトランド沖海戦で大被害を受ける。
1915:中華帝国(北京政府)建国。軍閥乱立による事実上の中国分裂。
1917:ロシア革命。労農ロシアが成立し皇帝一家は国外逃亡。
1919:パリ講和会議。ヴェルサイユ条約によりドイツ分割。
1923:バイエルン王国でミュンヘン一揆失敗。ヒトラーは平凡な建築家として生涯を終え、むしろ馬主として成功。
1923:関東大震災。
1925:宇垣軍縮。師団・連隊は削減せず兵員を減らし、事実上の徴兵廃止。
1928:中華民国(残部)にて南京国民政府成立。
1931:(満州事変なし)
1939:(第二次世界大戦なし)
1940:東京五輪・東京万博開催。
1943:東京市を特別市に移行。
1947:北海道庁を北海道と改名し県と同格に。六大都市の残りを特別市に移行。台湾の5州を県に移行。
「ドイツ」が無く、バイエルン王国など言語や政体の異なる小国が分立している。
中国は北京の中華帝国と南京の中華民国。盛京には後清。朝鮮半島は大韓帝国。
労農ロシアが存続。
イスラエルは存在しない。ホロコーストは無かった。比較的武力紛争地域は少ない。
●異世界日本
太平洋戦争が無かったため、憲法は200年近く一度も改訂されておらず、相当時代後れとなっている。
ただし、陸上国境が無いため徴兵制は大昔に事実上廃止されている。
女性参政権は1940年代とフランスと共に世界の主要国ではほぼ最期となった。
政党は政友会・民政党を中心に社会大衆党など中小政党、「人種改良」を主張する進化党など0~1議席程度の泡沫政党がいくつか。
千島樺太・台湾・南洋群島が日本領。朝鮮半島は大韓帝国。
63道庁県市(1道5庁51県6市)。
6市は東京市・横浜市・名古屋市(周辺町村を合併)・京都市・大阪市(周辺町村となぜか尼崎を含む)・神戸市。人口は特別市の京都や神戸より政令指定都市の福岡や台北の方が多い。東京府多摩地区は「多摩県」で県庁は府中市。
台湾は台北県・新竹県・台中県・台南県・高雄県の5県と台東庁・花蓮港庁・澎湖庁の3庁。
ほかに樺太庁・南洋庁。人口60万を越える樺太庁を除き県より庁の方が人口は少ない。
第二次世界大戦が無くベビーブームも起きなかったため、だらだらと人口が増え続け、マルサス・ダーウィン主義の進化党が人種改良と人口抑制を主張するものの、日本の人口はかなり過剰。
教育制度は、いわゆる「戦前」の制度に進学率向上に伴う「つぎはぎ」をした煩雑なもの。
新幹線は無い。省線は大部分が廃止され、鉄道は都市部と幹線のみ存続。逆に都市圏の通勤鉄道は多い。池袋から戸田・西浦和・指扇経由で石戸宿方面、池袋から東浦和・七里・蓮田方面など。
東京の空港は城東区・深川区の南にある「東京市飛行場」。大阪の空港は南港と堺沖。航空会社は1922~23年にタクシー会社・新聞社・航空機メーカーがそれぞれ設立した3社が中心。旅客機メーカーは実質1社のみ残存。
自動車や家電などではアメリカ製品が「それなり」の存在感を示している。「ドイツ」はプロイセンなど複数の国に分割されたため目立たない。
●その他の異世界
図書館は様々な異世界から召喚されており、また同一の図書館の蔵書も異なる「可能性の世界」から召喚できる。このため、それぞれ異なる技術が発展した異世界から技術を導入することで、理論上は「いいとこ取り」が可能だが、産業基盤が無いため活用出来ていない。
日本語圏以外の図書館は召喚困難という制約により、日本語が使われていない、あるいは図書館が機能していない、例えば以下のような世界からは図書館を召喚していない。
元寇や清日戦争などいずれかのタイミングで中華圏入り。
鎖国が行われずスペイン領に。
明治維新に失敗し、東日本がフランス領・西日本がイギリス領に。
日露戦争に敗北しイギリスが支援、イギリス保護領に。
共産革命・民族紛争などで図書館が維持出来ないほど社会が混乱。
森有礼が主張したように公用語を英語に転換。など。




