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第二十三話「神霊への対応」

 喉元に突きつけられた刀を見たあとに刀を持つ女性を見る。女性は油断ない目を俺に向けていて、この表情は何かをしたらためらい無く俺を切ると言っていた。


 後ろにいる四人の男達も刀に手をかけながら俺を凝視と言っていいほど強く見ているし、ここは大人しくしといた方がいいだろうな。


「お前、名前は? この学園の生徒ではないようだが、どこの星の侍だ?」


 俺は日善カズト。神鳴寺機甲鎧整備教導院の生徒で……侍ではありません。


「整備教導院の生徒だと? 嘘をつくな! 侍でもない整備教導院の生徒、平民ごときが機甲鎧を動かし、なおかつ神器を使えるものか!」


 俺の言葉がよっぽど気にさわったのか女性は更に刀をこちらに近づける。……ちよっ! 刺さる。刺さるって。


「……まあいい。詳しい話はこちらで聞く。だが我が校の機甲鎧を勝手に使用したお前にはそれなりの罰則がある。それは覚悟しておけ」


「ちょっと待てよ! 何だよそれは!?」


 女性の言葉に修理が思わず声を荒らげる。


「俺達が無事だったのはカズトが機甲鎧に乗って悪霊獣を倒してくれたからだろ? あんただって助けてもらったじゃないか? それなのに拘束とか罰則とかふざけんな!」


「修理ちゃん!」


 女性に詰め寄ろうとする修理を花山先生が抱きつき止める。


 ああ、よかった。ありがとうございます、花山先生。


 この女性と後ろの四人の男達は全員侍、特権階級の人間だ。あのまま修理が怒りのままに詰め寄っていたら切り殺されてもおかしくなかった。


 それにこの女性の言葉にはやや棘があるが、言っていることはそんなに無茶苦茶なことではない。


 確かに侍でもないのに機甲鎧に乗って戦うただの学生なんて怪しすぎるし、この学園は軍隊に次ぐ機密情報が高い施設で、そこの機甲鎧を勝手に持ち出したのは十分な罪になるだろう。


 それなのだが……、



「そうだな。そこの男の言葉には私も同意見だ」



 女性の意見に腹を立てたのは修理だけではなかったようだ。


「え……?」


 そう言ったのは誰だったか、その場にいたいた全員が俺を見て、俺の上には実体化してアオの姿があった。


「この者、日善カズトは神霊たる私、青火姫の契約者である。日善カズトを疑うということは私も疑うというこでよいのだな?」


 アオはいつもとは違う、威厳を感じさせる表情と口調で女性達に告げる。……アオって、こんな表情と話し方もできたんだ。


「なっ……!? し、神霊って……い、いえ! 滅相もありません!」


 アオの言葉をうけた女性達侍五人は即座に膝をつけた。


「私の契約者に向かって平民ごときと言い、刀を突きつける。私の記憶違いではなければ女、お前は私の契約者に助けられたはずだな? 天文帝国の侍は恩人に刀を突きつけるものなのか?」


「……!! い、いえ、そんなことは決して……」


 冷たい目をして言うアオに女性は体を震わせながら答える。天文帝国で神とされているアオに直接叱責の声を受けるのは侍にとってこの上ない恐怖だろう。


 アオ。もうそのくらいでいいだろう?


「……ふん。まあいい。それよりも私の契約者は今、疲れている。……その理由は分かるな?」


『……はっ!』


 アオの言葉に女性だけでなく後ろの四人の男達も声を揃えて答える。


「お前達が不甲斐ないために私の契約者が十体の悪霊獣を退治することになったためだ。すぐに契約者を体を休められる場所に案内せよ」


「わ、分かりました! ひ、日善カズト様でありましたな。どうぞこちらに」


 女性と四人の男達がアオの言葉を聞いて弾かれたように立ち上がり校舎の中に案内をしてくれる。


「……そういえば先程、拘束や罰則という言葉が聞こえたが、まさか案内する部屋は牢ということはないだろうな?」


『い、いえ! その様なことはありません!』


 意地が悪い顔をしたアオが言うと女性達侍五人はもう反射的に口を揃えて答える。だからアオ、いい加減にしろって。


 それにしてもアオが出てきただけで侍達の態度がこんなにも変わるだなんて……。流石は天文帝国の神、神霊ってことか。


「ふふん♪」


 俺が言うとアオは自慢気に小さく微笑み、俺にだけ見えるように右手の人差し指と薬指を立てた。

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