HAMBURGER BLUES 第18話 川底の亡霊Vツインと酒場の幽霊機関士
HAMBURGER BLUES 第18話
川底の亡霊Vツインと酒場の幽霊機関士
BLACK MEMORY RIVER
次元の狭間シティー
夜
空が逆流している
ネオンが川面を泳いでいる
重力そのものが酔っ払っている
ドンドドンドンドンッ
ドドンドンドンッ
七百年間
川底から鳴り続ける
亡霊の鼓動
Walker
「待て」
「本当に飛び込むのか」
「水深二百メートル」
「重力反転流」
「通常河川の四倍」
「頭おかしいだろ」
beem
「だが」
「Noahの未来が沈んでる」
cool
「俺ぁ」
「川ってぇ」
「昔から苦手ですねぇ」
Walker
「元殺し屋が何言ってんだ!!」
cool
「撃つ方が」
「分かりやすいですからねぇ」
beem
「誰が行く」
Walker
「作戦を立てろ」
beem
「酒飲みながら考えるか」
Walker
「何で毎回そうなるんだァァ!!」
その時
bads
「うるさい」
全員停止
オーロラシルク
肩空きブラックカットソー
夜光を吸い込む特殊繊維
惑星ビッグカンナビス産ホットパンツ
昼はグレー
夜は桃色へ変化する
古代文明のヴィンテージジュエリー
首
腕
足首
耳
鼻
千年前の職人達の狂気
ピンクの最新式ハイヒール
Walker
「今日のファッション」
「ヤバいな」
cool
「神話ですねぇ」
beem
「芸術作品だ」
bads
「当たり前でしょ」
「どう?」
Walker
「腹立つくらい似合ってる」
bads
ニヤッ
「でしょう?」
腰のポーチ
取り出す
重力反転機
手のひらサイズ
磁石のような形状
カチッ
起動
赤
青
緑
金
紫
白
桃
七色の光
リングが回転する
光速の四百二十倍
空気が歪む
接着対象
重量
千分の一
Walker
「待て待て待て」
「説明しろ」
beem
「そんな物」
「持ってたのか」
cool
「便利ですねぇ」
bads
ため息
「アンタ達」
「Noahの為なんでしょ?」
「だったら」
「さっさと取りに行くわよ」
ザバァァァァァァン!!
躊躇ゼロ
迷いゼロ
Walker
「行きやがったァァァ!!」
beem
「何なんだあの女!!」
cool
「格好良すぎますねぇ……」
三十分後
川面
七色の光
浮上
BLACK RIVER V-TWIN 700
巨大な二本出しマフラー
黒鉄
七百年前の機械文明
油の匂い
鉄の匂い
爆発の記憶
ドンドドンドンドンッ
ドドンドンドンッ
Walker
「嘘だろ……」
beem
「生きてる」
cool
「まだ鼓動してますねぇ」
bads
「取ってきたわよ」
「文句ある?」
全員沈黙
Walker
「……ねぇよ」
beem
「最高だ」
cool
「乾杯ですねぇ」
BAR
GHOST PISTON
次元の狭間シティー最古の酒場
レコード
真空管
古代エンジン部品
油の匂い
Today’s Special
【PHANTOM RUM 87】
アルコール度数
87%
三十年間
幽霊蒸留所で熟成
副作用
・昔話が止まらない
・急に友情を確認し始める
・財布の紐が固くなる
乾杯
ガチャン!!
beem
「Noahに」
Walker
「未来に」
cool
「青春にですねぇ」
bads
「面倒な家族に」
全員
「乾杯ィィィィ!!!!」
数十分後
Walker
「で」
「問題はここからだ」
beem
「何だ」
Walker
「ボディ」
「フレーム」
「誰が金出す?」
静寂
cool
「帰ります?」
Walker
「帰れるかァァァ!!」
bads
「アンタ達が出しなさいよ」
beem
「店の運営費が」
Walker
「店長が渋るな!!」
cool
「割り勘ですかねぇ」
bads
「嫌よ」
Walker
「何でだ!!」
bads
「私」
「この前」
「新作ハイヒール買ったもの」
Walker
「知るかァァァ!!」
古代ジャズ
真空管アンプ
レコードノイズ
酒
笑い声
そして
Noahだけが知らない
世界で一番優しい嘘が
静かに進んでいく
【第18話 完】
次回
HAMBURGER BLUES 第19話
『鉄屑市場と怒れるフレーム職人』
「金がねぇなら」
「働け」
地獄の次元市場編




