第22話 トラック編4
よろしくお願いいたします。
ザルツベルグ帝国 トラック
昼過ぎまでにはバッケンハイム公の兵をトラックに収容し『医療部隊』『工兵部隊』と食事部隊、兵を連れ瓦礫を除け、息がある人達を助け出していく。
「こっちにタオル持って来て!」「薬が足りないわ!」「しっかりしなさい!助かるわよ!」「ゆっくり寝かせて。」
俺と工兵部隊は土魔法を駆使して岩を除ける。篝火や松明を焚いて夜通し救助活動を行った。死者は7200名、生存者150名、重体重傷者500名ほどだった。
「敵は誰も救助活動してないのか。」俺がぼそりと言うと「所詮は王女だ・・」と助けられた兵が呟いた。
バッケンハイム公の屋敷にいた奴隷は約50人。その中にロバートが気に入っていた少女がいた。今年16歳で名をアメリアと言った。
「ロバート様。バッケンハイム公の所にあったお金ですが・・」「ハルトに任せる!」
「それとリジャプール王国の交渉内容は・・」「ハルトに任せる!」
アメリアを眺めずっとニコニコしていた。(まあ仕方ないか。)ビスマルクに捕らえたバッケンハイム公と北の帝国との繋がりを示す手紙やマチルダ王女とのやり取りを分析。
(これは使える。)部分的な物を抜き取り繋げ合わせると全く別の話に成る事は良くある話だ。
捕らえた書記官に同じ内容、同じ文章を書かせ印章を押させ証拠書類にした。「早速明日にでも交渉に行き内容はこうだ。」「うわっ!エグイですねぇ。でも面白い。」
翌朝、連絡を取ると「会います。」と返事が来たようだ。「では!行ってまいります!」とビスマルクが笑顔で手を振った。
俺も書記官に扮してついて行く。護衛を兼任だ。あとはノワールとハンベエというメンバーだ。そしてもう1人がバッケンハイムだった。
「初めましてマチルダ王女様。ザルツベルグ帝国外務卿のビスマルクと申します。今日はお会い出来て嬉しいですよ。陛下はお加減悪いのですか?」
「ええ。体調を崩しておりまして・・」
「今日、お会いしに来たのは他でも無いのです。我が国の皇帝の一族がそちらとやり取りをする手紙を発見致しましてな。」手紙を見せる。
「事もあろうことか謀反を働きかけるような事をしたもんですから成敗しました。あなたを妻にすると言う北の帝国との約束の手紙もこれへ。」
そう言うとひったくるように取り読んでワナワナ震えている。「こうなると我々がお詫びに来るのは違うのではと思いましてな。しかし我々の知らない所で起こった事とは言え身柄を引き渡そうと思いバッケンハイムは連れて参った次第です。」
「そうですか。ではバッケンハイムは我々が好きにしても?」
「もちろんです。婿にするも良し焼いて殺すも良し。お好きなようになさって下さい。」
「ありがとうございました。ではお引き取り頂いて結構ですよ。」
「おや?我々は国として知らない事でも首謀者をそちらに差し出したんですよ?あなた方は宣戦布告も無く我が国に兵を出しましたね。当然首謀者を受け取るまで帰れませんよ。」
すると「そ、それは・・」
「まあ当然国王陛下です。身柄を渡して頂きます。」「では!バッケンハイムはお返し致しますわ!」
「返された所でこの要求は変わりませんよ。あなた方が見捨てた兵も我らが助け出し治療まで行っております。あなた方が早く助ければもう200人、いや300人は助けられたはず。皆さん王女を恨んでました。見捨てられたと。」
「そんな!私は・・」
「病院に行きますか?そして犠牲になった7200人になんとお詫びされますか?宣戦布告もせず夫になる男に騙されましたと言いますか?答えなさい。あなたの答え次第で我々は明日、宣戦布告を貴国に行います。当然、北の帝国も黙って見ないでしょう。」
「少し時間を!考える時間を頂けませんか?」
「この会談をどう思っていたのですか?何処かで我々を舐めていたのでしょう?勝手に攻めて来て困ったら時間が欲しい?ふざけて貰っては困りますな。しかし鬼ではありません。5分だけ差し上げます。」
「そんな・・」「あと4分45秒です。我々は帰りますよ。王を差し出すか?戦争をするか?どちらかだけです。」
「あの・・お金では?」「良いですよ。大金貨10万枚なら手を打っても良いと言われてます。どちらにせよ戦争すればこの国は地図から消えるのです。」
「そんなお金はありません。父はムリですが私ではダメでしょうか?」
「それはバッケンハイムと同様の扱いですよ?」
「結構です。着替える時間と侍女を何人かお連れする事をお許し願えませんか?」
俺をチラッと見るので頷く。「良いでしょう。では我々は馬車でお待ちいたします。」
すると「貴様ら・・姫様を自由にさせんぞ!」と言って切り掛かるが体術で躱す。「早く身体を治しなさい。私が決して悪いようにはしませんから。信じて下さい。」と小声で言うと驚く。
「分かり・・申した。貴殿の名は?」「申し遅れました。ハルトと申します。」「我が名はケスラーじゃ。ハルト殿におすがり致す。」と涙を零し頭を下げた。
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