七話
ウルンという街はそこまで大きい所ではないが人が多くいる場所で、酒屋などの飲食店ではリユーン以上の盛り上がりを魅せる所だと二人は聞いていた。
しかし実際に来てみると、門付近の建物はほとんど崩れており、街の中央に位置する建物も一部崩れかけているものもあった。
街の人々の行き来もほとんど無く、ここの住民であろう人が二人をちらりと見るとすぐにどこかへ行ってしまった。
「一体何があったんだ?」
「わからん。一度ギルドに行って確認をとるのがよかろう」
二人は街の中央に存在するギルドの建物を見つけた。
建物の外観はリユーンのそれとほとんど一緒だったので迷う事は無かった。
しかしギルドの中はリユーンのそれとはまったく違っていた。
それは物の配置とか受付の場所が違うとかそういう問題ではなく、人がほとんどいないという事だ。
二人は受付の人に街の状況について話を聞こうと唯一人がいた受付へと向かった。
受付のお姉さんはずっと下を向いていたが、二人の足音が近づくのを感じ取ると、二人をできる限りの笑顔で迎えた。
「こんにちは。どうなさいましたか?」
「俺達はさっきリユーンという街から来た者なんですが、先ほど街の建物のいくつかが崩れていてので何があったのかお尋ねしようと思いまして」
お姉さんは悠真が喋り終わると慌てた様子で奥の方へと行ってしまった。
しばらくするとお姉さんは、自分より少し年上であろう女性を連れて戻ってきた。
「あら?ヒルドは随分と若いのをよこしてきたわね。まあヒルドがよこしてくるぐらいだから強いのは間違いないんでしょうけど」
三十代くらいの女性は二人の顔を見るなりそんな事を言ってるが、二人は一体何の事を言っているのか全くわからなかった。
「そなたは一体何を言っておるのだ?」
我慢できなくなったユキは女性に尋ねた。
女性は見た目に似合わないユキの話し方に一瞬驚いたものの、すぐに表情をもとに戻した。
「あれ、もしかして聞いてない?まあここで話すのもあれだから奥の方に来てちょうだい」
ユウマはこれから嫌なことを言われる予感がしたが、その予感は残念ながら外れる事はなかった。
「実はね、つい先日オークの群れが街の付近で発見されて、私を含むこの街の主力のメンバーがオークの討伐に向かったんだけどね、その間にオーガがこの街を襲いに来たのよ。オークとの戦闘中嫌の予感がした私は急いで街にもどったんだけど、すでに数体もオーガは街に侵入していてね。住民は奥に避難したって聞いたから私は街の中で魔法を使ったのよ。まあそうしたらあの有様よ」
この女性の名前はケリエと言い、ウルンのギルド長だそうだ。
ケリエはこの襲撃を不思議に思い、ヒルドに連絡をした所、リユーンでも同じ事が起きていたので、これは調査が必要と判断した二人はそれぞれから優秀なハンターを用意する事になったそうだ。
「ちなみにこの調査の依頼の拒否権はないからね。なんせギルドから直々の命令なんだから。まあその分報酬はたくさん用意しておくから、そこは安心しておきなさい」
「はあ、まあわかりました。それでリユーンからは僕たちが派遣されることになったわけなんですけど、そちらからはどなたが参加なされるんですか?」
「ああそうね。ちょっと待って今呼ぶから」
そう言ってドアを開けると、これまた若い三人が現れた。
ケリエは二人と対面するようにソファーに三人を座らせた。
「えーと、こっちから出すのはこの三人だね。まあこいつらも若いけど実力は私が保証するよ。じゃあ後は若いもんどうしでやってくれ」
そう言うとケリエは部屋から出て行ってしまった。
部屋に取り残された五人はとりあえずは自己紹介から始める事になった。
「えーと、俺はヘンス。職業は戦士だ。年齢は二人より年上の20だ。よろしく」
「私はメル。職業は狩人。年齢は17。よろしく」
「私はヒエイだよ。職業は盗賊。年は18だから二人より少し先輩だね。よろしく」
どうやら五人の職業がバラバラになるようケリエとヒルドは図ってくれたみたいだ。
「まあここに居ても何も始まらんしな。外に出よう」
五人はさっそく外に出て、調査を開始したのだった。




