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会議

 第二支部定期演奏会とは、主に港区の私立高校の音楽系の部が集まって、企画開催する演奏会である。吹奏楽部の他、合唱部や弦楽器部、ギター部なども参加する、毎年恒例の行事だ。7月の末から、月一くらいで各学校の代表が集まり、準備を進めている。稜賀高校では一年生が3、4人ずつ参加していたが、今は4人になってしまったので、毎回4人みんなで参加していた。

 実行委員会はいつも同じ高校内で行われた。11月の会議の日、1年の4人でその会場である港中央学園へ向かった。この演奏会に参加する学校は、学力の高い学校が多い。特に高いところがいくつも。稜賀高校の面々は、その点でも引け目を感じるが、更に感じるのが、お坊ちゃん学校の生徒が多いこと。

「腕時計が違うな。」

ぼそっと朴が言った。

 生徒が中心になって、当日の係分担などを決める。稜賀高校は搬入係に決まった。他にドアガール&ドアボーイや、舞台上に楽器や椅子を並べたり片付けたりする係、受付、案内、などの係があった。希望がどうとかではなく、決められていたのだが。人数の問題だろうか。

「今日は、全体合唱について話し合いたいと思います。」

実行委員長の女子が言った。歌う事にはあまり興味のない凌駕高校の4人は、今日も押し黙ってメモを取る。いろいろ意見が出たのち、「瑠璃色の地球」に決まった。いつの世も女子の意見は強い。

 会議が終わり、皆それぞれに部屋を出る。和馬は肩が凝って、大仰に首を回した。すると、ポトリと音がした。目の前にボールペンが落ちている。それを、朴が拾った。そして大股に歩いて行き、ある女子に声をかけた。

「あの、これ落としましたよ。」

すると、その女子は振り返り、2秒くらいかかって顔を上げた。朴の背がとても高いので、顔を見るまでに時間がかかったのだ。

「えっ?あ、ありがとうございます。」

最後は聞き取れないくらいの小さい声で言って、ボールペンを受け取った。

朴は足が長い。座っていると特に大きくないのに、立つと大きいのだ。身長は182センチである。体重は75キロ。実は朴は、ずっとサッカーのクラブチームに所属していたが、中学の部活はバスケ部だった。そして、小さい頃から空手も習っている。かなりのスポーツマンであった。ちなみに佐々木もサッカーの他に空手もやっていた。今は2人とも学業と吹奏楽に絞っているが。

 ボールペンを受け取った女子は、そのまますぐに立ち去ろうとせず、友達も一緒に、しばし朴を見て動きが止まっていた。朴はもう用はないとばかりに和馬たちの方へ歩いてきた。すると、その女子と同じ学校の男子たちがまとまってこちらを見ている。

「ヒョンス、お前何やらかしたんだ?」

朴が3人の元に戻ってきた時、角谷が小声で言った。

「え?落とし物を届けただけだけど?」

朴はそう言うが、ちょっと険悪なムードだ。ただでさえアウェイで、自分たちは少人数で、お坊ちゃんでもなく、偏差値も高くなく、吹奏楽の経験も浅いというのに。

「とにかく、穏便に、目立たないように、帰ろうぜ。」

佐々木も小声で言って、4人はそそくさと部屋を出たのだった。


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