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20/22

20・珊瑚さんのおせっかい


朝になれば、またいつも通り学校へ行く。

いつも通りなのに、何だかちょっと違う。

ため息の多さも、歩く速度も。

それでもやっぱり学校に行く。


下駄箱から一番近い階段を上って、すぐのクラスなのが遅刻しそうなときには有り難かったが、今日みたいに他クラスにさりげなく行きたいときはちょっと不便だと思う。

行かなきゃと思うのに、それを全身が拒む。

なんで?って、その理由は一つしかないわけで。

怖いのだ。

一言で済ませると、怖いからだ。

年をとるごとに臆病になっていく。

悪いことをしたのが分かっていても、謝って許してもらえないのが怖い。傷つけられるのが怖い。

……本当、ダメだなあ。


「藍クン、おはよー!」


「え、あ、サンゴ。おはよ」


「どっか行くの?さっきからうろうろしてるけど」


「や、別に。……って、こともないんだけど」


「えー、なに。変な藍クン」


「……一人じゃ行きにくいというか、なんというか」


情けないことに、よくヘタレと呼ばれております。

だってだってだって。

何て話しかけたらいいのやら。


「へー、じゃあ着いて行ってあげようか?」


「うーん」


「てかどこ行くのー?」


「3組」


「え、すぐそこじゃん」


行こうよ、と腕を引っ張られる。

子供のときはよくテツの手を引いて、強引に歩いたものだったけど、今じゃ引っ張られる側だ。

引っ張られるのって、こんなに楽なもんだと知らなかった。


「で、3組に何の用事?」


着いたはいいけど、どうしたらいいのか分からない。

テツはいる。俺の視線の先に。

こんなに見てたら気づかれそうなものだけど、会話に夢中になっているのか、はたまた気づかないフリをしているだけなのか、こちらを見る気配が一切ない。

それが返って俺を安心させる。


「さっきから誰見てるの、って、絵筆さん?」


「え、あ、や、その、これは」


テツの話し相手は今日も絵筆 美桜さん。

とても可憐で素敵だ。

やっぱり俺の好み。でも、今は。


「えー、なになに、藍クンって、あーゆう子が好みなのー?やだー、絵筆さん目当てに来たかったわけね、なるほどなるほどー」


にやにや顔のサンゴ。

違うし、違くはないけど、違うし。

俺が否定しようと口を開くよりも、サンゴの行動の方が早かった。


「絵筆さーん!」


「ちょっ、サンゴ!?」


「だいじょーぶ、アタシ顔見知りだから取り持ってあげる」


「違うから!まじで違うんだけど!!」


絵筆さんと同時にテツがこっちを見る。

スッと無表情に戻って、すぐに視線を外す。


嫌われてると思う。

間違いなく嫌われてる。

だって俺酷いこと言ったし、普通にあんなの理不尽な差別だし、……独りにさせちゃったし。

傷つけたのは俺なのに、どうして俺が傷ついてるんだろう?

あー、いやだな。だから、来たくなかったのに。

でも、緑里の真剣な顔を思い出したら、ここで逃げるほどヘタレではない。


「湯川さん、どうしたの?」


テツに一言声をかけて、こちらに駆け寄る姿は何とも愛らしい。

ダメだ、惚れちゃいそう。一目惚れしそう。まじで可愛い。


「それがねー、藍クンがね、あ、この子藍クンって言うんだけどねー、」


「ちょ、サンゴ、ほんと違うから!誤解だから!」


「えー、照れなくたっていいのにー」


「本当に違うんだって!ごめん、絵筆さんだっけ?気にしなくていいから」


「もう、藍クンったら可愛い」


「サンゴ!」


目の前で絵筆さんが眉を八の字にして困ってる。

申し訳ない、いや、ほんとに。

サンゴを連れて来たのが間違いだった。


「えっと、」


俺の方を見る絵筆さん可愛い。

上目遣い可愛い。絵筆さん近くで見るとまじちっちゃい。可愛い。


「あ、えっと、松野 藍です、ほんとごめんね」


「いえ、そんな、全然大丈夫です!私は絵筆 美桜っていいます」


知ってるとは言いにくくて、適当に笑っていると、サンゴが横からにやにやした顔で見てくる。

この明るさからいって、雅とは仲直りできたんだろうな。

……仲直りって、どうやってするんだろう。

俺の問題はそこなんだけど。


「おい湯川、お前こんなとこで何してんだ?もうチャイム鳴るぞ」


「え、嘘!はや!」


振り返ると、そこにはグレーのスーツにオレンジ色のピアスをした灰見沢 橙吾がいた。

この先生と関わる機会はほとんどなかったが、サンゴは違うらしい。

随分と親しそうだ。

そういえば灰見沢先生は3組の担任だったっけ。

そりゃこのクラスに来るわな。

てか本当に格好良いなぁ。先生っぽくはないけど。

なんか服屋さんとかで働いてそう。それも結構大人めの。学生じゃ絶対買えそうにないとこで。


「湯川と、それと松野も早くクラスに帰れよ」


「はーい」


「え?」


素直なサンゴと驚く俺。

……名前知ってんの?

まあそりゃ生徒指導の先生だし、2年受け持ってんだから知ってて当然か。

今まで黒髪で通してきたとは言え、実際は染めてんのバレバレで目つけられてると考えたら何となく分かる。

俺よりちょっと色の明るい雅は何度かこの先生の世話になっている。


「藍クン!いこ!」


腕をまたしても引っ張られ、チラリと見た3組の中で視線が絡まった。

その視線は、あまりにも冷たく、刺々しいもので、言葉にせずとも俺への感情が一目で分かった。


「ま、松野くん!またね!」


そう言う絵筆さんに特に反応できないほど、目が離せなかった。

テツ、……ごめん、テツ。

何度だって謝るから、そんな目で見ないで。


テツは睨んでるんじゃない。

ただ俺を見ているだけだった。

だけど、こうも責められているような気持ちになるのは、どうしてなんだろう。





こんばんは。

ついに20話!やった!

でもまだランランとテツは話してもない……。

およよ、先が遠い……。

書きたいシーンが多すぎて。

次の話は、今度こそ出来るだけ早めに投稿したいです。

灰見沢先生(とても長いので、心の中では「はいみー」と呼んでます)もちょこっと出せて満足です。

うそです。もっと話したい。

整理すると、ヒロインと同じクラスがテツで担任がはいみー。

違うクラスの雅ランラン、先輩ズの赤黄先輩。


閲覧ありがとうございました。

またお願いします。


20160319



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