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第二十七話「プールでの一時」

 バシャア!


 宿泊施設で暮らすようになってから五日目。宿泊施設の中にある温水プールに水音が響き渡る。


 プールでは、いつもの着崩れた着物ではなく青の炎の模様が描かれたビキニを着たアオが魚のように華麗に泳いでおり、俺はプールの側にある椅子に座りながらその様子を眺めていた。


 ……こうして改めて見るとアオって本当に可愛くて綺麗だよな。


 宝石のような青い髪。整った顔立ちに光るような白い肌。俺より背が低くて、抱きしめれば折れてしまいそうなくらい華奢なのに胸はたわわに実っている。


 もしアオが神霊じゃなくて人間だったら世の男達はほうっていかないだろうな。


「……ん? 何? カズト、どうしたの?」


 そんなことを考えながらアオを見ていると、俺の視線に気づいた彼女が泳ぐのを止めてこちらを見てきた。


 いや、何でもない。……というかアレだよな? アオってば本名が青「火」姫なのに泳ぐの得意なんだな。プールに入ったとたんに「ジュッ!」て音を立てて実体化が解けるかと思った。


「カズトってば私を何だと思っているの? そんなゲームの火属性の雑魚妖怪なわけないでしょ?」


 アオが呆れたような表情で俺を見てくる。よし、上手く誤魔化せたみたいだ。しかしアオってゲームやっているんだ。


 シュン。


「青火姫様。日善カズト様。こちらにおいででしたか」


 アオとたわいのない会話をしているとプール場の扉が開いて侍の女性、火藤緋乃が入ってきた。


 火藤さん? どうかしましたか?


「はい。実は日善カズト様の『承認の儀』が行われることが決まりました」


 ………! そうか。いよいよか……。


 承認の儀というのは天文帝国で正式に侍と認められる為に行われる儀式だ。大抵はその侍が活動する星で承認の儀を行うのだが多分俺の場合は……、


「急な話で申し訳ありませんが、青火姫様と日善カズト様には二日後、承認の儀を行うために『帝星』に向かってもらいます。ですからお二方には明日のうちにその準備をお願いします」


 あー、やっぱりそうなるよな……。


 帝星というのは今から千年以上昔、まだ神霊と出会う前の天文帝国があった星のことだ。つまり帝星はこの天文帝国の始まりの地であり中心で、天文帝国の支配者「光帝」が住まう星でもある。


 俺、神霊のアオを宿した侍は天文帝国でも特別な存在だからな。帝星で大規模な承認の儀を行って、俺の存在を天文帝国全てに知らしめようって考えなのだろう。……あー、これでまた見せ物扱いの日々が続くってことか。


「日善様? どうかいたしましたか?」


 いえ、何でもないですよ。……そうだ。火藤さんも暑いでしょう? よかったら泳いでいきませんか?


「っ!? い、いえ! わ、私は水着を持っていませんので……その、失礼します!」


 泳ぎに誘うと火藤さんは顔を真っ赤にして、逃げるようにプール場から出ていった。俺、そんなに変なことをいった……かっ!?


 バシャア!


「カズト~? 私みたいな可愛い子がいるのに他の女に声をかけるってどういうつもり……よっ!」


 バシャア! バシャア! バシャア!


 突然水をかけられたのでそちらを見ると、何やら頬を膨らませたアオが俺に水をかけてきた。いや、待てアオ! 俺は別に変な気持ちで言ったわけじゃ……!

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