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第十八話「故障」

「ーーーーー!」


 俺に蹴り飛ばされた悪霊獣が立ち上がると咆哮をあげる。相変わらず人間の耳では聞き取れない声音だが、周囲の大気を振動させて強風を起こしているところを見るとかなり怒っているようだ。


 まあもっとも悪霊獣に怒る、という感情があればの話だが。


「カズト、油断しないで。来るよ!」


 アオの言う通り、悪霊獣はこちらに向かって一直線に走り出し、右腕の爪を俺が乗る機甲鎧に突き立てようと勢い良く振るう。……だけど!


 ガッ! ギャリリリィ!


 俺は右肩の装甲で悪霊獣の爪を受けると、そのまま上半身を時計回りに回転させて攻撃を受け流した。そして悪霊獣の攻撃を無力化した瞬間に……今だ!


 ザン!


「ーーーーー!?」


 機甲鎧の機体を捻った状態で右腕の刀剣を振るうと、機甲鎧の刀剣は悪霊獣の体を上半身と下半身の二つに分けて、悪霊獣は悲鳴を上げながら黒い霧へとなった。そしてその光景を見てアオが歓喜の声をあげる。


「すごいすごい! これで二体目! カズトってば、本当に強い! 私の目に狂いはなかったかも。でもカズト? なんだか私達、今ので悪霊獣達の注目を集めちゃったみたいだよ?」


 分かっているさ、アオ。


 立て続けに二体の悪霊獣を倒したことで、どうやら悪霊獣は俺達を他よりも強い敵と認識されたらしく、今度は三体の悪霊獣がこちらに向かってきていた。


 だがこれはある意味好機だ。ここで俺が敵の注意と戦力を引き付けておけば他の機甲鎧達の負担も大きく下がるはずだ。


「わ、私も戦うわ!」


 さっき俺が助けた機甲鎧の女性が一緒に悪霊獣と戦おうと言う。


 ……いや、君は他の機甲鎧を援護してくやってくれ。ここは俺一人でなんとかする。


「だけど……」


 早く!


「っ! わ、分かったわ。貴方も気を付けてね」


 君も気を付けて。……さあ、それじゃあ行く……かっ!?


 ガシャン!


 機甲鎧の女性を他の機甲鎧の援護に向かわせた後、こちらに向かってくる三体の悪霊獣の方に機体を向けようとした時、俺の支配下にあるはずの機甲鎧が俺の意思とは関係なく突然右膝をついたのだ。


【右脚部、右膝間接の駆動系に異常発生】


 右膝に異常!? 故障か!?


 そういえばこの機体に乗った時、下半身に何かの反応があった気がしたが、もしかしてこれのことか? くっ! 動け! 動け機甲鎧!


 俺は機甲鎧の右足にZINを集中的に送って無理矢理機体を動かそうとするが、これは戦場では致命的とも言える大きな隙だった。


「危ない! 前っ!」


 どこからか機甲鎧の女性の悲鳴のような声が聞こえてきて前を見ると、そこには一体の悪霊獣がこちらに向けて爪を降り下ろそうとしていた。

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