第12話 軍船
第12話 軍船
港までは、馬車での移動で、和気あいあいとした雰囲気で過ごした。
港に着くと、巨大な軍船が停泊していた。
船員が百人以上になる大きな軍船で、大砲をいくつか構えている。
帆船のような大きな帆を備え、その反面ガレー船のように両舷に多数の櫂も備えている。
喫水は深めで、荒波でも耐えそうな形状をしている。
でもこれで櫂をこぐことになったら大変だろうなと、船員さんに同情してしまった。
そんなことを考えながら、乗船すると、船長のダックが出迎えてくれた。
「勇者ルナ様とそのご一行様、ようこそ軍船ジュリアス号へ。私は船長のダックです。バース大陸までの船路は安心して下さい。国王陛下の御名を賜るこの軍船は、どんな荒波にでも耐える屈強な船です」
「船長、やっぱり海は荒れるのですか?」
「天気にも寄りますが、この季節は荒れやすいですね」
「船酔いはプチヒールで治せるのかしら…」
「ルナ、それは無理よ」
「やっぱり無理なの?」
イオタは笑って頷いている。
「ルナ様、大丈夫です。一日もすれば慣れますよ」とこれも笑顔のダック。
一日も苦しむのか…、私は笑えなかった。
船内は広く、国王陛下も利用されたという豪華な船室もあった。
その部屋は、流石に使用させて貰えなかったが、それでもかなり豪華で広い部屋が与えられた。
この部屋は私たち女性三人が使い、ゲイリーは質素な一人部屋だ。
質素な一人部屋といっても、普通の船員達は大部屋に寝泊まりするのだから、十分に配慮されている。
さあどんな船旅になるのだろう。
不安もあるが楽しみでもある。
前世でも船旅の経験はあるが、大きなフェリーの経験しかなく、穏やかな海だったこともあり、船の揺れも感じないほど快適だった。
今回はそうはいかないだろう、船酔いと闘う覚悟を決めた。
船旅の初日は、小春日和と言っていいような暖かく穏やかの良いで天気で、海も静かだった。
甲板に出て、雑談しながらゆっくりと過ごした。
提供される料理も、豪華ではないものの、味付けが良く、十分に堪能できた。
「ルナ、初日は穏やかな海で良かったね。船長の話だと、明日の夜頃から荒れるかもしれないって」
「そうなの?気合いで船酔いを乗り越えないといけないわね」
「それは、慣れてしまえばどういう事もないよ。それよりそろそろ海の魔物の警戒をした方が良いみたい」
「そちらは大丈夫。船酔いさえなければいつでも動けるわ」
「甲板の上で炎の魔法は御法度よ、気をつけてね」
「わ、分かっているわよ。所で、海の魔法には電気系の魔法が効果的なのかな?」
「そうね、一般的にはそう言われているわ。船上でなければ火の系統の魔法も効果的よ」
「ありがとう。じゃあ私が使えそうなのはライトニングの魔法ぐらいかな」
「そうね。でも魔法は私に任せて、ルナは剣で頑張ってくれたら良いよ」
「そうする。ちょっとイメージがわいてきた。いけそうな気がする」
「頼もしいわね、期待しているわ」
次の日の夜は、船長の予想通りとなり、大荒れの天気で、波は荒く非常に高かった。
大きな船とはいえ、嵐に巻き込まれると、盛大に揺れ、私は船酔いと格闘するのだった。
船酔いからようやく回復してきた頃、それが突然軍船に襲いかかってきた。
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