閑話 ロビンとリリア
セラフィナさんと別れた日、僕は貰った宝石を換金して、家へと戻った。もちろん、リリアを連れて。
遺跡から無事に帰った僕達を見て、母は涙を流して喜んでいた。その姿を見て、僕達もつられて、わんわんと泣いてしまったんだ。
ひとしきり泣いたあと、三人で夕食の準備をして、仲良く食べた。
そして、本題に入る。
「母さん、病気を治してもらうために、王都に行かない?」
「王都に?」
「セラフィナさんが宝石をくれたんだ。換金して馬車代にしなさいって」
母はとても驚いていた。
命を救ってくれただけではなく、自分の病気のことまで考えてくれていたとは。
「ミリエル様への紹介状も書いてくれたんだ。セラフィナさんはミリエル様とは、元パーティだから。これを見せたら通してもらえるみたいだよ」
母は、震える指先で紹介状を手に取った。
「まあ……達筆だねぇ」
くしゃっと笑うその横顔には、涙の跡が滲んでいた。
「王都は初めてだね。せっかくのご厚意だから、ありがたくお金を使わせてもらおうかね」
母はそう言って、大事に紹介状を仕舞った。
「リリア、君もついてきてくれるよね?」
「当たり前だろ。お前一人だと心配で、夜しか眠れねぇよ」
「それは眠れてるんじゃ……」
「うっさい」
平和なやり取り。こんなやり取りも、もしかしたら出来なかったかもしれない。
僕は、この平和を守りたい。
強く、ならなくちゃ。足が速いだけじゃだめだ。剣でも槍でも、使えるように訓練をしなきゃいけない。そうしないと、大切なものは守れない。母も、リリアも。
「僕、強くなるよ。セラフィナさんみたいに、誰かを守れる人になる」
「そういうの、嫌いじゃないけどさ。無理はすんなよ。その……私だっているんだし、頼ってくれてもいい」
リリアは頬を赤らめて、視線を少し逸して言った。
「……ありがとう、リリア」
僕には守りたいものがある。
だからきっと、僕はこれから強くなれる。
小さな旅の先にある、未来のために。




