148:眷属達の設定(大学卒)
【コアルーム】
「マリーさん、次は眷属の召喚準備だな。名前を選ぶのが大変だ。」
「現実問題、名前と仕事に相関はありませんから、普通によくある氏名を端から付けていけば良いでしょう。例えば入間の代官どのは吉田西市佑ですが、眷属に吉田という者が居ても問題はありません。そもそも異世界の埼玉県は東京市と十数本の通勤鉄道で結ばれた衛星都市群に全国各地から人が集まっており、『特徴のある名字』というものはあまりありません。」
比較的埼玉県に偏って多いのは、群馬系の新井、例の村山党の金子、埼玉郡発祥の関根など。
「あまり考えずに気楽に行けば良い。ということだな。」
「そうですね。どういう仕事の眷属を何人呼ぶか。という方がよっぽど重要です。眷属も名前有り一般ですから『やり直し』は効きません。人と同じように、何年もかければ別の仕事を覚えることは可能ですが、それでは眷属の強みを生かせません。」
「数が必要なのが、農業・土木・機械と運転手、それに事務あたりか。」
「プログラマなどは数より能力ですからね。ミントにはシステムエンジニアとプログラマを1人づつ付ければ当面は大丈夫でしょう。」
「分かりやすいように、名字の末尾を揃えても良いだろう。名字リストで多いのは……藤が付いたら土木、田が付いたら農業、とか。」
「召喚枠自体が100人も居ないのに、そんなことが必要なのはマスターだけでしょう。ダメって事はありませんが。」
「あと、確率で選ぶなら、鈴木・高橋・佐藤・小林は複数居る方が自然だよな。重複を許すかどうか……。」
「好きにして下さい。あえて忠告するなら、マスターの場合、名字は重複させない方がよいと思いますが。」
「まず、大卒(修士)やグランゼコール卒の技術系眷属。ハッカーのミントさんを補佐するシステムエンジニアは鈴木さん、プログラマは高橋さん。土木の浜田博士と分担し5方面の開発を進めるために土木技術者の佐藤さんと斎藤さんを召喚。機械のサック博士に小林さん、電気の荏原博士に栗原さん、造船の水戸さんに福島さん、航空のメリッサさんに根岸さん、化学のレオノール博士に新井さん、生命工学の蘇我さんに田中さん。農業は大場博士に山田さんと吉田さんを付ける。これで眷属は12匹か。」
「マスターは建築士を持っていませんから、一級建築士も必要ですね。」
「埼玉に多い名字で……関根さんにしよう。あと、農業でも林業と畜産は個別に専門家が欲しいから、林業は秩父に多い浅見さん、畜産は岡田さん。これで15匹。」
「現時点でダンジョン運営に必須かつ住民では代替困難な大卒眷属は、このあたりでしょうね。ですが浪速大学農学部の開設学科の関係で、林業と畜産は特殊な設定上の経歴が必要となり、かなり召喚コストが割高になります。」
「そこは必要経費か。そして、最期に技術職以外で事務長の金子さん。設定上の実務経験は必要だけど経営学修士は要らないと思う。」




