145:ネームドモブモンスター召喚候補(農学系)(参考図あり)
【第三層群・会議室】
第三層群10階南側の会議室。マスター・マリー・ミント・ラージャが集まっている。
「マリーさん、紫蘇(修羅)の残り召喚枠は16人だったな。」
「そうですね。名前付きモンスター8名全てが召喚済み、名前有り一般モンスターの空き枠が16名です。」
「名前付きと名前有り一般は死亡しても復活可能な代わりに、もし要らなくなっても放逐できない。だったな。」
「はい。そうなりますね。モンスター側から出奔する。などの例外はありますが。なお、ダンジョンに所属した状態では事実上寿命はありません。」
「それで、召喚候補の種類は?」
「現状、第三層群の基本が27、浪速大学から持ってきた追加が6の33種類。追加は工学系2・農学系4ですね。うち8種類は名前付きモンスターと重複するため召喚不能。残り25種類です。さらなる『可能性の世界』まで考慮されるなら、いずれは増えるかもしれませんが。」
「マリーさん、それでは召喚する紫蘇(修羅)を決めていこうか。」
「このダンジョンは当面農業を基礎としますから、まず農業。農業機械とか畜産とかは言い出したら切りがありませんが、農作物の栽培技術は最優先で必要です。世界によっては応用生物科学とか言ったりしますが、要は基本的な農学ですね。わたしも植物の育て方はある程度知ってはいますが、さすがに専門家とまでは言えません。」
「農業は確定だな。シソ科と言う以上シソで。大葉とも言うから漢字を変えて大場、日本産だし日本にあり得る名前で良いと思う。」
「分類学上のシソ科の模式属はオドリコソウ属になるのですが、踊り子は体育系なのか芸術系なのか、いずれにせよ召喚リストにありませんからね。」
「踊るという属性を何か他にこじつければ別でしょうが。私の場合もバジルと法学は直結しませんし。」
と、ラージャ。
「マスター、眷属は大卒も召喚可能です。理工系大卒技術者は大抵が修士なので眷属は修士として、紫蘇(修羅)は博士を多めにし、ここは農学博士を召喚すると良いでしょう。設定だけの話ですが。」
「今は医学博士のサピエン先生だけだったな。」
「はい、わたしとミント・キンランが修士、残り4人は大学院進学率が半数未満の学部なので学士ですね。」
ただし、キンランの商学部もMBA取得者は決して多くは無い。
とある異世界の教育制度。
第二次世界大戦が無かったため、従来の制度を元に進学率増加に伴う改変を重ねており、かなり煩雑。
ここに示すのはあくまでも概略であり、編入や推薦試験も多く、例えば実業学校から大学等への進学もある。
もちろん、「図書館都市ダンジョン」の層群(図書館)やモンスターは複数の異世界から召喚されるため、紫蘇(修羅)や眷属の設定上の経歴がこの異世界の学校制度と全く異なる場合も多い。フランスから工学関係のグランゼコールを導入していたり、明治期にイギリスからパブリックスクールが導入されていたり、アメリカで多い534制度の12年間義務教育だったり……。




