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第36話 歴史

第36話 歴史

宿泊施設に戻った後、僕は教会を訪れた。

女神像の前で跪き、リンの冥福を祈り、それから女神サリア様に問いかけた。

「あの魔族、女神ベスの眷属とは何だったのですか?僕たちはどうすれば良かったのですか?どうしてリンはあんなことに…?」

かつてと同じように、閉じた視界の中で突然何かが光ったと思うと、僕の意識は白く何もない不思議な場所に飛ばされていた。

「レン、久しぶりね。…そうね、女神ベスとのことを話しておかねばなりません。遠い過去に、光の女神である私と闇の女神であるベスがこの世界を創りました。それからお互いの眷属をこの世界に創造し、永きにわたりお互いの眷属の繁栄を見守ってきました。私の眷属とベスの眷属は、異なる大陸で、お互い交わることなく、それぞれに文明を発展させていきました。それぞれの住む大陸の間には、大海や大きな島も存在し、そこには巨大な海の魔物をはじめとする様々な危険な魔物が住んでいます。それ故に交流は全くなかったのです。しかし五千年ほど前、両大陸でほぼ時を同じくして、両眷属は大海を渡ることのできる巨大船を建造することに成功しました。そして徐々に交流が始まったのです。実はその頃には、ベスの眷属である魔族の支配するバース大陸は、暗黒魔法から発生する暗黒物質により、魔境へと変化しており、強力な魔物が跋扈する危険な場所となっていました。それ故に、ベスの眷属はユリアス大陸への移住を画策したようです。そして魔族と私の眷属とは次第に反発し合うようになりました。当初、大きな争いとはならず、ちょっとした小競り合い程度でしたが、時々大きな争いが起こるようになり、いずれは大規模な戦争が起こっても不思議ではない状況になっていったのです。私とベスは、協定により直接世界に介入することはできません。そこで私とベスは協議し、千年に一度、お互いの眷属の代表を、ユリアス大陸の西、バース大陸の東にある、ユーノス島にて戦わせることとしたのです。その際、切り札となる人物を一人だけ異世界より召喚することが出来るルールとしました。そしてその勝者たる眷属達は、ユーノス島の所有権とその島で産出される宝石や鉱石等を独占する権利か、もしくは、このユリアス大陸あるいはバース大陸のどちらで居住するかを選択できる権利を得るルールを作りました。千年前の戦いでは、私の眷属が勝ち、西方遙か彼方にあるバース大陸より、この豊かなユリアス大陸に移住してきました。二千年前での戦いは、ベスの眷属が勝ち、ユーノス島の所有権を獲得しました。そして今でも所有権を保有しています。このように何度も権利を争い戦ってきたのです。そして次の戦いは六年後に迫りつつあります。そして戦いの切り札として、今回私が召喚したのがあなたです。以前に言った使命とは、この戦いのことです。レンは六年後にパーティーメンバーとともにユーノス島へ渡り、ベスの眷属との戦いに臨んで、勝利してほしいのです。もし次の戦いで負けると、私の眷属はユリアス大陸での居住権を剥奪され、過酷なバース大陸に移らねばならないでしょう。レンよ、我が眷属のために戦ってはくれませんか?もし望まぬのなら強制はしません。あなた次第です。しかし、これは切り札たるレンにしか為し得ないことなのです。」

「サリア様、僕はこの世界で沢山の大切な人たちと出会い、助け合いながら、楽しく生きてきました。僕はこの世界が好きです。大切な人たちを守るためにも、僕は強くなって戦いに挑みます。」

「ありがとう、レン。よろしく頼みましたよ。


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