HAMBURGER BLUES : CONTINUITY CORE第82話 前編⑤ 爆音着火123
HAMBURGER BLUES : CONTINUITY CORE第82話 前編⑤
爆音着火123
朝の風が止まる
誰も喋らない
ベラ地区には珍しい
静寂
五人
それぞれの愛車の横へ立つ
朝日がタンクをゆっくり撫でる
ネオンが最後の輝きを落とす
遠くではカラス
近くでは換気扇
厨房からまだ少しだけ残る和牛の香り
全部が混ざる
beem
ヘルメットを持ち上げる
傷だらけ
ステッカーだらけ
何百回転んだか分からない
その傷全部が思い出
タンクを軽く叩く
今日も頼むぞ
相棒
ダーティブルー
Walker
静かにシートへ手を置く
金属の冷たさを確かめる
バイクは今日も何も喋らない
だから好きだった
カーキ
cool
グローブをゆっくりはめる
指先を一度握る
開く
酒も
料理も
旅も
焦ると失敗する
カーキ色のタンクへ小さく笑う
今日もよろしく
ベージュ
bads
THE CORE
GALACTIC EMPRESS
朝焼け限定カラー
銀河金の装飾が光を反射し
ベージュのボディラインをさらに美しく見せる
肩から流れる超軽量シルクジャケット
歩くたび
細かな粒子が空気を受け
星屑のように煌めく
CONTINUITYキャップを深く被る
オーロラハイヒールは
朝露さえ宝石へ変えてしまう
客が居なくても
誰かが見ているような美しさ
bads
よし
今日も私が一番綺麗だァァァァァァ!!!!
beem
朝からうるせぇェェェェェェ!!!!
Walker
観測結果
否定材料は存在しない
bads
聞いたかァァァァァァ!!!!
Noah
確かに綺麗です
bads
ほら見ろォォォォォォ!!!!
beem
調子乗んなァァァァァァ!!!!
店の前
また爆笑
そして
ダーティイエロー
Noah
愛車の前へ立つ
去年まで
ここへ立つ事は無かった
いつも
badsの後ろ
風景を見る側だった
今日は違う
自分で風景を作る側
少し震える手で
ヘルメットを被る
深呼吸
ゆっくり右手を伸ばす
スターターキー
小さな銀色の鍵
朝日を受け
一瞬だけ光る
その瞬間
誰も何も言わない
beemも
Walkerも
coolも
badsも
全員
気付かれないように
Noahだけを見ていた
時間が止まる
風も止まる
ネオンも止まる
Noahは気付かない
鍵穴へ
ゆっくり
ゆっくり
キーを差し込む
カチ…
小さな音
その小さな音が
五人には
世界一大きな音だった
去年まで後ろに乗っていた少年が
初めて
自分の物語へ
鍵を差し込んだ音
Noah
静かに鍵を回す
カチッ
次の瞬間
ガァロロローーーーーーッォォンンンンンッ‼️バァァワァンッ‼️
ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンドドンドンドンドンドドンドンドンドドンドン
ダーティイエローのLEDが点灯する
黄色い悪魔が目を覚ます
メーターが順番に光る
YELLOW GHOST
起動
Noah
……
少しだけ笑った
ほんの少しだけ
誰にも見られていないと思って
笑った
でも
四人全員
見ていた
bads
……
バカ
beem
……
デカくなったな
cool
……
いい音だ
Walker
観測結果
少年は今日
旅へ出るのではない
自分自身を追い越し始めた
Noah
……
何ですか
皆んな見過ぎ
全員
何でもねぇェェェェェェ!!!!
行くぞォォォォォォ!!!!
ドォォォォォォォン!!ッガロッガロッガロッツッパァンガロッガロッガロォォォンッ
ッドンドンドンドンドンドドンドンドンドンドドンドン
バリッバリッバリッバリッバリバリバリバリバリバリバリ
ギャンギャンギャンギャンギャォォォォンンンンン
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
五台同時にエンジンが咆哮
漆黒のマットブラック
ダーティブルー
カーキ
ベージュ
ダーティイエロー
五つの爆音が
朝のベラ地区を揺らした
CONTINUITY TOUR
ついに
開幕
──中編①へ続く




