第二十九話「予期せぬ出会い」
ようやく航宙艦港にとたどり着き特別護送車から降りると、やはりそこにも大勢の人達が俺とアオの姿を見ようと集まっていた。
何だかここにくるまでの道より人が集まっていないか? テレビ局のカメラマンも何人もいてこちらにカメラを向けているし、俺なんかを撮っても面白くないって、絶対。
「カズトってば、そんなイヤそうな顔をしないでもっとしっかりしなさいよ」
そうは言うがなアオよ、つい先日までただの学生だった俺にはこの無数の視線は本当に耐えられないんだよ。さっきから手に汗がにじんでくるし、人の視線が集まるとここまで熱を持つだなんて初めて知ったぞ。
俺達が乗る帝星行きの航宙艦はまだ出発まで時間があるらしく、周囲の視線から逃れるために俺は航宙艦港に用意してもらっている客室へ行こうと足を進める。その時、
「カズト!」
俺を見にきた人達の中から聞き覚えのある声が聞こえてきた。思わず足を止めて声がしてきた方を見るとそこには七日前まで同じ学校に通い、同じ寮の部屋で暮らしていた友人、花山修理の姿があった。
「カズト……。えっと……その……」
俺の視線に気づいた修理は何かを言おうとするが、自分でも言うことの整理がついていないのか何も言えずにいた。
修理、ひさしぶり。見送りに来てくれてありがとう。それと俺はまだ正式に侍になったわけじゃないから普通に話してくれ。
「あ、ああ、分かった。……その、承認の儀、頑張れよ」
うん。何を頑張ればいいか分からないが、恥をかかないように気を付けるよ。
俺はややぎこちないけど笑みを浮かべて言う修理に答えた。
修理。俺がいなくなっても部屋の掃除はちゃんとやれよ? あとそれと……、
「それと?」
頑張って立派な整備士になれよ。そしたら将来、俺の専属整備士にしてやるよ。
「……! はっ、言ってろ」
笑みを浮かべる修理に俺は別れを言うと航宙艦港にある自分達の客室へと向かった。
客室がある区画は、最初から身分が高い人達を迎え入れるように通路からして高級感が漂っていたが、この七日間でこのテの雰囲気になれた俺達は特に緊張することなく通路を歩いていき、自分達の客室を見つけると扉を開いた。
ガラッ。
「やあ。遅かったね。待っていたよ」
扉を開いて部屋に入ると、そこには四十代くらいの一人の男性がにこやかに俺とアオを出迎えた。え? この人誰?
「あれ? おじさんは誰? ここって私とカズトの部屋のはずだけど?」
「おお。これは失礼しました、青火姫様。実は貴女様の契約者、日善カズト殿にご挨拶をしたくて、無礼かとは思いましたがこの部屋で待たせてもらいました」
四十代くらいの男性はアオに頭を下げて礼をしたあと、再び俺の方を見てきた。
「さて、初めましてだな、日善カズト君。俺は……そうだな、一言で言えば君の新しい義父親になる者だな。これからよろしく頼むよ」
…………ハイ? 俺の新しい義父親?




