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番外一話「花山修理の部屋にて」

『先日、学園都市惑星ミチマサに神霊を体に宿した人物が現れた事が分かりました! その方の名前は日善カズト様! 神霊の青火姫様と契約をなされた新たなる英雄です!』


「またカズトのニュースが流れてる」


 部屋で適当に番組を変えながらテレビを見ていたら偶然ニュース番組が映って、画面では四十代ぐらいのニュースキャスターが興奮した様子でカズトのことを話していた。


 というか、ここのところどの番組を見てもカズトのことばかりだな。まあ、それも仕方がないか。何しろ神霊を宿した侍はこの十年間、カズト以外一人も現れていないからそりゃ話題になるよな。


 俺は花山修理。


 今年から神鳴寺機甲鎧整備教導院に通っている未来の機甲鎧の整備士だ。そして今ニュースで報道されている日善カズトと同じ部屋の同居人だ。


『日善カズト様は神鳴寺機甲鎧整備教導院の学生で、三日前に神鳴寺機甲鎧戦術教導院に現れた悪霊獣を撃退したことから神霊の青火姫様と契約をされていたことが分かりました』


 そう三日だ。カズトが機甲鎧に乗って神鳴寺機甲鎧戦術教導院で悪霊獣十体を倒したあの日からもう三日が経っていて、カズトは一度もこの部屋に帰ってきていない。何でも新たに現れた神霊を宿した侍の安全を確保するためらしい。今頃はどこかの高級宿泊施設であの神霊の青火姫様とのんびりしているのかね?


「それにしてもあのカズトが侍とはな……」


 初めて会った時のカズトの印象は何て言うか……地味な感じだった。目元まで前髪を伸ばしていて表情がよく分からなくて最初は部屋の前でボーとしていたんだよな。


「とてもじゃないけど神霊を宿した強い侍には見えないって」


 でも話してみると結構いい奴で、いつかやろうと思っていた掃除も「手伝って」くれた。時々独り言を言う癖はあってもいい同居人がやって来たと思ったぜ。……今思えば、あの独り言は青火姫様と話しをしていたのかもな。


 それが三日前のあの日。悪霊獣の出現に出くわしたら、突然カズトが機甲鎧に乗って悪霊獣と戦って、しかも神霊を宿していると言われて……。


 正直、出来すぎだと思った。これで青火姫様と契約したのが三日前のあの日が最初だとしたら完全に物語の主人公だぜ? カズトの奴?


『日善カズト様は身寄りのいない孤児で、引き取り手であった養父も数年前に亡くなっていることが分かっており、天文帝国では侍と認めるのと同時に、まだどこの家かは分かりませんが侍の養子とすることが決まりました』


「……もし今度カズトと会うことがあっても、その時はもうアイツは侍で、今までのように呼び捨てにしたり気安く話しかけることはできないんだよな」


『侍となれば日善カズト様は神鳴寺機甲鎧戦術教導院に転入することとな……』


 プツン。


 そう考えると俺は少し寂しい気分になりテレビの電源を切った。

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