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第十七話「親友が1人増えました」

お待たせしました、第十七話です。

ごろつきたちに立ち向かったメリアの行く末をご覧ください!

 突如として発せられたメリアの大きな声に驚くごろつきたちだったが、やがて我に帰ると今度はメリアに向かって前のめりに啖呵を切り出した。


「おいおい、お前もこのご貴族様の肩を持つってのか?」


「お前だって表立って言えねえだけで、こいつに逆らえないクチなんだろ? 今こいつらといるのも仕方なくで、本心は嫌なんじゃねえの?」


「ほら聞かせてみろよ、お前の本心をよお!」


「…………」


 ごろつきたちの言葉に黙って俯くメリア。言いたい放題言ってくれているのが癪に障るが、奴らの言葉に思い当たる節が無いと言えば嘘になる。本当は友達と思っているのは俺だけで、真面目なメリアは助けられた恩義で俺に付き従ってるだけなんじゃないかと。メリアに堅苦しさを感じてしまっていた原因は、俺にあるんじゃないかと。そんな不安で頭がいっぱいになる。


「おやあ? 黙ってるってことはよお、図星ってことかあ?!」


 メリアが何も言い返さないのを良いことにゲラゲラ笑うごろつきたち。流石に俺も我慢の限界が近づいてきた。もういっそのこと、闇魔術でこいつらをシメてやろうか――なんて邪推な考えが頭をよぎり始めた、その時だった。


「……貴方たち、いい加減黙りなさい!!」


 メリアが今まで聞いたことのない声量と口調でごろつきたちを怯ませる。普段温厚なメリアがここまで感情を露わにするのかと、俺とマルシアも驚きを隠せなかった。


「ルーナ様は貴方たちが言うような人ではありません! 平民だからと虐げられていた私を助けてくれるような心優しい方です! 身分に左右されることなく、分け隔てなく接してくれる――そんなルーナ様に惹かれたからこそ、私は自ら望んで共にいるのです! ルーナ様は、私のかけがえのない友人……いえ、親友です!」


 思いの丈を叫んだメリアに、思わず目頭が熱くなる。さっきまで俺が感じていた不安は杞憂だったようだ。”親友”。その言葉だけでも十分嬉しかった。

 そんなメリアに、更なる変化が訪れる。メリアの体から淡く白い光が溢れ出してきたのだ。これはゲームで何度も目にしてきた、メリアの魔力が高まっている証拠だ。

 ゲームでのメリアの聖属性魔術は鍛錬でも普通に強くなれるが、攻略対象たちとの関係――人との繋がりでも強くなる。つまり、この状況では俺との関係性を強く示したことで、メリアの聖属性魔術のレベルが上がったのだろう。

 

 メリア自身もそれを感じたのだろうか。目を閉じて祈るように手を組むと、溢れる魔力をごろつきたちにむけて放った。

 メリアが使用した技は、恐らく聖属性魔術の中級技『ルミナスウインド』だろう。文字通り暖かな光を風のように相手に送りつけ、相手の戦意を大幅に喪失させるという技だ。

 ルミナスウインドに当たったごろつきたちは次第に体から力が抜けていき、反省の意を述べながら床に膝をついた。こうなればもう、奴らが暴れ出すなんてことは無いだろう。


 その後すぐ、騎士団が騒ぎを聞きつけ駆けつけてくれた。俺たちも軽く事情聴取されたが、周りの客や店員の証言もあり、即座にごろつきたちだけを拘束して連行していった。

 騒動もひと段落つき、メリアは軽く息をついて俺たちに向き直る。


「お2人とも、ご迷惑をおかけ――」


「メリアさんかっこよかったですわああ!」


 言い終わるのを待たずして、喜びの感情を爆発させたマルシアがメリアに抱きつく。メリアは驚いた表情をみせるが、どうやらまんざらでもなさそうだ。

 抱きつくのはマルシアの特権みたいなところもあったが、今回ばかりは俺も喜びを抑えずにはいられない。俺も2人のところに駆け寄り、マルシアごとメリアを抱きしめる。


「ありがとうメリア……! 貴方が私を親友だと言ってくれたこと、私は本当に……嬉しくて……嬉しくて……!」


「私こそ、あの時親友と言ってくれたこと……実はすごく嬉しかったんですよ」


「私もお2人と友人でいられて……本当に良かったですわ!」


 友情を確かめるようにきつく抱きしめ合う俺たち3人。あまりの喜びと嬉し涙に言葉を上手く紡げずにいたが、恐らくもう言葉は必要無いだろう。

 武闘大会の前に父が話した「大事な縁」は何もギースに限った話ではない。メリアとマルシアも、俺にとっては「大事な縁」だ。2人の思いを裏切らないよう、俺も誠心誠意彼女たちと向き合おう。


 こうして、俺たちのお出かけは終わりを迎え、揃って帰路についた。無事終わった――とは言い難いが、メリアとの距離を縮めるという当初の目的から唯一無二の関係にまでなれたのは、大きな進歩と言って差し支えないだろう。

 この調子であれば、きっとコニーやジェイドとも良い関係を築けるだろう。そしてまだ見ぬ4人目の攻略対象とも、上手くやっていけるだろう――そう思っていた。


 だが、この時の俺はすっかり忘れてしまっていた。そのまだ見ぬ4人目こそ、ゲームでは最高難度と評される難敵であるということを。そしてそいつがもたらすルーナにとってのバッドエンドが、最も悲惨であるということを。

最後までお読みいただきありがとうございます。

第十八話は18日投稿予定です。

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