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127:最終防衛線・見沼。餓鬼は泳げない

【コアルーム】


「さすがに武蔵の平塚ひらつかは迂回するようね。」

 あわ軍発見から5日、敵は豊島としま代官所・平塚ひらつかには立ち寄らず、その東を抜け、砂漠に足を踏み入れる。

「マリー、国府台こうのだいからこちらへ向かう場合、平塚の前後で涸れ川を渡りますから、水攻めか何かでも警戒したのでしょう。見沼の存在を知っているかは分かりませんが。」

 ラージャ(バジル)あわ軍の意図を推測する。

「ただ、平塚からかなりの人数が合流し人数はかなり膨れ上がっている模様で、不明瞭だが10万を越えていそうだ。武蔵むさしも商人や冒険者までは統制出来ないとはいえ、傭兵の集まりが異常だ。」

 400mm天体望遠鏡を地上偵察用に転用しているが、まだ距離が200kmと遠すぎてミントにも詳しいことは何も分からない。筑波内薬佑つくばないやくのじょうの時は40kmだった。

「予想よりずっと大規模な軍勢になってきましたね。途中合流した人数が、おそらくあわの動員能力をはるかに超えている以上、金銭で雇われた傭兵でしょうが、傭兵達は勝てると確信しているのでしょうか。」

「あるいは、このダンジョンの『捕虜を取らない』という評判を知らない、遠方からの傭兵か。」

 ミントは言う。

「マリーさん、そろそろドローンの出番だろうか。」

「マスター、今回はあえてドローンを使わず、辻村から先には一切出ない方針で行きます。緒戦は辻村。ダンジョンは影響圏外には手を出せない。そういうものですから、影響圏を辻村までと誤認させます。」

 マリーはあえてドローンを封印。

「平塚から辻村までは砂漠を40里。おそらく6から8日程でしょう。少数の騎馬隊等で威力偵察してくる可能性もありますが、『捕虜を取らない』ことが知られているため、おそらく辻村の手前で引き返すと思われます。ダンジョン影響圏内に入ってくれば映像と音声を拾うことが出来ますから、辻村到着の前日には詳細も分かります。」

「平塚の手前まで影響圏なら、毎日いやな雨を降り続けさせて病気にでもすることができたか……。」

「ミント、砂漠ではとんでもなく贅沢な嫌がらせですね。あいにく、見沼にそれだけの水はありませんが。」


「マリーさん、最終防衛線はきし村の手前、見沼みぬまで良かったかな。」

「はい。橋を渡る場合、見沼を泳ぐ場合、迂回し西3~4kmにある堰を通る場合、さらに西の涸れ谷を通る場合、逆に東へ廻る場合、それぞれに罠を準備します。さらに、このダンジョンの天敵は餓鬼ですから、餓鬼が多い編成であっても確実に仕留められるよう、複数段階の計画を立てます。なお、今回は水が足りませんが、今後は西の涸れ谷『鴨川』にもダムを作って、このダンジョンの三方向を沼で囲む。というのも考慮に値します。」

「完全に囲むことは出来ないか?」

「北西側は標高が高いですが、人為的に運河を掘る。という手は使えますね。餓鬼は比重が高いため泳げませんから、沼に突き落とすのは有効でしょう。溺れても死にはしませんが、仮死状態になったところを砕けば良いのです。あるいは、そのまま地層に埋めてしまっても良いでしょう。君が代では無いですが、いずれ堆積岩になるでしょう。」


「辻村はどうする。」

「辻村は一端退避ですね。逃げたと思わせましょう。でも、ダンジョン構造物はそうそう壊れませんから奪われる心配は無いでしょう。」

 その他、細かい打ち合わせと準備。

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