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第四話「両親にサプライズしてみました」

お待たせしました、第四話です

いよいよ両親とご対面です

 俺がルーナとして転生してから1ケ月が経過した。ダン指導の下で鍛えた料理スキルも、目に見えて上達しているのが分かる。ちなみに修行にはカリアも参加しており、曰く、「どんな時でもルーナ様のお役に立つ為ならなんだってやりますう!」とのことだ。カリアはすっかり俺に懐いてくれたようだ。全く、可愛いやつめ。

 料理を教わり始めた頃は周囲からの冷ややかな視線が痛かったが、毎日足繁く通っている内に、他の料理人たちも俺たちにアドバイスやレシピを教えてくれるようになった。そしてその頃には、使用人たちの間でもルーナへの印象が180度変わったようだ。ルーナの噂話を聞く度にニヤニヤが止まらないとカリアも鼻高々らしい。これで脱破滅への道は幸先良しと言っても過言ではないだろう。


 という訳で、今も俺は軽食でも作ろうかと厨房に立っている。さて、今日は何を作ろうか。この前焼き方を教わったスコーンか、それとも手軽にサンドイッチか……。

 贅沢な悩みで頭をいっぱいにしていると、厨房にカリアが勢いよく入ってきた。


「ルーナ様あ!ご主人様と奥方様が、今日中に帰ってこられるみたいですよおお!」


「……え?」


 ――いよいよこの時が来た。両親と対面する日が。この1ケ月は仕事でまともに帰ってきていなかったが、一区切りついて帰ってくるというのだ。

 前にも言ったが、ルーナの両親は一人娘のルーナに超甘々。例え無理難題を押しつけたとしても、何かとんでもないことをやらかしたとしても、怒ることなくむしろ褒めて助長させる。ルーナが悪役令嬢たらしめる根源こそが、ルーナの両親なのである。

 ルーナが破滅への道を辿る原因となったこの2人を、生まれ変わる前の俺は許せなかった。もっと子供の頃から躾をしておけば、我が子が、又は一家諸共破滅することは無かったはずだ。なので正直会いたくない気持ちがとてつもなく強い。帰ってくると聞いた今でも立ちくらみしそうなくらいだ。

 ……だが、それはあくまでも俺(浩二郎)としての気持ちだ。ルーナにとってはかけがえの無い家族なのだ。俺の気分だけで跳ね除ける訳には行かない。となると、

 

 ①関係性は絶対に崩さない


 ②超甘々な教育方針をやめてもらう


 この2つを同時にこなさなければならない。正直片方だけでも相当キツいとは思うが、何か良いアイデアは無いものか……。


「……まあ!ルーナ様あ!聞いてますかあ!?」


「うひゃああ!!」


 意識外から飛んできた大声にビックリしてしまい、思わず変な声が出てしまった。声のする方を向くと、カリアが頬をぷくっと膨らませていた。


「ご、ごめんなさいカリア。もう一度聞かせてもらえる?」


「もう!やっぱり聞いてなかったんですねえ!ではもう一度言います!私たちで帰って来られるお二方に料理を作ってみませんかあ?!」


 ――そうか、簡単な話だったのだ。この1ケ月で俺は何を頑張ってきたというのだ。修行の成果を存分に振るえる良い機会ではないか。ただ、ここで出てくる料理を「私たちで作りましたー!」では味気ない。料理が上手だと褒められ、それで終わりだ。どうせなら、あっと驚かせてやろう。


「ナイスアイデアねカリア!じゃあ、こういうのを作ってみたいのだけれど……」


 俺が思い描く料理をカリアに伝える。作るのはそう――日本料理だ。せっかくの人生2周目、1周目の知識を活用せねば損というものだ。その中で俺が選んだのは『豚の生姜焼き』。これならば普段から口にしているステーキとも遜色無いはずだし、何より生姜は仕事で疲れた体には持ってこいだ。シチューを食べた時から、この世界の食材は現代の物と同じことは分かっている。再現するのは難しい話ではないはずだ。俺が伝えた未知の料理にカリアは一瞬驚くも、すぐに目を輝かせ、材料を取りに向かった。俺もうかうかしていられない。久々の日本食調理だ。万全の準備で臨もう。



 しばらくして、カトラス邸宅に俺の両親、ギルバートとソニアが帰ってきた。待ち構えていた使用人たちの間を通り、ギルバートが執事長に声をかける。


「ただいま帰還した。皆は変わらず息災か?」


「お帰りなさいませ旦那様。皆変わらず御二方の帰りを心待ちにしておりました」


「そうか」と返したギルバートは続けて執事長に問いかける。


「我が娘、ルーナは今どうしている?」


「は。夕食の準備ができているとの事で、既に食堂へ向かわれているかと」


「うむ。ご苦労であった」


「ねえ貴方、早く食堂へ行きましょう?ルーナに会いたくて堪らないわ」


「そう焦るでない。私とて同じ気持ちなのだ。すぐに夕食を取る事にする。食堂まで案内せよ」


 執事長の案内で食堂の前までやってきた2人は待ちきれないと言わんばかりに自らの手で食堂のドアを開く。そこで、2人の帰りをカリアと待っていた俺はその姿が見えると同時に頭を下げて言葉をかける。


「お帰りなさい、お父様、お母様!」


「おお!我が愛しの娘ルーナよ!ただいま帰った……ぞ?」


「ルーナ……?!その格好は一体……?!」


 まずは最初のサプライズ大成功。コックコート着た俺たちに、2人は目を丸くしている。だが、これで驚くのはまだ早い。


「本日の夕食は私とカリアで作りました。つまり、今日は私たちが、お父様とお母様の料理人なのです」


「ル……ルーナが私たちに料理を作った……だと?」


「私、夢でも見ているのかしら……!?」


 ギルバートは腰を抜かしたように座り込み、ソニアは泣き崩れる。2人が落ち着きを取り戻すまでに十数分は要した。この後もサプライズが控えてるというのに、こんな調子では2人の身が持つか心配だ……。

最後まで読んで頂きありがとうございます

第五話は7日投稿予定です。

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