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第25話 手裏剣

忍者専用の武器

第25話 手裏剣

グレーター・デーモンが消滅した後、宝箱が残されていた。

リンは早速宝箱の罠を解除しはじめている。

しばらく宝箱と格闘していたが、とうとう罠の解除に成功したようだ。

「これは…?投擲武器…?レンお願いなのです」

「うん、鑑定。これは手裏剣という武器らしい。忍者専用の武器のようだ」

手裏剣を手に取ってみると、とても軽く、重さのバランスも良い。

とても手になじんで、まるで体の一部となったようだ。

「これは…、すごい武器だ…」

まじまじと手に持つ手裏剣を観察し、詳しく確認した。

それは両刃の刃渡り15cmほどの武器で、爪状の形状になっているが、信じられないほどの鋭さと硬度となっており、突くことも切ることもできるようだ。

手に持つ部分の端は、輪状になっており、ここに魔力を込めておくことで、投擲して手を離れたとしても、念じることで手に戻ってくる、投擲武器としても使えるようだ。

手裏剣は異様なオーラをまとっており、特別な存在感がある…。

「これは、忍者専用武器だし、僕が使わせてもらって良いかな?」

「もちろんだよ。見たことも聞いたこともない武器だけど、それはそんなにすごい武器なのか?」

「ああ、忍者にとっては最良の武器かもしれない。さっきのグレーター・デーモンでさえ、易々と切り裂けそうだ」

「そんなにもすごいのか!」

「すぐにでも、試し切りをしたいくらいだよ」

「そうか。…さっきの戦闘は結構ギリギリだったけど、もう少し探索してみるか?」

「回復呪文はもう少しいけるわよ」

「ん、攻撃呪文も余裕」

「それならもう少し探索を続けよう。今度はダークゾーンの方だな」

「ダークゾーンでの戦闘はとても危険だ。視覚に頼れないから、いつも気配を確認しながらの戦闘になる。もちろん相手も同じ条件だが、気づかれる前に戦闘を避けるという選択肢もある。」

「ダークゾーンではステルス・スキルは使わないようにするよ。むしろ気配全開で行くよ」

「待て、気配全開はやめてくれ!

「冗談だよ…」

「ああ。リンもステルス機能がついた闇夜の鎖帷子を装備しているから、同士討ちが危険だね。リンはダークゾーンでは後衛に回って、戦闘補助をしてほしい。」

「了解なのです」

「まあ、できるだけ戦闘は避けるようにしよう」

「了解!」

僕たちは最初のT字路に戻ると、ダークゾーンの方へと向かった。

「ここのダークゾーンはこちらから侵入すると、右手側は何もなくて、左手に扉が四つあるんだ。左手の壁を確認しながら進むよ」

ダークゾーンに入ると、何も見えなくなり、視覚はぜんぜん役に立たない。

ただ、足音だけが聞こえてくる。

左手を確認しながら少し進むと、すぐに扉があった。

「扉だ。開けるよ?」

「了解!」

扉を開けると、そこは小部屋となっており、この部屋はダークゾーンにはなっていない。

部屋の奥にまた扉が見える。

何もないことを確認しながら進み、奥の扉を開けた。

そこも小部屋となっており、僕たちのパーティーが進入すると、突然にそこは灼熱地獄と化した。

炎を纏ったファイア・ジャイアントが二体出現したのだ。

ファイア・ジャイアントは、その巨体に裏打ちされた物理攻撃力もさることながら、炎のブレス攻撃が凶悪である。

これは広範囲の攻撃で、避けることは難しく、その上にすさまじい威力を誇るので、二発も食らえば全滅もあり得る恐ろしい攻撃だ。

ファイア・ジャイアントの一体は僕が、もう一体はメンデスが対峙した。

レイリアは防御力を向上する呪文を、サーシャは相手を眠らせる呪文を唱えはじめている。

速やかに倒さねば、体力の劣る後衛職はブレスで壊滅となりかねない。

僕は手裏剣を逆手に持ち、ファイア・ジャイアントに向け疾走した。

途中から時空間操作スキルを使い、一気に距離を縮めると、ファイア・ジャイアントの横を通り過ぎながら、僕の胸の高さにある大腿部を手裏剣で思いっきり切りつけた。

手裏剣は恐ろしいほどの切れ味を見せ、まるで豆腐でも切るかのように、ファイア・ジャイアントの足を切断した。

(すごい!)あまりの切れ味に驚愕するほどだった。

ファイア・ジャイアントは、大ダメージを受け、体勢を崩しながら、苦痛にうめいている。

僕は反転すると、チャンスとばかりに、無防備となっているファイア・ジャイアントの後頭部に向かって、手裏剣を投擲した。

手裏剣は後頭部に命中し、深々と突き刺さった。

それは致命傷となり、ファイア・ジャイアントはそのまま倒れ、絶命した。

念ずると、手裏剣は僕の手に戻ってきた。

もう一体のファイア・ジャイアントは、サーシャの魔法に抵抗したらしく、メンデスとの戦闘を継続している。

ファイア・ジャイアントが、強力なパンチを繰り出したが、メンデスは盾で受けとめ、飛ばされないように踏ん張っている。

今度は、メンデスは長剣で斬りかかるが、難なく避けられてしまった。

お互いに攻防を繰り出すが、有効なダメージを与えることはできない。

ファイア・ジャイアントは再び右手で強力なパンチを繰り出した。

メンデスはそれを盾で受け止め、互いに押し合うかたちとなった。

両者の力と力がぶつかり合い、一瞬の硬直状態となる。

少しでも体勢を崩せば、メンデスに勝機が訪れる、そう判断した僕は、ファイア・ジャイアントの広い背中に向かって、手裏剣を投擲した。

手裏剣は命中し、ファイア・ジャイアントにダメージを与えた。

大きなダメージとはならなかったが、ファイア・ジャイアントは、背中に痛みがはしったことで、一瞬気を取られ、わずかな隙を作ってしまった。

それを見逃すメンデスではなかった。

メンデスは、無防備となった右腕を長剣で切りつけた。

その一撃は、腕を切断することはできなかったが、骨が折れたようで、腕が変な方向に曲がっている。

メンデスはここで勝負に出た。

「流星剣!」

それは無数の突きを瞬時にたたき込む、メンデスの得意技だ。

ファイア・ジャイアントは捌くことも避けることもできず、無数の突きを入れられ、大幅に体力を削られていく。

そして、そのまま抵抗することもなく、力尽き、絶命した。

「やった!完勝だったね」メンデスはご満悦である。

「メンデス、すごい技なのです」

「うん、何だか動きがきれいだったわ。それにレンの武器もすごいわね」

みんなで健闘をたたえ合っていると、ファイア・ジャイアントは時間とともに消失していき、それとともに虹色に光る鍵が現れた。

「みんな、これがキーアイテムだよ。覚えておいてね。これがないと、中ボス部屋につながる長い回廊へ、進むことができないんだ」

「これはレイリアが持っていてね。それで、迷宮を出るとどうなるか確認してみて」

「どういうこと?…まあ良いわ」

「じゃあ、もう今日は引き上げようか」

「了解!」

僕たちは、それから、モンスターに会うことなく迷宮外に出た。

それとともに、レイリアの手にあったキーアイテムは突然に消失した。

「何これ!みんな見た?アイテムが消えたわよ!」

「そうなんだよ。ここのキーアイテムは迷宮外に出ると消えるんだ。毎回取り直さなきゃならないんだよ」

「!!」


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