第三十七話「海賊の切り札」
機甲鎧の両肩に装備してある可変型噴射器を操作して航宙艦の前方に出ると、戦場ではまだ戦いが繰りひろがれていた。
四体の護衛の侍達は海賊達の機甲鎧の連携に翻弄されて中々攻められずにいて、その間にも五隻の小型航宙艦がこちらに向かってきている。戦況は少しずつこちらの不利になっているようだな。
アオ。神器の弓矢で攻撃する。ZINを供給を頼む。
「任せて。……と、言いたいところだけど、その前にやることがあるのよね」
そう言うとアオは機甲鎧の通信装置を操作して護衛の侍達に、神霊の青火姫の口調となって声をかける。
「聞け! 勇敢なる武士達よ! これより私、神霊青火姫とその契約者、日善カズトも戦いに加わる! 天文帝国の守護神たる神霊の私達が戦列に加わったからにはこの戦い、私達の勝利以外の結果はない! 総員奮起せよ!」
『……………………!!』
アオの言葉を聞いた途端、侍達の動きが明らかに良くなり海賊達に向かって果敢に攻め立てる。
あの言葉だけでここまで戦意が出るとは……。神霊って侍にとって絶対な存在なんだな。
「ふふん♪ カズトってば今頃気づいたの♪ さあ、せっかく私が勝利宣言をしたんだから、それをホントにしないとね♪」
ああ、分かっている。アオ、ZINを。
「了解♪」
ブゥン。……ギリリッ!
アオからZINを受け取った俺はそのZINを使って神器の弓矢を作り出しすと、矢をつがえて弦を引き絞る。
狙いは海賊達が乗る機甲鎧……ではなく、こちらに向かってきている五隻の小型航宙艦。この神器の弓矢なら小型航宙艦くらい一撃で撃破出来るし、母艦である航宙艦を撃破されたら護衛の侍達と戦っている機甲鎧に乗っている海賊達も引いてくれるだろう。
「……この感覚。カズト。右から二番目の航宙艦、その推進器を狙って」
航宙艦の推進器を? 撃破じゃなくて動きを止めるのか?
「うん。詳しい理由は後で説明するからお願い」
………分かった。任せろ。
俺はアオの言葉に頷きを返すと、弓矢の狙いを右から二番目の航宙艦の推進器に定めて……放つ!
ビシュ! ……………ドォン!
俺が放った神器の矢は航宙艦の推進器を貫き、航宙艦は貫かれた箇所から爆炎を起こして動きを止めた。そしてそれと同時に、他の航宙艦と機甲鎧に乗っていた海賊達の動きが鈍った。
何だ? 今の航宙艦には海賊団の団長が乗っていたのか?
「カズト、気を抜かないで。……出てくるわよ」
アオ? 出てくるって何がだ?
真面目な表情をしたアオの視線につられて神器の矢で攻撃した航宙艦を見ると、航宙艦の船体の一部が開いてその中から巨大な人影が出てきた。
航宙艦から出てきた機甲鎧は機体全てが漆黒で彩られていて、両腕には人間と同じ五指の手があった。
御手型機甲鎧!? 海賊も御手型機甲鎧を持っていたのか?




