103:商学部と経済学部は同じ?
【コアルーム】
「ここが図書館都市ダンジョンということはダンジョンモンスターなら最初から知識として持っていると思う。」
「はい。」
「それで、大規模な人間牧場を開設し、討伐されるリスクを犯さずに感情エネルギーを収集する。というのがこのダンジョンの運営方針だ。運営理念は『物心共に健康で豊かな生活を実現する』。そのため田畑を増やし村を作り移民を集めている。」
「人間牧場は成功するダンジョンの定石の一つやな。ダンジョンモンスター以外に、住民ちゅう外部人材が関与するさかい運営難易度は高うなるけど。」
「で、このダンジョンでの営業の仕事は、となるわけだけど、その前に、商学部と経済学部ってどう違うのか。」
「ごくごく簡単に説明させていただきますと、経済の仕組みを研究するのが経済学部、企業・商品に視点を当てるのが商学部と考えたら分かりやすいでしょう。どちらかと言えば経済学は応用数学にも近く、商学はより純粋な社会科学と言えるでしょう。」
「ま、社会に出てやることは大差あらへん。講義は最低限、サールクで人間関係学んで、バイトでクレーマー対応学んで、コンパで雰囲気づくり学んで、立派な営業になるんや。もっとも、ダンジョンモンスターは学校には通ってへんから、設定だけの話やけど。」
「阪神大学に工学部が3つあるみたいな歴史的経緯では無くて、微妙に違うってことね。阪神大は前身学校の統合などの関係で、吹田にあるのが工学部で豊中にあるのが基礎工学部で六甲台にあるのが神戸工学部だとか。」
と、マリー。世の中には経済学部・経営学部・商学部と3つ持っている大学もあるが。
「そして、鳴尾にあるのが競馬場。」
それは違う。
「数学が苦手やから経済学部やのうて商学部。ちゅう選び方もありやけど、数学は苦手でも数字は好きにならなあかんで。」
「分かったような分からないような。それで、2人にやって貰う仕事だが、最初はダンジョンのシステムを使って田畑や住宅を作るだけだから問題は無いだろう。マリーさんが分かりやすいマニュアルを作っているから、その通り進めれば問題無い。」
「問題はその次ですね。大量の入植者を組織化して社会を作らないといけません。さらに、このダンジョンを中心とした安定した経済システムを作らないといけません。お願い出来ますか。」
マリーが仕事を割り振る。
「要は組織運営をやれ。ちゅうことやな。」
「顧客が住民と定義すれば、理念が抽象的で中身が無いという問題はありますが、方向性として訴求力はありますし、行動指針を明確化出来れば、致命的な問題は無いでしょう。」




