第15話 コンビネーション
第15話 コンビネーション
翌日、私たちは予定通り、金竜街道を南下していった。右手には、雲にかかるほど高い金竜山脈の山々が連なっている。
その山頂付近で、時々巨大なドラゴンの姿が見える。
「あの巨大な魔物はドラゴンよね?」
「そうだな。ここでは、ドラゴンの姿はよく見られるよ」
「そうなの?いつかはやっつけたいわね。魔王とどちらが強いのかしら?」
「それは多分魔王だろうね」
「そうか…頑張らないといけないわね。レベルが上がって自信が付いたら、魔王討伐の前にドラゴンを倒しに行こう」
「良いね。そうすれば、私たちもドラゴンバスターの仲間入りね」
左手には広大な海が遠くに見える。
「この海を渡ってきたのね。ダックたちは大丈夫かしら?」
「それは大丈夫だ。彼らは何度もこの海を往復しているからね」
「迎えは二年半後にくるらしい。それまでに魔王の討伐を成し遂げたいね」
「二年半か…、あまり時間はないわね。魔王討伐には、どれくらいのレベルが必要なんだろう」
「魔王に挑んで、あえなく戦死したジェスター様のレベルが12でした。だからそれ以上は必要でしょうね」
「ジェスター様は為す術もなく倒されたと聞いていますわ。レベル13では駄目でしょうね。想像だけど、レベル15とかそれ以上必要かも」
「私たちが向かっているラント迷宮は、どの程度のレベルが適正なの?」
「ラント迷宮は5層からなる迷宮で、中から上級者向けね。レベルとしては8から20位までといわれているけど、完全には攻略されていないし、本当はよく分からないのよ」
「私はまだレベル不足じゃないの!」
「大丈夫。ルナは強いし、私たちのレベルは十分だから」
「そう?早くレベルを上げないといけないわね」
雑談をしていると、索敵スキルで、ヘル・ドックが十頭ほど前方にいることが分かった。
「300m程先にヘル・ドックが十頭ほどいるわ。戦闘準備をしましょう」
「了解」
「ヘル・ドックごとき、私の魔法で蹴散らすわ」
「何を使うの?」
「そうね、ファイア・ストームでもお見舞いしようかしら」
「それなら、私はファイア・ストームにウインドカッターの魔法をかぶせて、威力を増し増しにするわ」
「何、そんなこと出来るの?」
「多分ね。炎に空気を送り込むと炎が強くなるのよ。だから多分上手くいく」
「へえー、そんな事が有るのね。っと、そろそろ、行きましょう」
ヘル・ドックの群れが、十頭ほどこちらに走ってきている。
「バラバラに攻撃されたら厄介だわ。足止めする」
私はスロー・タイムを発動すると、続けてフルイドサンドの魔法を発動した。
フルイドサンドの魔法は、地面を一時的に柔らかく深い砂地に変え、相手の動きを封じる呪文である。
フルイドサンドの魔法は効果を発揮し、ヘル・ドックの進行を妨げた。
そこにオリビアのファイア・ストームが炸裂した。
魔法の炎に包まれるも、炎から逃げ出せないヘル・ドック。
そこに私が、ウインドカッターの魔法を発動させた。
魔法の炎は、ウインドカッターの魔法により空気を送り込まれる格好となり、更に勢いを増した。
「上手くいったわ」
「本当に、炎が強くなったわ、こんな方法もあるのね。流石、ルナね。これは前世の知識?」
「そうよ」
ヘル・ドックは魔法の炎に焼かれ、一頭残らず消し炭となった。
「やったわね」
「まあ、相手が弱いからね。でも良いコンビネーションだったわね」
「そうだね!」
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