133:ついに帝国図書館を召喚
【コアルーム】
マリー達は丸一日かけて粟軍を処理。
「粟軍は、誰にも知られずに忽然と消えた。訳か。」
「マスター、倒した『証拠』が無いのが問題です。兜はあっても首がありません。3万もの死体を1体づつ確認して取り込む暇はありませんし。」
「なに、全てが終わったことを明白に示すには、図書館を大規模に増設すればヨシ!」
「確かにそうですが。既存層群リストを再確認……ちょっとややこしいですが、複数棟が結合した再開発ビルなどにある図書館で、一部ですが図書館が無い棟も追加で召喚できるものがありますね。」
「具体的な例では?」
「第128層群キュポキュポ川口では、従来は図書館のある本館、B棟だけが召喚されていましたが、A棟の専門店街からE棟の住宅までそっくり召喚可能なように変化しています。また、第34層群は県総合文化センター全体が追加召喚可能で、幅260m・奥行き170m程にもなります。」
「その辺は増やすとして、小学校は?」
「小学校は召喚出来ませんね。ただ、あと、比較的小規模の分館や出張所も追加されています。このうち再開発ビルなどにあるものを召喚すれば、かなり高さは増すでしょう。」
「ならマリーさん、そういうのをいくつか召喚してみて。あと関係ありそうなの……ちょうど柿修羅の皆さんが医学書欲しがっているから、第三層群の医学部関係、全部召喚して。」
「全部ですか。洋書は読めないと思いますが。日本語だけだと6万点ほどですね。一括召喚をかけますか。」
「それでお願いする。追加の図書館は……。」
「第483層群と第484層群でホテル併設の図書館を。あと再開発ビルやショッピングセンターなどにある小規模な分館をいくつか。高さ10万フィートには到底足りませんが、10マイルは超えました。」
「これで帝国図書館の開放は?」
「え~と、マスター、いけます。召喚出来ます。……いつから召喚出来たんだろう?」
「よし、すぐに召喚。」
「帝国図書館は、本館・関西館・台湾館・旧館の4つがセットで一括召喚しか出来ません。サイズ的に、本館の上に関西館、さらに旧館と台湾館は並べてその上に、3段に組むと良いでしょう。層群番号は第ゼロ層群と扱います。」
第二次世界大戦が無かった世界なので、名称は帝国図書館。
「さすがに、ごっそりダンジョンエネルギー持って行かれたな。ざっくり10万人分は越えるか。これで本は別枠なんだろ。」
「ですね。ただ、獲得ダンジョンエネルギーは倒した相手の強さで変わってきますから、人数換算は意味が無いでしょう。」
「最期に層群を概ね大きさ順に並び替える。」
「従来入り口だった第四層群が地上700m以上に行ってしまいましたね。一番下の第34層群の総合文化センター1階を入り口にします。あと、その上の第535層群・拡張310層群と第488層群低層部もそれぞれショッピングセンターで多数の来客に耐えますから、外部からアクセス可能とします。さすがに帝国図書館は上空200m以上になりますから、地上との直結は困難ですが。」
「一般公開するものでもないし、構わないかと。こんなものかな。商人達は度肝を抜かれているだろう。」
「マスター、召喚リストに小学校が増えています。中学校や高等女学校も召喚可能ですが、多少コストが高くなっていますね。元から数が少ないので、あまり気にする必要は無いでしょうが。あれ……高等学校?」
「マリーさん、高等学校がどうしたって?」
「高等学校は大学進学専門の教育機関ですから、全国に50校は無いはずです。ですが召喚リストに多数並んでいます。」
「召喚出来るなら問題なし。どうせ明治期にアメリカのハイスクールを直訳して持ち込んだ世界だろう。残りのダンジョンエネルギーは?」
「多くはありませんが、村をいくつか作る程度は……図書室のある小学校なら、校舎1棟だけでなく、丸ごと召喚可能ですね。相変わらず図書室以外の備品は召喚出来ませんが。」
「ちょうど良い。それで農村をいくつか追加しよう。しかし、備品がダメなら実業学校を召喚して工房を入手する。って手は使えないな。」
「もっとダンジョンを成長させれば、いずれはいけそうな気もしますが。」




