表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/46

第三十話「火藤・炎獣・政栄・ー輝陽」

「お、お父様!? 一体何を言っているのですか?」


 客室にいた男性の言葉に最初に反応したのは、俺でもアオでもなく後ろに立っていた緋乃だった。緋乃に気づいた男性は手を上げてにこやかに彼女に声をかける。


「やあ、緋乃。久しぶりだね。お二人の護衛、頑張っているようだね」


 この人が緋乃の父親? それじゃあもしかして……。


「そう。私がそこの緋乃の父親。火藤家当主、火藤・炎獣・政栄・一輝陽だ。これからよろしく頼むよ」


 この人が火藤家の当主、火藤・炎獣・政栄・ー輝陽様……。天文帝国でも指折りの大貴族。


 あの、それで貴方が俺の新しい義父さんって、どういうことですか?


「どうもこうもそのままの意味さ。君は承認の儀が終わって侍になり次第、私達火藤家の人間になってもらう。入り婿って形でね」


 俺が、火藤家の人間に? ……っていうか今、入り婿って?


「その通りだ。君にはそこにいる緋乃か、ここにはいない『緋巫女』のどちらか、あるいは両方と婚約してもらおうと思っている」


「私か、緋巫女お姉様が……婚約?」


 何でもないように言う政栄様の言葉に、後ろの緋乃が何を言っているのか分からないといった声で呟く。うん。あまりの急展開に俺も頭がついていかない。


「ちょっとちょっと? いきなり何、私のカズトに他の女を押し付けようとしてんのよ? カズトは私の契約者なんだからね」


 それまで黙って話を聞いていたアオが不機嫌な顔で政栄様に抗議する。アオ、よく言ってくれた。


「青火姫様、どうかお怒りをお鎮めください。

 日善カズト君が貴女様の契約者であると知られた今、彼の安全を万全とするためには早急に後ろ楯となる家を用意する必要があったのです。そして先日の天文帝国の命でその後ろ楯となる家が我が火藤家と決まったので、こうして娘の婚約をもって一族になってもらおうと考えた次第です。

 もちろん青火姫様と日善カズト君が我が娘達との婚約を拒むとするなら、単に養子となってもらうことも考えています」


「むぅ~」


 事情を説明する政栄様にアオは不満げな顔をしながらも引き下がる。


 確かに政栄様の言葉にも一理ある。天文帝国で特別な存在である神霊を宿した俺を狙う人間がいないとは限らない。だからそれから守ってもらうためにも後ろ楯となる家は必要なのだろう。


「……しかし、景虎が引き取った子が私達火藤家の人間になるとはね。これも縁というのかな?」


 ……………!? ま、政栄様? 今、景虎って?


「日善景虎。十年前に君を引き取った養父であり、私の優秀な部下だった男だ。もちろん覚えているとも」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ