第23話 第三層
第三層の攻略です。
第23話 第三層
アークワン迷宮の第三層は、永遠に続くかとも思える長い回廊と、そこに至るまでに多数存在する小部屋が特徴的である。
どこかの小部屋には、キーアイテムがあり、それを確保しなければ先に進めないようになっている。
しかも、迷宮から外にでるたびにキーアイテムは消失する。
すなわち迷宮に入るたびにそれを収得し直さなければならないということだ。
その上、キーアイテムの存在場所は迷宮に入るたびにランダムに変化する。
つまり、毎回キーアイテムが見つかるまでは、すべての小部屋を確認していかなくてはならないということである。
鬼畜仕様である。
また、第二層には存在しなかったダークゾーンが存在し、迷宮攻略の難易度を上げている。
この第三層を攻略すると一人前の冒険者として認められ、Cクラス冒険者と認定されるのは、この攻略難易度故のことである。
出現するモンスターは、アース・ジャイアント、ファイア・ジャイアント、フロスト・ジャイアントなどの巨人族や、レッサー・デーモンよりも上位の悪魔であるグレーター・デーモンなどである。
巨人族は、体長が3mに迫り、その膂力と、炎のブレスや冷気のブレスといった範囲攻撃で冒険者に襲いかかってくる。
グレーター・デーモンは、硬い皮膚により物理攻撃が通りにくいうえ、多くの攻撃魔法を無効化する能力があり、さらに強力な範囲魔法や毒攻撃、麻痺攻撃を行ってくる強大な悪魔である。
というわけで、第三層は攻略難易度が飛躍的に高いのである。
第二層の階段を下り、僕たちのパーティーは第三層に足を踏み入れていた。
通路は、それまでと比べると幅広くなり、天井も高くなっている。
通路の壁はこれまでと同様に発光苔で覆われており、うっすらと通路を照らしている。
右手に行けば、十数m先はダークゾーンとなっており、その手前の左手に扉が二つ確認できる。
まっすぐに行けば、30mほど先に壁があり、通路は右折しているようだ。
「まず、見えている扉から確認していこうか。ダークゾーンは、後回しにしたいね。僕はダークゾーンが苦手なんだよ」とメンデス。
「異論はないわ」とレイリア。
右手の通路に見える二つの扉を開け、それぞれの小部屋を確認した。
どちらの小部屋にも、モンスターは存在せず、キーアイテムもなかった。
僕たちはダークゾーンには見向きもせず、第三層の起点部に戻り、今度はまっすぐに通路を進んでいった。
しばらく進むと、通路はやはり右折しており、そこから数m程で通路はT字路となっていた。
T字路は、そのまままっすぐに進む通路と左側に続く通路に枝分かれしている。
T字路をまっすぐに進む通路は十数m先で行き止まりとなり、その手前の右側に扉が二つある。
T字路を左側に行く通路は、やはり十数mで行き止まりとなり、その手前の左右に扉が二つずつ、合計四つの扉があった。
僕たちはまず、まっすぐに進む通路の扉を順番に扉を開けていった。
しかし、モンスターに遭遇することもなく、特に何もなかった。
次に、T字路の左側に見えた通路を進み、順番に扉を開けていった。
こちらも特に何もなかったが、最後の扉だけは違った。
最後の扉を開いたときだ、突然目の前に、巨大な青白い光の球体が音もなく出現した。
それが、ゆっくり膨張と収縮を繰り返しながら、だんだんと増大していく。
やがて光の球体が消失したかと思うと、異世界とつながる巨大な門が現れた。
そして、その扉がゆっくりと開くと、そこから体長3mを超える巨大な悪魔が出現してきた。
「グレーター・デーモンだ!みんな気をつけろ!」
読んで頂き有り難う御座います。明日は多分一度しか投稿できません。
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